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Porsche 911 GT3 RS
Type 992 × Type 991.2
まずは驚異的なパワースペックを比較する
2022年8月にデビューした新型911 GT3 RSは、純粋なレーシングカーである911 GT3 R自慢の空力テクノロジーを直接継承し、現行タイプ992のもつポテンシャルを最大限にまで引き上げたモデルだ。ナナサンカレラから続くRSの系譜の集大成ともいえる最新911 GT3 RSは、先代のGT3 RS同様、自然吸気の4.0リッター水平対向6気筒ユニットを搭載。最高出力は先代よりプラス5ps、一転、最大トルクは5Nm低められている。
エンジンスペック
搭載ユニット:4.0リッター水平対向6気筒自然吸気
ボア×ストローク:102.0×81.5mm
総排気量:3996cc
駆動方式:後輪駆動
トランスミッション:7速PDK
992型パワースペック
最高出力=525ps/8500rpm
最大トルク=465Nm/6300rpm
最高回転数=9000rpm
991Ⅱ型パワースペック
最高出力=520ps/8250rpm
最大トルク=470Nm/6000rpm
最高回転数=9000rpm
ボディディメンションはどれほど変わった?
新型GT3 RSはレーシングカー並みの大型エアロパーツを多数搭載しているため、ボディサイズは先代より拡大。一方、CFRP素材を活用した軽量化施策により、車重の増加はできる限り抑え込んでいる。
911 RSR由来のテクノロジーとして、センタータンク内に大型のラジエータを収納し、その分生まれた余白スペースに高度な可変空力デバイスを装着した新型GT3 RS。それでいて車重が先代からわずか20kgしか増えていない点に、エンジニアの苦労がよく表れている。なお、パワーウェイトレシオは先代が2.75kg/ps、新型が2.76kg/psと、極めて近い数値を実現している。
992型ディメンション
全長×全幅×全高=4572×1900×1322mm、ホイールベース2457mm
前後トレッド=前1630 後1582mm
車両重量=1450kg
991Ⅱ型ディメンション
全長×全幅×全高=4557×1880×1297mm、ホイールベース2453mm
前後トレッド=前1588 後1557mm
車両重量=1430kg
先代の2倍以上を誇るダウンフォースを確保
調整可能な巨大リヤスポイラーや、フロントスポイラーに備えた「ルーバーベント」、ワイド化したフロントリップスポイラーなど、RS専用のエアロダイナミクスを追求した先代は、先々代を大幅に上回るダウンフォース量を確保していた。そして、「DRS」を可能にするスワンネックの上下分割式リヤウイングをはじめ、高度な可変空力デバイスを盛り込んだ最新型では、その性能をさらに凌駕する空力性能を実現している。
992型ダウンフォース
- 200km/h走行時=409kg
- 285km/h走行時=860kg
991Ⅱ型ダウンフォース
- 200km/h走行時=144kg
- 300km/h走行時=416kg
「2」の数値に15km/hの差があるのは、最高速度による。先代の310km/hに対して、より強大なダウンフォースと高いコントロール性能を追求した新型では296km/hに留めているためである。
なお、標準タイヤは先代がフロント265/35ZR20、リヤ325/30ZR20、新型はフロント275/30ZR20、リヤ335/30ZR21を装着する。
3000万円超えとなった新車価格
上記に列記した数々の条件の結果、新旧GT3 RSは次のとおり、まったくといっていいほど同じ加速性能(カタログ値)を実現している。
新旧GT3 RSは、“サーキット走行が日常の一部”というユーザーに向けたクルマだけに、無償の「クラブスポーツパッケージ」(ロールバー、消火器、6点式ハーネスなどのセット)と、有償の軽量化オプションとして「ヴァイザッハパッケージ」を用意する点も共通している。
992型パフォーマンス
0-60mph加速=3.0秒
0-99mph加速=6.9秒
0-124mph加速=10.6秒
1/4マイル=10.9秒
49-74mph=1.8秒
991Ⅱ型パフォーマンス
0-60mph加速=3.0秒
0-100mph加速=6.9秒
0-124mph加速=10.6秒
1/4マイル=10.9秒
50-75mph=1.8秒
車両価格は、先代の新車発売時が2692万円、新型は3134万円。先代の中古車市場価格が比較的高めに推移していること、そしてなにより、モータースポーツ由来の先進空力テクノロジーを積極的に採用した極めてスパルタンな仕上がりに鑑みると、3000万円強の新車価格は魅力的といえるかもしれない。