雪シーズン真っ只中に最新スタッドレスを試乗

「やはり北欧生まれは違う」安心の雪上走行性能を持つノキアンタイヤ最新スタッドレスを試す

トレッドはV字パターンでストレートグルーブを持たない。トレッドブロック数を先代モデルより40%増やし、エッジ効果を高めている。
トレッドはV字パターンでストレートグルーブを持たない。トレッドブロック数を先代モデルより40%増やし、エッジ効果を高めている。
雪国に住んでいないといまひとつ実感のわかない冬用タイヤ選び。しかし、最強寒波などと脅かされると、より安心感の高いスタッドレスを選びたいところだ。GENROQ本誌編集長のゲン永田が評判の高いノキアンの最新モデルを装着して、雪道に繰り出した。

NOKIAN TYRES HAKKAPELIITTA R5

雪道タイヤのパイオニア

多少ラフなスロットルワークを行なっても挙動は安定している。
多少ラフなスロットルワークを行なっても挙動は安定している。

今年も強い寒波や大雪のニュースをしばしば耳にするようになったが、雪道の走行に欠かせないのがスタッドレスタイヤだ。とはいえ、市場には国内外の多くのスタッドレスが溢れていて、一体何を選んでいいのかわからない、という状況に陥ってしまうことも多いだろう。ブランドで選ぶか価格で選ぶか、迷うところだが、やはり雪道での安定した性能を得るためにはある程度信頼できるブランドのものを選びたい。

そこで注目したいのが、ノキアンタイヤだ。あまり聞いたことがない、という人もいるかもしれないが、ノキアンタイヤはフィンランド生まれのタイヤメーカーで、実は1934年に世界で初めてウインタータイヤを発売した雪道タイヤのパイオニアブランド。

北欧という厳しい冬季環境の中で育てられてきただけに、スタッドレスタイヤの性能の高さは世界中で高く評価されており、今ではメルセデス・ベンツやBMW、ジャガー、ボルボ、ランドローバー、テスラといった多くのプレミアムブランドから推奨タイヤの指定を受けている。

乾燥路でも雪道でも快適

そのノキアンタイヤの最新スタッドレスタイヤがハッカペリッタR5。氷雪路はもちろんのこと、ドライ路面での性能もさらに向上させており「すべてが新しい」と謳う。トレッドパターンのデザインは、V字型をベースにした回転方向指定タイプで、まるでスポーツタイヤのようなルックスでカッコいい。表面を触ってみると非常に柔らかく、いかにも雪をしっかりと掴んでくれそうだ。コンパウンドにはアークティックグリップクリスタル配合し、これが優れた氷上性能を発揮するそうだ。実際にその性能を確かめるべく、ボルボV40クロスカントリーにハッカペリッタR5(225/50R17)を装着し、雪道へと繰り出してみた。

山道を登り、路面にだんだんと雪が増えてくるとステアリングを握る手にも緊張で自然と力が入ってくるが、V40CCは路面が完全に雪に覆われてもそれまでと変わらぬ様子で淡々と走り続ける。雪道の表面は細かな凸凹が多いのだが、不快な振動や騒音は最小限に抑えられている。ハッカペリッタR5は舗装路での快適性も非常に高いが、それは雪道でもそのまま当てはまるようだ。

コーナーでステアリングを切り込むとクルマは素直に向きを変え、またグリップの様子がしっかりと手のひらに感じられる。左右に細かくステアリングを振ってみても、タイヤが雪に確実に噛んでいる、という手応えがしっかりとあるので不安感はまるでなく、クルマを意のままに動かすことができる。タイヤのアウター部分に大きめのブロックを配置して横方向のグリップを高めているそうだが、コーナーでの安定感は過去に経験したスタッドレスタイヤの一枚上を行く、という印象だ。

全方位に高いグリップ性能

グリップの様子がステアリングを通して確実に伝わってくるので、安心してブレーキを踏み、ステアリングを切り込んでいける。
グリップの様子がステアリングを通して確実に伝わってくるので、安心してブレーキを踏み、ステアリングを切り込んでいける。

あえて急発進や急ブレーキも試みてみたが、縦方向のグリップも非常に高い。コーナー手前でのブレーキングも滑る気配がまったくないので、慣れてくるとブレーキポイントがどんどん奥に行ってしまったほどだ。調子に乗ってコーナーでスロットルを強めに踏んでみると、さすがにグリップを失ってしまうが、その動きも穏やかでわかりやすく、またブレーキやスロットルの調整ですぐにグリップが回復するので、安心感は非常に高い。積極的な雪道でのスポーツドライブにもしっかりと応えてくれる楽しさもある。

全方位のグリップ性能の高さだけでなく、コントロールのやりやすさ、という部分で非常に優れた面を見せてくれたハッカペリッタR5。これが乗り手に与える心理的な安心感は非常に大きい。氷雪路を安心安全に、そして走りの楽しさも味わいたい。そんなドライバーにとって非常に魅力的なスタッドレスタイヤの選択肢だと言えるだろう。

ドライ路面での圧倒的な静粛性と乗り心地の良さ、高いハンドリング性能は夏タイヤと比肩するほどである。

雪道での性能が高い北欧生まれの「ノキアン ハッカペリッタR5」は乾燥した舗装路や燃費にも優れるのか?

知る人ぞ知る北欧フィンランドのタイヤメーカー、ノキアンタイヤ。世界初のウインタータイヤを生み出した高い技術力により、メルセデス、BMW、ボルボ、ジャガー・ランドローバー、テスラの推奨タイヤにも指定される。そんなノキアンタイヤが放つ新スタッドレス、ハッカペリッタR5をドライ路面でテストしてみた。

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著者プロフィール

永田元輔 近影

永田元輔

『GENROQ』編集長。古典的ジャイアンツファン。卵焼きが好き。愛車は993型ポルシェ911。カメラはキヤノン。