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DRIVE PILOT
すべてのシステムに導入された二重系統化
条件付き自動運転(SAE レベル3)の導入において、メルセデス・ベンツが最優先するのは安全性と信頼性。自動運転システム「ドライブパイロット」は、起こりうるすべての状況を安全に制御できる、システムアーキテクチャをベースとしている。
そのため、ブレーキ/ステアリング/電源/センサーシステムの一部に、あえて物理的・機能的な冗長性を持たせて設計されている。安全性を重視したシステム設計を行ったことで、メルセデス・ベンツは自動運転において、全く新しいベンチマークを打ち立てたと謳う。
ブレーキシステム、ステアリング、電源、一部のセンサーに加えて、バッテリー、ステアリングモーター、車輪速センサー、データ算出に使用されるアルゴリズムも同様に二重系統化。また、センサーシステムの一部は光学、超音波、電波など異なる物理的概念を相互に補完させることで、機能的なバックアップを持たせている。超音波センサー、水分センサー、マイクロフォンも貴重なデータを提供。合計30以上にも及ぶセンサー類が、ドライブパイロットが自動運転を確実に行えるよう、お互いにサポートしている。
1種類のセンサーに頼らない「冗長性」
メルセデスAGのチーフ・テクノロジー・オフィサー兼製品開発・サプライチェーン担当取締役のマルクス・シェーファーは、ドライブパイロットの「冗長性」について次のように説明する。
「メルセデス・ベンツというブランドは、常に “安全 “を意味しています。ドライブパイロットのような自動運転システムの開発と実装においても、私たちは基準を打ち立てることになりました。レベル3以上の自動運転には、冗長性を持たせることが正しいアプローチであると確信しています」
「センサーに関しては、レーダーやカメラと並んで、LiDAR(ライダー:レーザーを使って遠方にある物体の距離や形状を測定するセンサー)の活用が不可欠だと考えています。あるセンサーの状況依存的な欠点を、別のセンサーの特性で補うことができるのです。1種類のセンサーだけに頼っていては、メルセデス・ベンツの高い安全基準を満たすことはできません」
万が一の状況に陥った場合に備えて
ドライブパイロットを起動すると、速度や車間距離を制御し、現在走行している車線を維持。また、ドイツの高速道路網「アウトバーン」の指定区間では、60km/hまでの交通渋滞の際、一定の条件下で運転操作をシステムに委ねることができる。
万が一、主要なシステムのいずれかに障害が発生した場合、ドライブパイロットのシステムアーキテクチャーが状況を認識。安全にドライバーへとコントロールを引き継ぐ。なお緊急事態によって、ドライバーが運転できなくなった場合、ドライブパイロットは、後続車に危険を及ぼさないよう安全な緊急停止操作を開始する。