ルノーの新看板モデルとなるか?「ルーテシアE-TECHハイブリッド」から始まる輸入車ナンバーワン燃費ブランドへの道

1.6リッター直4エンジンとメインモーターのシステム出力は140ps。加速は数値から想像する期待よりも上だ。
1.6リッター直4エンジンとメインモーターのシステム出力は140ps。加速は数値から想像する期待よりも上だ。
ルノー初のフルハイブリッド車、アルカナ。そのアルカナが搭載するE-TECHハイブリッドシステムが、ルノーの主力Bセグメントハッチバックのルーテシアに搭載された。電動化がもたらす新しいルノーの価値観とは?

Renault Lutecia E-Tech Hybrid

輸入車市場でトップの燃費性能

ルーテシアE-TECHハイブリッドのパワートレインは先に登場したクーペSUV、アルカナと共用だ。
ルーテシアE-TECHハイブリッドのパワートレインは先に登場したクーペSUV、アルカナと共用だ。

昨年フルモデルチェンジして5代目となったルノーの売れ筋Bセグハッチバック、ルーテシアにフルハイブリッド版が追加された。E-TECHハイブリッドという車名からわかるように、パワートレインの基本は先に登場したクーペSUV、アルカナと共用している。

E-TECHハイブリッドシステムは1.6リッター直4エンジンにメインモーター、HSG(ハイボルテージスターター&ジェネレーター)、電子制御ドグクラッチマルチモードAT、駆動用バッテリーで構成される。アルカナよりも160kg軽量なルーテシアE-TECHハイブリッドのWLTCモード燃費はなんと25.2km/リットル。アルカナ(22.8km/リットル)を上回るだけでなく、輸入車市場でトップの燃費性能を誇る。

ドグクラッチによるギアはなんと12段

一方でその加速感は期待以上だ。1.6リッター直4エンジンの最高出力91ps、最大トルク144Nmは数値上非力だが、メインモーターが49ps、205Nmを発揮するおかげでシステム出力は140psとなる。マルチセンス(ドライブモード)をスポーツに変えるまでもなく、鋭い加速を見せる。ちなみにエンジンはアルカナと比して、最高出力で3ps、最大トルクで4Nmほど低下しているが、そのぶんギヤ比が異なるという。走り出しは日本製ハイブリッド車のようにモーターだけで40km/h程度まで加速する。

ドグクラッチによる変速はアルカナと同様にスムーズだ。エンジン側4速とモーター側2速の組み合わせから編み出した都合12速はシームレスにつながり、洗練された超多段車のようで予想以上に走りが気持ちいい。ドグクラッチは効率優先のダイレクトさが売りで、モータースポーツで採用される。激しい変速ショックが付きもので快適性は二の次というが、HSGが回転数を調整し変速ショックを弱めてくれるイメージだ。

ACCやADASも充実

このあたりの変速時のメカニズムの妙が、ルーテシアに限らずこのE-TECHの醍醐味でもあるので、メーターパネルかセンターディスプレイに変速状況をモニターしてはどうだろう。走ればなんでもいい、という人が買う類いのクルマではないし、見えないところで(モーターとはいえ)メカメカしく働くシステムに感動するのではなかろうか。

ACC、レーンキープアシスト、AEBなど先進安全運転支援システム(ADAS)も充実している。高速道路でACCを試したが、レーンキープアシストと相まって、車線の中央をきちんと維持しつつ前車を追従してくれる。

各グレードの価格差は装備の有無などによって一概に言えないが、E-TECH代は40万円ほどになるだろう。ともあれルーテシアにE-TECHが積めるなら、キャプチャーやメガーヌやこれから登場するあれこれにも期待せざるを得ない。

REPORT/吉岡卓朗(Takuro YOSHIOKA)
PHOTO/平野 陽(Akio HIRANO)
MAGAZINE/GENROQ 2022年 9月号

SPECIFICATIONS

ルノー・ルーテシアE-TECHハイブリッド

ボディサイズ:全長4075 全幅1725 全高1470mm
ホイールベース:2585mm
車両重量:1310kg
エンジン:直列4気筒DOHC
総排気量:1597cc
最高出力:67kW(91PS)/5600rpm
最大トルク:144Nm(14.7kgm)/3200rpm
エンジン:4速
モーター:2速
駆動方式:FWD
サスペンション形式:前マクファーソン 後トーションビーム
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ(リム幅):前後205/45R17(7J)
環境性能(WLTC-L)
燃料消費率:25.2km/L
車両本体価格:329万円

【問い合わせ】
ルノーコール
TEL 0120-676-365
https://www.renault.jp/

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著者プロフィール

吉岡卓朗 近影

吉岡卓朗

Takuro Yoshioka。大学卒業後、損害保険会社に就職するも学生時代から好きだったクルマのメディアに関わり…