目次
Zenvo TSR-GT
最高出力1378PSを発揮するV8スーパーチャージャー
ゼンヴォ TSR-GTは3台のみがデンマークで製造され、すでにすべてがハイパーカーコレクターに販売されている。TSR-GTは、最高速アップを狙った低ドラッグ仕様。エアロダイナミクスが見直され、搭載される5.8リッターV型8気筒スーパーチャージャーエンジンは、大幅なパワーアップを果たした。
空気抵抗の低減を狙い、高ダウンフォースを発揮する可変型センティピアルウイングに変わり、ル・マン24時間レース用プロトタイプのように流線形のリヤセクションを採用した。また、新形状のエアロホイールカバーも低ドラッグに貢献。新たに導入された空力パーツはすべて、プリプレグ・カーボンファイバー製となっている。
自社開発の5.8リッターV型8気筒ツインスーパーチャージャーエンジンは標準仕様の1193PSから1378PSにまで引き上げられた。インレットプレナムとエキゾーストマニホールドを改良し、エンジンの容積効率が大幅に向上。フレックス燃料センサーが搭載されたことで、従来のガソリンに加えて、持続可能なハイエタノールE85燃料での走行も可能になった。
このパワフルなエンジンにゼンヴォ製ヘリカルカットドッグ式トランスミッションを組み合わせたことで、最高速は325km/hから424km/hにまで引き上げられている。
より快適に進化したインテリア
インテリアもベースとなったTSR-Sから大幅に変更された。レーシングカーのようなネイキッドカーボンファイバー製から、リアルレザーを組み合わせたよりラグジュアリーなコクピットへと進化している。ダッシュボード、シート、ステアリングホイールはアルカンターラからレザーに変更され、カーボンファイバーのフロアパネル上には、ロードノイズを軽減するレザーエッジのベロア製フロアマットが採用された。
ゼンヴォ・オートモーティブのCCO兼、取締役会長を務めるイェンス・スベルドロップはTSR-GTについて、次のようにコメントした。
「ゼンヴォに今、新たな時代が到来しています。その前に、私たちはTSプラットフォームをベースに、ラグジュアリーなGT仕様を開発しました。2022年8月にティム・バートンへと納車されたTSR-Sのように、TSR-GTは世界のコレクターに割り当てられ、3台のみが製造されます」
2023年中盤に新規開発のニューモデルを発表
今回発表されたTSR-GTは、2016年に発表された「TS」シリーズの最終進化型となる。すでにソールドアウトした3台をもって、TSプラットフォームの開発を終了。ゼンヴォ・オートモーティブは、2023年中盤にもゼロから開発されたニューモデルの投入を予定している。
「TSシリーズの最終モデルであるTSR-GTは、ゼンヴォの伝統的な美学を踏襲しながらも、大胆なスタイリング変更を行いました。2016年に発表したTSプラットフォームは、レース専用のTSR、TS1 GT、そしてTSR-Sと進化を続けてきました。この成功したシリーズの最新、そしておそらく最後のモデルは、限定生産されるこのTSR-GTとなります」と、スベルドロップは付け加えた。
ニューモデル発表後も、現在バックオーダーを抱えているTSR-Sの製造は、デンマークにおいて継続される予定だ。