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Bugatti W16 Mistral
デザイン・ダイレクターも来日
ブガッティの最新モデル、「W16 ミストラル」が日本に上陸した。これは2022年9月に発表されたクルマで、その名前は南仏コート・ダジュールから地中海へと吹く風から命名された。
一見するとシロンと似ているが、そのボディパネルは完全なオリジナル。生産される99台はすべてロードスターで幌の用意もない。エンジンは8リッターW型16気筒クワッドターボで、パワーは1600PS。最高速度は約420km/hに達する。
この日のために来日したデザイン・ダイレクターのアヒム・アンシャイト氏は「ブガッティ初のロードスターとして登場した1934年のタイプ57ロードスター・グランドレイドがデザインのイメージにありました。ウインドウラインからボディサイドへつながる“ブガッティライン”は従来よりもシンプルながら存在感を増しています。これは日本の美意識にも通じるものがあると思っています。またフロントからリヤへとつながるセンターのプレスラインもタイプ57クーペアトランティークから通じるブガッティのDNAです。テールライトのXのラインは1998年に発表したボリードからインスパイアしたものです」と語った。
タイプ57のグランドレイドに倣い
またブガッティのシンボルとも言えるフロントグリルのホースシューは歴代の中でも最も大きく、またLEDヘッドライトは縦型となっている。この縦型ヘッドライトもエアロダイナミクスを追求した結果だという。
今回、東京で披露されたモデルはブラックのボディにブラックとイエローのインテリア。もちろんユーザーはさまざまなカラーをオーダーすることが可能だが、この組み合わせはタイプ57ロードスター・グランドレイドに倣ったもので、これがW16ミストラルのイメージカラーとなる。
アナログ式スピードメーターは500km/hスケール
手作りのインテリアはブガッティらしさに溢れているが、従来よりも金属のパーツが少ないのが印象的。メーターは中央に500km/hスケールのアナログ式スピードメーターを置き、両側はさまざまな表示が可能なTFTパネルを装備。センターコンソールの4つのノブは空調関係のスイッチだ。
シフトノブは一部が琥珀を思わせる素材が用いられ、その中にダンシングエレファントの象のモチーフが入れられる。これはエットーレ・ブガッティの弟であるレンブラント・ブガッティがデザインしてボンネットマスコットとして用いられたものだ。
ミストラルで幕を下ろすW16ヒストリー
同じくこの発表会のために来日したマネージング・ダイレクターのヘンドリック・マリノウスキー氏は「W16気筒のブガッティは2005年からおよそ1000台生産されましたが、そのヒストリーはこのW16 ミストラルで幕を閉じます。現在我々は新たなハイブリッドマシンを開発中であり、その姿は今年の秋にはご覧いただけるでしょう」とコメントした。
世界限定99台のみが生産されるW16 ミストラルは、ブガッティのひとつの時代のファイナルを飾るクルマとして未来永劫語り継がれる存在となるだろう。価格は500万ユーロだが、すでにウェイティングの状態だという。