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Abarth 500e
BEVでもアバルト製内燃機関のサウンドを
フル電動ハッチ「アバルト 500e」には、専用開発されたサウンド・ジェネレーター機能を搭載し、世界中のアバルト・ファンに新鮮な驚きを提供している。アバルトは、サウンド・デザイン・スタジオ(Sound Design Studio)の強力を得て、独自のサウンドシステムを開発した。
サウンドデザインの調整、システムへの統合は、ステランティスのイタリアNVH(Noise Vibration and Harshness)部門で実施。アバルトの人気オプションとして販売されているスポーツ・エキゾースト・システム「レコード・モンツァ(Record Monza)」のサウンド検証も、このイタリアNVHで行われている。
アバルト 500eは、サウンド・ジェネレーター・システムの搭載により、歴史的な内燃機関サウンドを楽しめる唯一のフル電動ホットハッチとなった。サウンド・ジェネレーター・システムによる擬似エキゾーストノートは、停車時にオン・オフの設定を行うことができる。
6000時間以上をかけて専用サウンドを開発
サウンド開発プロジェクトは、約2年半の歳月をかけて行われた。数名のエンジニアによって構成された開発チームは、ドライビング体験の各段階における最適なエンジンサウンドを分析。サウンドの完成までには、実に6000時間以上を費やしている。
今回、テクニカルマネージャーが車両全体を管理し、参加スタッフの調整を担当。NVHスペシャリストは、デモの制作、ソフトウェア開発、サウンド制作など、サウンド開発のクリエイティブな側面と技術な問題解決を行った。
正確で信頼性の高いノイズ測定を行うため、サウンドテストと開発の一部は半無響室で実施。半無響室は内部の騒音レベルが極めて低く、完璧な静粛性をもった空間を再現することができる。サウンドスペシャリスト達は、周囲の環境からの騒音をシャットダウンすることで、純粋なアバルトらしいサウンドを実現するため、検証や調整作業を行うことが可能になった。
スピードに合わせて高まるエキゾーストノート
今回、オリジナルに限りなく近いパワー感を実現するため、加速/減速/ブレーキング/高速コーナリングなど、ドライビング体験のあらゆる場面で、アバルト製ガソリンエンジンから発せられたサウンドをレコーディング。併せてサウンド・キャリブレーション(音響補正)も実施されている。
録音されたサウンドは、専用ツールを使って慎重に分析され、アバルトのDNAともいえる特徴的な周波数をすべて抽出。よりリアルで豊かな音色を作り上げている。スタジオでのオフラインテストと、車内での様々な調整を経て、完璧なサウンドブレンドが完成。専用ソフトウェアにより、録音されたサウンドと車両の各コンポーネントを適応させることで、ドライバーは最高の没入感を味わうことができる。
サウンド開発における最重要課題は、高速走行時に最も快適なドライビング体験を提供しながら、同時に騒音規制をクリアすることだった。リアルなエンジンサウンドを実現するべく、サウンド・ジェネレーター・システムのバランスは慎重に調整されている。
サウンド・ジェネレーター・システムは、車両の走行速度に正比例し、サウンドはリヤに搭載されたスピーカーを通して発せられる。「IDLE」モードはレコード・モンツァから発せされるアイドリング時のサウンドを再現。一方、「SIGNATURE」モードは、スピードに応じてアバルトらしいエキゾーストノートを楽しむことができる。