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BMW iX5 Hydrogen
100台弱の燃料電池仕様を少量限定生産
BMW iX5 ハイドロジェンのパイロット仕様は、100台弱が限定生産され、イベントなどでのデモンストレーション走行に加えて、世界各国の様々なグループによってテスト運用される予定。国際的な展開により、これまで水素自動車を経験してこなかった層へとアプローチすることになり、一般的なカスタマーが iX5 ハイドロジェンの魅力を直接感じられる機会も増える予定だ。
BMW AGの取締役会会長、オリバー・ジプセは、 iX5 ハイドロジェンの少量生産について次のようにコメントした。
「水素は非常に汎用性の高いエネルギー源です。エネルギー転換のプロセス、さらに気候保護において、重要な役割を担っています。水素は再生可能エネルギーを貯蔵・輸送する最も効率的な方法のひとつだからです」
「この水素が持つ大きなポテンシャルを活かし、モビリティ分野の変革も加速させなければなりません。水素は排出ガスのない自動車を実現するための、ジグソーパズルに最後のピースだと言えるでしょう。ひとつの技術だけでは、世界中で気候変動に左右されないモビリティを実現するには十分ではないからです」
X5をベースにトヨタ製燃料電池を搭載
現行のX5をベースに開発された「iX5 ハイドロジェン」は、2019年のフランクフルト・モーターショーでコンセプトカーとしてワールドプレミア。その後、初期プロトタイプが、IAAモビリティ2021で公開された。会場内のシャトル・ビークルとしても活用され、来場者は実際の走行を体験している。
BMWグループは、将来的なゼロエミッション実現に向け、バッテリー駆動電気自動車(BEV)を補完するオプションとして、水素燃料電池技術の開発を計画的に進めている。燃料電池システムは、パートナーのトヨタ自動車から調達。両社はBMW Z4/トヨタ スープラの共同開発をはじめ、長年にわたり強力なパートナーシップを築いており、2013年からは燃料電池駆動システムでも協業を開始している。
iX5 ハイドロジェンは、ドイツ・ミュンヘンの研究革新センター(FIZ)にあるBMWグループのパイロット・プラントで組み立てられる。高効率・燃料電池システムもミュンヘンの水素コンピテンス・センターで製造。BMWグループは水素燃料電池システム用として、タービン付き高速コンプレッサーや高電圧クーラント・ポンプなど、水素専用コンポーネントを新たに開発している。
最大航続距離は500km以上を実現
iX5 ハイドロジェンに搭載される燃料電池システム単体では172PS(125kW)を発揮し、リチウムイオンバッテリーと組み合わせることで、システム最高出力は406PS(295kW)を実現。最高速度は180km/h、最大航続距離は504km(WLTP規定)と、遠距離移動にも十分な能力が確保された。
燃料電池に必要な水素は、2基の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製700気圧タンクに充填。タンクには約6kgの水素を収めることができる。水素タンクの充填は、専用の水素ステーションにおいて3~4分ほどで満タンになるため、内燃機関に近い使い方ができると言えるだろう。