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Aston Martin V12 Vantage Roadster
デリバリーは2022年後半にスタート予定
ドラマチックなワイドボディ、地面に低く構えるワイドトレッド・サスペンション、ヴァンテージ ロードスターに初搭載されるパワフルな5.2リッターV型12気筒ツインターボなど、究極のオープンスポーツとして登場したアストンマーティン V12 ヴァンテージ ロードスター。その生産台数は249台のみで、そのすべての車両が発表前に完売したという。
V12 ヴァンテージ ロードスターの生産は2022年の第3四半期に開始される予定。最初のデリバリーは2022年の第4四半期に開始される。アストンマーティンのチーフテクニカル・オフィサーを務めるロベルト・フェデリは、V12 ヴァンテージ ロードスターについて次のようにコメントした。
「V12 ヴァンテージ ロードスターの開発にあたり、V12 ヴァンテージと同等のパフォーマンスとダイナミズムを目標を掲げ、開発作業に取り組んできました。オープントップドライビングでのみ得られる、刺激的でエキサイティングな走りもありますし、性能目標をクリアすることができました」
「お客さまは、歴代ヴァンテージ ロードスターのどのモデルよりも、強大なパワーとトルク、精密なセッティングが施されたシャシー、標準仕様のヴァンテージ ロードスターと比較して最大10倍もの強烈なダウンフォースを手にすることができるでしょう。情熱なお客様が息を呑むようなマシンが完成したと、自信をもって断言できます」
最高出力700psを発揮する5.2リッターV12
爽快なドライビング体験の鍵となるのが、圧倒的な出力を発生するパワーユニットだ。5.2リッター60°V型12気筒DOHCエンジンは、最高出力700ps、最大トルク753Nmを発揮。車重1トンあたりのパワーは372psを誇り、その印象的な出力特性と、素早いギヤチェンジによる加速性能が、けして忘れることのできない走行体験を提供する。
ZF製8速オートマチックトランスミッションと機械式リミテッドスリップ・ディファレンシャル(LSD)を介して、後輪を駆動する。トランスミッションのキャリブレーションを最適化したことで、これまでにない素早いギアチェンジを実現。これにより、0-60mph(0-96km/h)加速はわずか3.5秒、最高速度は322km/hを誇る。
また、トランスミッションの制御システムに採用された「アダプティブ・ソフトウェア」は、走行状況とドライバーの入力を常にモニターし、レスポンスとコントロール性が大幅に向上している。
足まわりに専用セッティングを採用
サスペンションのハードウェアはV12 ヴァンテージと共通だが、アダプティブダンパーに専用チューニングを採用。最高のステアリングフィールとクイックなレスポンスを実現すべく、ステアリングのキャリブレーションは、V12 ヴァンテージの設定を踏襲しながら、独自のアップデートが施されている。
V12 ヴァンテージと同様に、強力な制動力を誇るカーボンセラミックブレーキ(CCB)を標準装備。静動力の大幅アップを実現し、同時に高温でのブレーキフェード耐性も大幅に向上した。さらにスチールブレーキと比較して、バネ下重量を23kgも削減。これにより、ステアリングレスポンスと乗り心地が向上している。
車重をさらに削減するため、フロントバンパー、クラムシェルボンネット、フロントフェンダー、サイドシルなどはカーボンファイバー製に変更。リヤバンパーとデッキリッドは軽量な複合材が使用されている。軽量バッテリーの搭載に加えて、1mm厚の軽量ステンレス・スチール製の専用センターマウント・ツインエキゾースト・システムを導入したことで、ここだけで7.2kgも軽量化された。
あえてリヤウイングを排したエクステリア
V12 ヴァンテージ ロードスターのスタイルは、「形態は機能に従う」というコンセプトに基づいて設計。ヴァンテージより40mm幅広いトレッドを収めるため、見る者を圧倒するワイドボディが導入された。ボディ全体に広がるフロントスプリッターを備えた新形状のフロントバンパーは、追加のダウンフォースを生成し、空力バランスを整える効果を持つ。
また、25%拡大され、形状が見直されたフロントグリルとボンネットのホースシュー・エンジンベントにより、エンジンの冷却性能が大幅アップ。新設計のシングルピースシルとリヤバンパーは、空力性能の向上を念頭に置いたもので、バンパーには一体型ディフューザーを採用。センターマウント・ツインエキゾースト・システムにより、その効果はさらに向上する。
V12 ヴァンテージクーペのようなドラマチックな大型リヤウイングは装着されていないが、オプションでオーダーすることも可能。アンダーボディのエアフローを正確にマネージメントすることで、大型ウイングなしでも理想の空力バランスを達成しており、あえてエレガントで控えめなスタイルをチョイスしたという。
足元には圧倒的な印象を放つ、21インチアロイホイールをチョイス。カラーはサテンブラックかサテンブラック・ダイヤモンド仕上げの2種類から選択することが可能。オプションの軽量鍛造ホイールを装着することで、バネ下重量は8kg削減された。すべてのホイールには、ミシュラン・パイロット4Sハイパフォーマンスタイヤ(フロント:275/35 R21、リヤ:315/30 R21)が組み合わされる。
新形状ウイングロゴが配置されたインテリア
インテリアにはセミアニリンレザーが採用され、新形状のウイングロゴの刺繍とパーフォレーション・パターンを採用したスポーツプラスシートが標準装備される。スポーツドライビングを求めるユーザー向けのオプションとして、ツイル・カーボンファイバー製シェルを使用し、6ウェイ調整機能を備えたカーボンファイバー・パフォーマンスシートも用意された。このパフォーマンスシートは、快適性を犠牲にすることなく、7.3kgの軽量化を実現している。
V12 ヴァンテージ ロードスターのオーナーは、アストンマーティンのビスポーク・サービス「Q by Aston Martin」を活用して、内外装に独自のキャラクターを与えることも可能。アストンマーティンのチーフ・クリエイティブ・オフィサーのマレク・ライヒマンは、V12 ヴァンテージ ロードスターのデザインについて次のように説明している。
「デザインの観点から見ると、V12 ヴァンテージ ロードスターは、彫刻的な造形と有機的なラインが組み合わせられています。その姿は、一流のアスリートやサラブレッドを連想させるものです。その一方で、最高のパフォーマンスから生み出される負荷に対応できるよう、様々なシステムが開発されました。また、効率性を極限まで高めるために、エンジンに取り込むフレッシュエア、車両全体や車両周囲のエアフローを最大限に活用できるよう設計されています」
「このクルマは、オープントップスポーツカーでなければ実現できない、エキサイティングでドラマチックな走りを求めるドライバーのために開発されました。デザイン面において、私たちが意図したコンセプトを現代的に表現できたと考えています。V12 ヴァンテージ ロードスターは、ドライバーが意のままにコントロールすることができる、芸術作品と言えるでしょう」