驚異の421PSを発揮する2リッターターボを積むA45とシビック・タイプRを比較

最強の2.0リッターターボの呼び声高い「メルセデスAMG A45 S 4マティック」と「ホンダ シビック タイプR」を比較

同じ2.0リッター直4ターボエンジンを搭載する2台。しかしA45 Sに搭載されるエンジンは421PSで、シビック タイプRの差は91PSと圧倒的。
同じ2.0リッター直4ターボエンジンを搭載する2台。しかしA45 Sに搭載されるエンジンは421PSで、シビック タイプRの差は91PSと圧倒的。
近い将来の生産終了がウワサされているメルセデス・ベンツのエントリーモデルであるAクラス。そのコンパクトなボディに刺激的なAMGエンジンを搭載した「メルセデスAMG A45 S」は、「ホンダ・シビック・タイプR」同様に、ホットハッチ好きにはたまらない選択肢のひとつだ。しかし、両車が目指す方向性や世界観は大きく異なっている。そんな両極端のスポーツコンパクト2台を比較検討した。

MERCEDES-AMG A 45 S 4Matic
×
HONDA Civic Type R

車重はなんと200kg超も違う

ハッチバックとセダン、2種類のボディが用意されているAクラスだが、A45 S 4MATIC+(以下、A45 S)はハッチバックボディのみに設定されている最高峰のモデル。シビック タイプRとボディサイズを比較すると、全長は150mm、全幅も40mmシビック タイプRが上回っている。全高とホイールベースはそれぞれ5mm差となっており、シビック タイプRの方がよりワイド&ローなスタイリングになっている。

特筆すべきはボディサイズの小さなA45 Sが車両重量で210kgも重い。これは、駆動方式やエンジン、そして快適装備の有無によって生じている差だが、車格が異なるほどの違いだ。

ホンダ・シビック タイプR

全長4595×全幅1890×全高1405mm、ホイールベース2735mm
車両重量=1430kg

メルセデスAMG A45 S 4MATIC+

全長4445×全幅1850×全高1410mm、ホイールベース2730mm
車両重量=1640kg

両車19インチのタイヤだが幅は異なる

両車とも19インチの大径タイヤ&ホイールが標準装備されるが、シビック タイプRが履くタイヤのトレッドはよりワイドであり、車両のトレッド自体もA45 Sより広く確保している。ただ、そのためシビック・タイプRの最小回転半径は5.9mでこのクラスにしては大きく、5.4mのA45 Sの方が取り回しに優れている。

ホンダ・シビック タイプR

タイヤサイズ=265/30ZR19
トレッド(前/後)=1625/1615mm

メルセデスAMG A45 S 4MATIC+

タイヤサイズ=245/35R19
トレッド(前/後)=1560/1560mm

2.0リッター最強クラスのエンジンを積むA45 S 4MATIC+

同じ2.0リッター直4ターボエンジンを搭載するが、A45 Sに搭載されるエンジンは、2.0リッターながら421PSで、シビック タイプRの差は91PSと圧倒的だ。そのほかのライバルと比較しても突出している。最大トルクもシビック タイプRを80Nm上回って500Nmの大台に達するほどだ。

ただし、ハイチューンエンジンゆえにA45 Sのパワーバンドはシビック タイプRより狭くなっており、燃費面でも1.4km/リットルの差を付けられている。良いことづくめではないかもしれないが、0-100km/h加速3.9秒という2.0リッターで最強クラスの加速を味わえるのは、A45 Sならではの魅力だろう。

ホンダ・シビック タイプR

エンジン形式=直列4気筒ターボ
排気量=1995cc
最高出力=330PS/6500rpm
最大トルク=420Nm/2600-4000rpm
WLTC燃費=12.5km/リットル
トランスミッション=6速MT
駆動方式=FWD

メルセデスAMG A45 S 4MATIC+

エンジン形式=直列4気筒ターボ
排気量=1991cc
最高出力=421PS/6750rpm
最大トルク=500Nm/5000-5250rpm
WLTC燃費=11.1km/リットル
トランスミッション=8速DCT
駆動方式=AWD

コストパフォーマンスではA35も選択肢に

A45 Sほどのハイパフォーマンスを求めないのであれば、A35というモデルも十分に魅力的だ。A45 Sに対して115PSダウンとなるものの、それでも306PSという高出力を発揮し、駆動方式はAWD。0-100km/h加速は4.7秒となる。

シビック タイプRの330PSには及ばないものの、A45 Sの871万円という価格に対して約150万円も安く、724万円という価格もうれしいところ。499万7300円のシビック タイプRには敵わないものの、A35はコストパフォーマンス面では優秀な存在だ。

メルセデスAMG A35 4MATIC

エンジン形式=直列4気筒ターボ
排気量=1991cc
最高出力=306PS/5800-6100rpm
最大トルク=400Nm/3000-4000rpm
WLTC燃費=12.1km/リットル
トランスミッション=7速DCT
駆動方式=AWD

メルセデス・ベンツ Aクラス ハッチバックと、メルセデス・ベンツ Aクラス サルーン。

メルセデス・ベンツのエントリーモデル「Aクラス」がマイナーチェンジし、PHVモデルの航続距離が大幅延長

メルセデス・ベンツは、エントリーモデル「Aクラス」の改良新型を発表。プラグインハイブリッド(PHV)を含む豊富なパワーユニット、ハッチバックと4ドアサルーンをラインナップし、上質なエクステリアデザインは細部にまでこだわって変更が施された。インフォテインメントシステム「MBUX」は、最新世代にアップデートを果たしている。

羊の皮をかぶった狼を体現するゴルフRと、全身からただ者ではない雰囲気を醸し出すシビック・タイプR。どちらも独特の魅力を持っている。

エンジン性能が似た「ホンダ シビック タイプR」と「フォルクスワーゲン ゴルフR」2台のRを比較する

Cセグメントハッチバック随一のハイパフォーマンスモデルという括りで見れば、シビック・タイプRとゴルフRは、好敵手といえる関係だ。しかし、そのキャラクターはやや異なる。ニュル最速を宿命づけられた、いわばゴリゴリの体育会系であるシビック・タイプRに対して、ゴルフRの普段の顔は紳士的。ただし、そのマイルドな乗り味は、いつでも狂気じみた走りに変貌できるのだが……。

もはやホットハッチとは呼べないほどのパフォーマンスを備えるシビック・タイプRとメガーヌR.S.。日本市場での価格はシビック・タイプRに分がある。

永遠のライバル「ホンダ・シビック・タイプR」と「ルノー・メガーヌR.S.」をスペックから冷静に比較する

「FF最速」の称号をかけて争う、自他ともに認めるライバルといえば、ホンダ・シビック・タイプRとルノー・メガーヌR.S.だ。相手が持つニュルブルクリンク北コースのFF車最速タイムを塗り替えることは、両車に与えられた至上命題と言える。シビック・タイプRが新型へと生まれ変わった今、どちらが最速の称号を手にするのだろうか。

キーワードで検索する

著者プロフィール

古川 裕 近影

古川 裕

新型モデルを比較することを信条とするフリーランスジャーナリスト。過去にはゲンロクWebを運営する三栄に…