目次
Mercedes-AMG C 63 S E Performance
ハイパフォーマンスに高効率という概念を追加
メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンスのパワートレインは、先代モデルの大排気量4.0リッターV型8気筒ツインターボから一転、高効率2.0リッター直列4気筒ターボ+ハイブリッドシステムに変更されたことが最大のトピックだ。EVモードでは13kmの航続距離が確保されたPHEVでもある。ボディタイプは4ドアサルーンとエステート(ステーションワゴン)を2種類をラインアップする。
C 63シリーズとしては初めて完全可変の全輪駆動システム「AMG パフォーマンス 4MATIC+」を採用。後輪操舵の「アクティブ・リヤ・アクスル ステアリング」や、8つのドライビングモードを備えた「AMGダイナミック・セレクト」も導入されている。メルセデスAMGのフィリップ・シーメル会長は、メルセデスAMG C 63 S Eパフォーマンスについて次のようにコメントした。
「C 63 S Eパフォーマンスによって、私たちはAMGブランドの歴史に新章を開くことになります。創業から55年を経た今でも、私たちAMGは大胆な創造性と意志を示し続け、特別な1台を提供しています。新型C 63は、まさにゲームチェンジャーとなる存在です」
「革新的なコンセプトにより、高性能を謳ってきたセグメントに、C 63はまったく新たなアプローチをもたらしました。最高システム出力680psのシステムという抜群の高性能に加えて、インテリジェントなP3ハイブリッドシステムを導入したのです。F1のノウハウをふんだんに採り入れたテクノロジーによって、新たなカスタマーにもアピールできると信じています」
全長と全幅を拡大した堂々たるエクステリア
C 63 S Eパフォーマンスのサルーンとエステートは、Cクラスのボディシェルをベースに大幅な改良が施された。エクステリアデザインは標準ボディのCクラスと比較すると、より筋肉質で伸びやかなプロポーションを手にしている。ボディ前部は50mm延長、フロントフェンダーはトレッドの拡大に合わせて76mmも拡幅化された。さらにホイールベースも10mm伸ばされ、全長はサルーン/エステートともに83mm延長されている。
ボンネット中央の専用エアアウトレットは、そのまま筋肉質なバルジへとエレガントに移行。ボンネットには、メルセデスAMGの市販モデルとして初めて、スリー・ポインテッド・スターに代わって、ブラックの月桂冠をあしらったAMGエンブレムが配されている。
バーティカル・ストラットを備えたAMG専用ラジエーターグリル、ジェットウイング・デザインのAMGフロントエプロンは、メルセデスAMGモデルらしいディテールだ。また、大型インレット、空力を意識したエアカーテンなどにより、抜群のエアフローも実現。フロントエプロン内に配置された2基の電子制御式エアパネルにより、必要に応じてエアフローをコントロールすることもできる。
サイドスカート、大型ディフューザーを備えたリヤエプロン、テールパイプトリムは、サイドからリヤにかけて、エクステリアを引き締める効果が与えられた。サルーンのトランクリッドに採用されたエッジ処理(エステートはルーフスポイラー)、ボディ左サイドのプラグイン・チャージ・フラップ、レッドを基調とした「E PERFORMANCE」ロゴなど、ハイブリッドモデルであることも強烈にアピールしている。
専用シートやステアリングホイールを装備
コクピットには、専用シートレイアウトと特徴的なステッチパターンの「AMGスポーツシート」を採用。カスタマイズを希望するオーナーには、専用カラーや様々な種類のナッパレザー、フロントヘッドレストに入れるエンボス加工の「AMG」エンブレムなど、個性を強調するオプションを選ぶこともできる。
デザインを一新した第2世代「AMGパフォーマンスシート」もオプションで用意。この最高級シートは、シートサイドボルスターに開口部を設けることで軽量化し、同時に通気性も向上させた。また、シートやトリムにナッパレザーをチョイスした場合は、コントラストカラーを配すことで個性を強調することもできる。
