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Audi RS 3 Sedan
現代のスポーツクワトロ
子供の頃からアウディのレース活動に憧れていた。筆者がル・マン24時間で総合優勝したLMPマシンが、アウディR8だったこともあるが、WRCで5気筒ターボにクワトロの組み合わせで見せたスポーツクワトロの強さをよく覚えている。今回ドライブしたRS 3は、まさにそのパッケージの進化型と言っても良いだろう。
前日の雨で濡れた路面が乾き始めた難しいコンディションの中、400PSのエンジンに火を入れてスタート。走行時間が限られているので、走行モードはトラックのみ。スタビリティコントロールはスポーツモードで走行した。気温は低いが、乾いたラインを外さずに正確に走らせればドライコンディションだ。
最終コーナーを立ち上がり重視のラインでストレートスピードを稼ぐ。RS 3のパワーだと、筑波サーキットのストレートはあっという間だ。シフトレンジはSモード。アウディのSモードは昔からドライバーのイメージに近い。ブレーキングからターンインでの前後荷重のバランスが丁度良くなると、このRS 3は理想的なスライド量で旋回してくれる。
理想的なコーナリングライン
エンジンパワーとのバランスが良く、4WD的なアンダーステアはない。逆にアクセル操作でリヤタイヤが少しスライドした弱オーバーステアで加速するので多めのアクセル開度で加速できる。ダンロップコーナーでは優しいブレーキングでクルマの向きを変えるが、リヤタイヤのスライド量は狙い通りに合わせられる。
最終コーナーのブレーキングでの姿勢コントロールはまさに自由自在でスライドしながら狙ったところを確実に捉えられる。最終コーナーの旋回中にアクセルオンしていくと、クルマはコーナーに対して自然に回り込んでいく。単純にリヤが流れてしまうオーバーステアではなく、行きたい方向に自然に回り込んでいく。これはリヤタイヤよりもフロントタイヤが太い設定だからか、それともトルクベクタリングが装備されているためか? いずれにせよ最終コーナーを理想的なコーナリングラインを描いて走れる。電子デバイスに邪魔される感覚はなく、逆に上手く乗れている印象を与えてくれる。
まさに一目惚れの出来
筑波サーキットを走ってもアンダーステアを感じず良く曲がり、力のある5気筒ターボエンジンとAWDで、「なんて気持ちいいクルマだ!」と感動した。初めて乗ったが、まさにひと目惚れの出来だ。
REPORT/荒 聖治(Seiji ARA)
PHOTO/市 健治(Kenji ICHI)
MAGAZINE/GENROQ 2023年2月号
SPECIFICATIONS
アウディRS3セダン
ボディサイズ:全長4540 全幅1850 全高1410mm
ホイールベース:2630mm
車両重量:1600kg
エンジン:直列5気筒DOHCターボ
総排気量:2480cc
ボア×ストローク:82.5×92.8mm
圧縮比:10
最高出力:294kW(400PS)/5600-7000rpm
最大トルク:500Nm(51kgm)/2250-5600rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前265/30R19 後245/35R19
最高速度:250km/h(電子制御)
0-100km/h加速:3.8秒
燃料消費率:11.4km/L
車両本体価格(税込):839万円