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Ferrari 499P
スピードだけでなく開発力や安定性も重視
フェラーリは2023年シーズンのFIA 世界耐久選手権(WEC)のトップカテゴリー「ル・マン・ハイパーカー(LMH)」クラスにフェラーリ 499Pで参戦。1月10日、WECにエントリーする6名のワークスドライバーを発表した。
フェラーリは2022年にイタリア・イモラで開催されたフィナーリ・モンディアーリで、499Pをワールドプレミア。50年ぶりに耐久選手権にワークス復帰するフェラーリは、トヨタやプジョーが参戦するLMH規定に向けて、プロトタイプレーシングカーを独自に開発。499Pはフェラーリ製3.0リッターV型6気筒ツインターボエンジンに電気モーターとXトラック製ギヤボックスが組み合わせられた。
復帰シーズンに向けてフェラーリは、元F1ドライバーのアントニオ・ジョヴィナッツィやLM-GTE Proクラスのチャンピオン経験を持つアレッサンドロ・ピエール・グイディら経験豊富なドライバーを確保。フェラーリのGTスポーティング部門を率いるアントネッロ・コレッタは、2023年シーズンに向けたドライバーラインナップについて次のようにコメントした。
「3月17日に決勝レースが行われるWEC開幕戦セブリングを前にクルーの選定が終わり、プログラムは準備の最終段階を迎えました。2022年7月に行われた499P最初のシェイクダウン以来、フェラーリ・ファミリーのドライバーたちを含め、私たちはノンストップで作業を続けてきたのです」
「ドライバーラインナップの決定は、参戦レースだけでなくチャンピオンシップにおけるチームの成長にも関わってきます。だからこそスピードだけでなく、開発力や安定性などをドライバーに求めました」
GTレースで経験豊富な3人を揃えた50号車
2023年シーズンのWECに、フェラーリは50号車と51号車の2台体制で参戦。フェラーリの耐久レース挑戦50周年を記念したレーシングナンバー「50」が与えられた50号車は、アントニオ・フォコ(イタリア)、ミゲル・モリーナ(スペイン)、ニクラス・ニールセン(デンマーク)の3名がドライブする。
フォコとモリーナは、2022年シーズンのバーレーン8時間レースでクラス優勝し、フェラーリのWEC GTEマニュファクチャラーズ選手権タイトルに大きな役割を果たした。また、ニールセンは、WEC LMP2プロアマ・クラスの世界タイトル獲得経験を持ち、フェラーリ・チャレンジでも幾度となく勝利を重ねてきたドライバーだ。
「フェラーリが50年ぶりに世界耐久選手権のトップカテゴリーに復帰するのは、歴史的なニュースと言えるでしょう。このプログラムへの参加は私にとっても大きな挑戦です。責任感と同時に『素晴らしい仕事をしたい』という意欲も湧いています。誕生から立ち会ってきた私にとって、このプログラムは特別な存在です。テストではハードワークを続けていますし、セブリングで走るのが本当に楽しみです」と、フォコはコメントした。
元F1ドライバーのジョヴィナッツィが加入
51号車の499Pは、アントニオ・ジョヴィナッツィ(イタリア)、ジェームス・カラド(英国)、アレッサンドロ・ピエール・グイディ(イタリア)の3人がドライブ。カラドとグイディは、AFコルセがプリペアしたフェラーリ 488 GTE Evoで、WEC LM-GTE Proクラス王者を獲得しており、ここにF1参戦経験を持つジョヴィナッツィが加わったかたちだ。
F1に参戦するスクーデリア・フェラーリのリザーブドライバーを務めながら、WECにも挑むことになるジョヴィナッツィは次のように意気込みを語った。
「499PのWECデビューは、フェラーリの歴史において決定的な瞬間となるでしょう。この特別な瞬間に立ち会えることを心から光栄に感じています。大きな責任を負っていることを謙虚に受け止め、自分たちの力を信じて、この大きなチャレンジに臨むことになります」