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Mercedes-AMG GT2
カスタマーチームによる2台がニュルに登場
メルセデスAMGが、大成功を収めたカスタマー向けレーシングカー「メルセデスAMG GT4」と「メルセデスAMG GT3」に続いて「メルセデスAMG GT2」を開発した。デビュー戦となるニュルブルクリンク24時間・予選レースに、仕様の異なる2台のメルセデスAMG GT2が出走することになった。
2020年に導入されたGT2規定に則って、ジェントルマン用レーシングカーとして開発されたメルセデスAMG GT2は、最高出力716PS(520kW)を発揮するAMG製4.0リッターV型8気筒ツインターボを搭載。今回のニュルブルクリンク24時間予選レースでは、コンペティション下において集中的な開発プログラムに挑むことになる。
ニュルブルクリンク24時間予選レースでは、トップクオリファイへの参加枠を獲得するため、異なるクラスが参加するふたつの予選レースに参加。メルセデスAMG・チーム・HRTとメルセデスAMG・チーム・シュニッツェラルムが、「SPXクラス」に2台のメルセデスAMG GT2を投入する。
メルセデスAMG・チームHRTは、フランク・バード、エリア・エルハート、トーマス・イェーガー、ヨルグ・ヴィーバーン(いずれもドイツ)の4名がドライブ。メルセデスAMG・チーム・シュニッツェラルムは、ミカエル・グルニエとヨハネス・シュテンゲルのふたりが、交互にステアリングを握る予定だ。
2万kmを超えるテストプログラムを実施
今回の参戦は、ニュルブルクリンクにおける非常に厳しいレース環境下において、メルセデスAMG GT2を鍛えることが目標に掲げられている。2022年12月の発表後、メルセデスAMGのカスタマーレーシング部門は、ヨーロッパの様々なサーキットを舞台に合計2万kmを超えるテストを実施した。
すでにドイツ・インメンディンゲンにあるメルセデス・ベンツの試験施設でのシェイクダウンが行われ、電気系統や、さまざまなプロトタイプ・コンポーネントのチェックや評価が行われている。その後、2023年1月にスペインのバレンシア・サーキットで初のパフォーマンステストが実施され、エアロダイナミクス、ブレーキ、エンジン、ホイールマウントなどの確認や開発が行われたという。
その後、メルセデスAMG GT2は、イタリアのモンツァ、フランスのディジョンとポール・リカールでのテストを行い、3月に初めてニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを走行。すぐに上々のパフォーマンスを発揮することになった。
イースター直前に敢行された、ポルトガルのアルガルヴェ・サーキットでの4日間に及ぶ最終テストをもって、メルセデスAMGのカスタマーレーシング部門は、実戦デビューに向けた開発プログラムを完了。このテストには、今回のニュルブルクリンク24時間・予選レースに参戦するカスタマーチームも参加している。
本格的な販売に向けたテスト参戦
メルセデスAMGのカスタマーレーシング部門を率いるステファン・ウェンデルは、メルセデスAMG GT2について次のようにコメントした。
「メルセデスAMG GT2は、これまでのカスタマーレーシング・プログラムの中で最もパワフルなホモロゲーション・レーシングカーとしてデビューを飾ります。アファルターバッハのエンジニアや技術者たちの努力が、ようやく報われることになるでしょう。彼らは、スピードと優れたドライバビリティを高い次元で両立させた魅力的なクルマを作り上げたのです」
「これまでのGT4やGT3マシンと同様、メルセデスAMG GT2を熟成させ、最初から勝つことができる状態でマーケットへと投入することが私たちの野望です。そのため、レースコンディションでのテストは我々にとって非常に重要です。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェほど、最適な舞台はないでしょう。すべてのクルマにとって究極のチャレンジとなるからです。“グリーンヘル”で成功したクルマはどこでも成功します。私はメルセデスAMG GT2が印象的なパフォーマンスを発揮してくれると、確信しています」
また、ニュルブルクリンクでの予選レースと同じ週末、メルセデスAMG GT2は、イタリア・モンツァで行われる「ファナテック・GT2ヨーロッパ・シリーズ」開幕戦にも参戦。ハウプト・レーシングのトーマス・ジャッカーマイヤーとイェンス・リープハウザーが、メルセデスAMG GT2のデビュー戦に挑む。