お馴染み「MBUX」インフォテインメント・システムには、AMG/ハイブリッドモデル専用ディスプレイと機能を搭載。インストルメントクラスター、センターコンソールの縦置きマルチメディア・センターディスプレイ、オプションのヘッドアップ・ディスプレイには、AMG専用グラフィックが採用されている。
今回、「AMGダイナミック・セレクト」へのショートカットボタンを追加。さらにシステムにサーキットで使用するデータロガー「AMG トラックパック」も統合された。このソフトウェアは、サーキットを走行中に速度、加速度、ステアリング角度、ブレーキペダル操作など、80以上の車両パラメータを1秒間に10回記録。さらに、ラップタイムやセクタータイムも表示される。
標準搭載される「AMGパフォーマンス・ステアリングホイール」は、専用ツインスポークデザインに加えて、シームレスに統合された多機能ボタンも採用。ドライバーはステアリングホイールから手を離すことなく、様々な機能やドライビングモードの操作が可能になった。新機能として、ステアリングホイールのボタンを介して、ハイブリッドドライブの回生レベルを選択することもできる。
F1マシン由来のハイブリッドパワートレイン
アファルターバッハのAMGで開発された2.0リッター直列4気筒「M139l」ターボエンジンに、永久磁石式同期モーター、高性能バッテリー、「AMGパフォーマンス 4マティック+」全輪駆動システムを組み合わせた、プラグイン・ハイブリッド・パワートレインを搭載。P3ハイブリッドシステムは、電動シフト式2速ギヤボックス、電子制御LSDなどがコンパクトな電気ドライブユニット(EDU)として統合されている。
電気モーターはリヤアクスルを直接駆動し、パワーを直接的に推進力へと変えることができるため、発進・加速・追い越しの際に、抜群のパフォーマンスを発揮。メルセデスAMGの開発チームは、電気モーターの追加による性能向上と同時に、車両全体の効率も改善。高性能に加えて、低排出ガスおよび低燃費を実現したと謳う。
エンジン単体で最高出力350kW(476ps)、最大トルク545Nmを発揮し、リヤアクスルに配置される電気モーターの最高出力150kW(204ps)、最大トルク320Nmを加えたことで、システム最高出力500kW(680ps)、システム最大トルク1020Nmという強大なスペックを実現。0-100km/h加速は3.4秒、電子リミッターによる最高速度はサルーンが280km/h、エステートは270km/h(AMGドライバーズ・パッケージ装着車)となっている。
搭載される高効率「AMGハイパフォーマンス・バッテリー(HPB)」は、ドイツ・アファルターバッハのAMGで開発。リチウムイオン・バッテリー技術は、メルセデスAMGペトロナスF1チームのF1マシン用ハイブリッドパワートレインで蓄積されたノウハウがフィードバックされた。
この高性能バッテリーは、容量6.1kWh、定格出力70kW、10秒間のピーク出力150kWを実現。89kgという軽量設計により、1.7kW/kgという非常に高い出力密度を実現した。充電は3.7kWオンボードAC充電器を使用し、充電ステーションや家庭用コンセントから行うことができる。また、EVモードでは13kmという実用的な航続距離を確保したという。
状況に合わせて選べる8つのドライビングモード
「AMGダイナミック・セレクト」は8つのドライビングモードを用意。「エレクトリック(Electric)」「コンフォート(Comfort)」「バッテリー・ホールド(Battery Hold)」「スポーツ(Sport)」「スポーツ+(Sport+)」「レース(RACE)」「スリッパリー(Slippery)」「インディビジュアル(Individual)」の各モードは、新しいドライブトレインテクノロジーに合わせて最適化された。
それぞれのドライビングモードは、駆動システムやトランスミッションのレスポンス、ステアリング特性、サスペンションのダンピング、サウンドなどの重要なパラメータを調整。電気モーターのブーストパワーも、選択したモードによって異なっている。
ドライビングモードは、センターコンソールのディスプレイ、もしくはAMGパフォーマンス・ステアリングホイールのボタンで選択が可能だ。