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BMW X1 × Mercedes-Benz GLA
X1は、BMWのSAVファミリー“Xシリーズ”のエントリーモデル。ちなみに活発なキャラクター性を重視するBMWでは「SUV」表記は用いず、頑なに「SAV=スポーツ アクティビティ ビークル」の呼称を貫いている。
2009年に登場した初代X1は、「小さくて取り回し性に優れた高級SUV」という新しい領域を開拓。3シリーズツーリング(E91)をベースにした後輪駆動ベースがいかにもBMW的で、その走りの“らしさ”にも注目が集まった。
2015年に行ったフルモデルチェンジでは、BMW 2シリーズやMINI クラブマンと「UKL 2」プラットフォームを共有する前輪駆動ベースに進化。その走りの良さにより、当時最新の横置き用プラットフォームの“出来の良さ”を存分にアピールし、初代のペースを大きく上回る販売を記録してきた。初代から合わせると、これまでに約190万台のX1を世界中で販売してきたという。
絶妙なボディサイズ
3代目X1は全方位でサイズをアップし、パワフルな印象が一段と増している。具体的には、先代比で全長+53mm、全幅+24mm、全高+44mm、ホイールベース+22mm、それぞれ大きくなっている。メルセデス・ベンツ GLAと比較すると次の通りとなる。
■ボディディメンション■
BMW X1=全長4500×全幅1845×全高1642mm、ホイールベース2692mm
メルセデス・ベンツ GLA=全長4410×全幅1834×全高1611mm、ホイールベース2729mm
見た目より余裕のパッケージ寸法
GLAの方がX1よりも少しだけ短く・狭く・低く、滑らかなスタイリングもあいまって全体的に引き締まった印象に見える。その分、室内寸法もX1の方がわずかに広い。しかし両車とも室内に窮屈感はなく、キャビン・荷室ともに十分な空間を備えている。ちなみに荷室容量は、X1が540リットル(先代比+35リットル)〜1600リットル(同+50リットル)、GLAが435リットル〜1430リットルと、X1に軍配があがる。
■パッケージサイズ■
BMW X1
着座位置から天井までの高さ=前1069/後998mm
室内幅=前1460/後1458mm
メルセデス・ベンツ GLA
着座位置から天井までの高さ=前1037/後969mm
室内幅=前1456/後1455mm
充実したパワートレインをラインナップ
新型X1は、まず2タイプのガソリンエンジンモデル「X1 sDrive18i」「X1 xDrive23i」と、同じく2タイプのディーゼルエンジンモデル「X1 sDrive18d」「X1 xDrive23d」から欧州市場での販売をスタートする。7速DCTを標準装備し、駆動方式はFWDとBMW xDrive=インテリジェント4WDから選択可能だ。上級グレードの「23i」と「23d」には48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載される。
では、X1とGLAのガソリン、ディーゼルのベーシックなモデル同士で性能を比較してみよう。
■パワートレイン■
BMW X1 18i
直列3気筒ガソリンターボエンジン
総排気量=1499cc
最高出力=136hp/4400〜6500rpm
最大トルク=230Nm/1500〜4000rpm
メルセデス・ベンツ GLA 200
直列4気筒ガソリンターボエンジン
総排気量=1332cc
最高出力=163hp/5500rpm
最大トルク=250Nm/1620〜4000rpm
(日本に導入されているのはデチューン版の「180」。性能値は136ps/200Nm)
BMW X1 18d
直列4気筒ディーゼルターボエンジン
総排気量=1995cc
最高出力=150hp/3750〜4000rpm
最大トルク=360Nm/1500〜2500rpm
メルセデス・ベンツ GLA 200d
直列4気筒ディーゼルターボエンジン
総排気量=1951cc
最高出力=150hp/3400〜4440rpm
最大トルク=320Nm/1400〜2600rpm
(日本に導入されているのは4WDの4MATICのみ)
X1の「18i」「18d」は前輪駆動のみの設定で、4WDのxDriveを望むなら「23i」か「23d」を選択する必要がある。GLAの「180」「200」「180d」も前輪駆動のみで、ガソリンなら「250」もしくはAMG 35、AMG 45、ディーゼルなら「200d」「220d」であれば4MATICが設定されている。なお、GLAのトランスミッションは「180」が7速DCT、「200d」が8速DCTである。
X1は追って2種類のプラグインハイブリッドも追加する。それが326hpの「30e」と245hpの「25e」。いずれも電気のみで78〜89kmという十分な距離を走行することができる。また、日本未導入だがGLAにもプラグインハイブリッドの「250e」(218hp)がある。こちらのEVモード走行距離は53〜61kmとなっている。
なお、新型X1の国内仕様は現時点(2022年7月)で未発表のため、両車の各寸法、性能値は欧州仕様値に基づき比較。また、ピュアEVモデルのiX1は荷室容量やシートスライド機構の有無など随所で仕様が異なる。
ピュアEVでも実力伯仲
X1は初めてのピュアEV仕様、「iX1 xDrive30」をラインナップする。かたやメルセデスも、GLAに相当する「EQA」を投入済み。パワートレインが電気になっても両車の実力はやはり拮抗している。
■ピュアEV仕様■
BMW iX1 xDrive30
航続距離=413〜438km
最高出力=313hp
最大トルク=494Nm
最高速度=180km
0-100km/h加速=5.7秒
バッテリー容量=64.7kWh
メルセデス・ベンツ EQA 350 4MATIC
航続距離=409〜432km
最高出力=288hp
最大トルク=520Nm
最高速度=160km
0-100km/h加速=6.0秒
バッテリー容量=66.5kWh
ちなみに日本に導入されているEQAは前輪駆動の「EQA 250」のみで、こちらの最高出力は190ps、最大トルクが370Nmとなっている。だが、実際走らせてみるとモーター特有の発進から瞬時にあふれ出るトルク特性のおかげもあって、非力どころか余力十分である。
X1とGLAのパッケージやパワートレインを比較してみると、両者が互いにライバル視して切磋琢磨していることが窺える。後編では、インテリアの使い勝手や快適性、価格について検証する。