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NOKIAN TYRES HAKKAPELIITTA R5
雪道タイヤのパイオニア
今年も強い寒波や大雪のニュースをしばしば耳にするようになったが、雪道の走行に欠かせないのがスタッドレスタイヤだ。とはいえ、市場には国内外の多くのスタッドレスが溢れていて、一体何を選んでいいのかわからない、という状況に陥ってしまうことも多いだろう。ブランドで選ぶか価格で選ぶか、迷うところだが、やはり雪道での安定した性能を得るためにはある程度信頼できるブランドのものを選びたい。
そこで注目したいのが、ノキアンタイヤだ。あまり聞いたことがない、という人もいるかもしれないが、ノキアンタイヤはフィンランド生まれのタイヤメーカーで、実は1934年に世界で初めてウインタータイヤを発売した雪道タイヤのパイオニアブランド。
北欧という厳しい冬季環境の中で育てられてきただけに、スタッドレスタイヤの性能の高さは世界中で高く評価されており、今ではメルセデス・ベンツやBMW、ジャガー、ボルボ、ランドローバー、テスラといった多くのプレミアムブランドから推奨タイヤの指定を受けている。
乾燥路でも雪道でも快適
そのノキアンタイヤの最新スタッドレスタイヤがハッカペリッタR5。氷雪路はもちろんのこと、ドライ路面での性能もさらに向上させており「すべてが新しい」と謳う。トレッドパターンのデザインは、V字型をベースにした回転方向指定タイプで、まるでスポーツタイヤのようなルックスでカッコいい。表面を触ってみると非常に柔らかく、いかにも雪をしっかりと掴んでくれそうだ。コンパウンドにはアークティックグリップクリスタル配合し、これが優れた氷上性能を発揮するそうだ。実際にその性能を確かめるべく、ボルボV40クロスカントリーにハッカペリッタR5(225/50R17)を装着し、雪道へと繰り出してみた。
山道を登り、路面にだんだんと雪が増えてくるとステアリングを握る手にも緊張で自然と力が入ってくるが、V40CCは路面が完全に雪に覆われてもそれまでと変わらぬ様子で淡々と走り続ける。雪道の表面は細かな凸凹が多いのだが、不快な振動や騒音は最小限に抑えられている。ハッカペリッタR5は舗装路での快適性も非常に高いが、それは雪道でもそのまま当てはまるようだ。
コーナーでステアリングを切り込むとクルマは素直に向きを変え、またグリップの様子がしっかりと手のひらに感じられる。左右に細かくステアリングを振ってみても、タイヤが雪に確実に噛んでいる、という手応えがしっかりとあるので不安感はまるでなく、クルマを意のままに動かすことができる。タイヤのアウター部分に大きめのブロックを配置して横方向のグリップを高めているそうだが、コーナーでの安定感は過去に経験したスタッドレスタイヤの一枚上を行く、という印象だ。
全方位に高いグリップ性能
あえて急発進や急ブレーキも試みてみたが、縦方向のグリップも非常に高い。コーナー手前でのブレーキングも滑る気配がまったくないので、慣れてくるとブレーキポイントがどんどん奥に行ってしまったほどだ。調子に乗ってコーナーでスロットルを強めに踏んでみると、さすがにグリップを失ってしまうが、その動きも穏やかでわかりやすく、またブレーキやスロットルの調整ですぐにグリップが回復するので、安心感は非常に高い。積極的な雪道でのスポーツドライブにもしっかりと応えてくれる楽しさもある。
全方位のグリップ性能の高さだけでなく、コントロールのやりやすさ、という部分で非常に優れた面を見せてくれたハッカペリッタR5。これが乗り手に与える心理的な安心感は非常に大きい。氷雪路を安心安全に、そして走りの楽しさも味わいたい。そんなドライバーにとって非常に魅力的なスタッドレスタイヤの選択肢だと言えるだろう。