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Lamborghini LB744
トランスミッショントンネルにバッテリーを搭載
ランボルギーニは、2023年中のデビューを予定してるフラッグシップスーパースポーツ「LB744」のプラグインハイブリッド・パワートレインに関する詳細を公開。一新されたアーキテクチャーは、新開発のV型12気筒内燃エンジンに3基の電動モーターが組み合わせられ、最高システム出力は1000PSを発揮。革新的な新開発8速DCTが、ランボルギーニの12気筒モデルに初めて搭載される。
LB744は、これまでのランボルギーニでは前例のないレイアウトを採用している。ミッドに搭載される6.5リッターV型12気筒自然吸気エンジンに加え、新型8速DCTに組み込まれた1基を含む、合計3基の電気モーターを搭載するという。
8速DCTはエンジン後方に初めて横置きで配置される。カウンタック以降、トランスミッショントンネルがあった場所には、モーターを駆動するリチウムイオンバッテリーが収納される。電気モーターは低回転時の出力を補うだけでなく、LB744を純粋なEVとして使うことも可能。これによりCO2総排出量はアヴェンタドール ウルティマエと比較して、30%も低く抑えられるという。
ランボルギーニ史上、最軽量&最強のV12
ランボルギーニの創業時点からV型12気筒エンジンはランボルギーニの代名詞的な存在だった。この特徴的なエンジンが初めて搭載されたのは、1963年に発売された「350 GT」。それから幾星霜、2019年にはV型12気筒内燃エンジンと電気モーターが初めて組み合わせられた「シアン」がデビューした。シアンにはV12エンジンを補助する25kW容量の電気モーターと、蓄電にスーパーキャパシタが導入されている。
ランボルギーニ初のプラグインハイブリッド・スーパースポーツ「HPEV(ハイパフォーマンスEV)」として開発された「LB744」は、車体中央部のトランスミッショントンネルに軽量・高出力のリチウムイオンバッテリーを搭載。従来のV12に比べ排出量を抑えながら、最大限のパフォーマンスを引き出す革新的なアーキテクチャーを実現している。
6.5リッターの排気量を持つ「L545」は、ランボルギーニ史上最も軽量かつ強力なV型12気筒エンジンとして新規開発された。総重量はアヴェンタドールのエンジンより17kgも軽い218kg。LB744の特徴は、エンジンがアヴェンタドールのレイアウトから180度回転している点にある。最高出力825PS/9250rpm、最大トルク725Nm/6750rpmを発揮し、リッターあたりの出力は128PSに達する。これはランボルギーニの歴代12気筒エンジンの中でも最もパワフルなエンジンということになる。
シリンダーにつながるエアインテークダクトは再設計され、吸気量を増やしながら、燃焼室で最適なエアフローを確保。エンジン内の燃焼も2基の制御ユニットが燃焼室内のイオン化を制御することにより、最適化を図っている。これはアヴェンタドールで導入済みの技術となり、新モデルにも継承された。
3基目のモーターをギヤボックスに配置
「LB744」は、ランボルギーニの伝統のひとつである4WDテクノロジーを受け継ぐことになった。今回、リヤホイールに動力を供給する内燃エンジンに加え、2基の電気モーターをフロントアクスルに搭載。それぞれの電気モーターにより、フロントホイールにトラクションが伝えられる。さらに、8速DCTの上方に配置された3基目のモーターが、ドライビングモードや走行状況に応じて、リヤホイールにも動力を供給する。
内燃機関に3基の電気モーターを組み合わせたことで、強大なパワーとトルクを実現。内燃エンジンからは725Nm、フロントの電気モーターからはそれぞれ350Nmのトルクを発揮。最高システム出力は、1015PSという強大なスペックを実現した。
フロントに配置された2基の電気モーターは、油冷式アキシャルフラックス(軸方向磁束)型モーター。フロントホイールへの動力供給に加え、トルクベクタリング機能を持ち、ドライビングダイナミクスの最適化を図るほか、回生ブレーキ機能も備えている。「LB744」はEVモード時に前輪駆動となり、必要に応じてリヤホイールでも電動駆動を行う。
「LB744」では、前述のように4500W/kgの高出力リチウムイオンバッテリーパックをセンタートンネル内に搭載。これにより重心を可能な限り低くしながら、最適な重力配分を実現した。バッテリーサイズは長さ1550mm、高さ301mm、幅240mm。蓄電量がゼロまで落ちた場合、家庭AC電源か7kW までのEV用充電器を使用し、わずか30分でフル充電が可能。フロントホイールの回生ブレーキによる充電、V12エンジンからの直接充電でも、6分ほどでフル充電状態となる。
ミウラとエッセンサ以来の横置きギヤボックス
新開発プラットフォームの導入に合わせ、プラグインハイブリッド・ユニットの中枢に位置するトランスミッションにも革新的技術を採用。強力な電動ユニットに対応するため、ランボルギーニではコンパクトな8速DCTを新たに開発した。すべてを社内開発、設計したトランスミッションは、「LB744」以降もランボルギーニの次世代スーパースポーツカーに搭載予定となっている。
8速DCTは長さ560mm、幅750mm、高さ580mmと、非常にコンパクト。総重量は3基目のモーターも合わせて193kgに抑えられている。ランボルギーニの研究開発部門は、最も効率性が高くパフォーマンス重視の湿式デュアルクラッチを開発。この8速トランスミッションは縦置きのV12エンジンの後方に横置きで配置される。ランボルギーニの60年の歴史の中で、トランスミッションをリヤに横置きしたV12モデルは「ミウラ」と「エッセンサ SCV12」の2車種のみとなる。
DCTを8速化したことで、クルーズ時の燃費とドライバビリティの最適化も実現。今回採用された「連続ダウンシフト」機能は、左側のパドルを押し続けるだけでブレーキ時に複数ギヤのシフトダウンが可能で、ドライバーは完全なコントロール感を得ることができるという。
この8速DCTは、ウラカンに搭載されている7速DCTと比較して大幅に軽く、シフトスピードもさらに速くなった。横置きレイアウトによりキャビンスペースが拡大し、ドライバーシートとパッセンジャーシート後方の空間が広くなったことで、快適性も大幅に向上している。
トランスミッション上方に搭載されたモーターは、スターターと発電機として機能するほか、トランスミッショントンネル内のバッテリーを通して、フロントのモーターにも電力を供給。フルEVモード時には、後輪に駆動力を供給し、前輪を駆動するモーターとともに、ゼロエミッション4WDを実現する。