目次
ALPINE MAMORUCA
忙しい仕事の合間に思うのは
スーパーカー雑誌、『GENROQ』の編集長ともなると、毎日のようにスーパースポーツカーに乗って取材に奔走しなければならない。今日もポルシェ・タイカンターボSに乗って箱根へと向かっている最中だ。
「毎日高級車でドライブできていいね」と周囲は思っているらしいが、とんでもない。必死に企画を考え、夜中まで取材の手配や編集&執筆を行い、販売部数を気にする日々は、それこそ胃に穴が空くのではないかと思うほどだ。
そんなオレを癒してくれるのは、長年連れ添う愛車ポルシェ911(993)。今やセミクラシックだが、現代のクルマにはないダイレクトなレスポンスと絶妙な大きさ、唯一無二のファンなハンドリングはオレの心を捉えて離さない。しかし、こうやって家を空けることが多い仕事をしていると、ガレージに置いた993のことがどうしても気になってしまう。
クラシックスポーツカーはセキュリティが心配
なぜなら最近はクラシックスポーツカーの人気がとんでもなく高まっているからだ。空冷時代の最後を飾る993も例外ではなく、今では新車当時の価格を遥かに上回る金額で取り引きされているらしい。当然ながらその価値に目をつけたワルい連中による盗難の話もよく耳にする。
何しろこの時代のクルマのセキュリティは本当にお粗末だから、窃盗のプロの連中の手にかかったらひとたまりもない。ああ、今こうしている間にも愛する993に魔の手が忍び寄っていたらどうしよう……。
車両盗難を防ぐには盗難防止装置を取り付けたりするのも有効だけど、プロの手にかかればはっきり言って盗難作業を少し手間取らせる程度だろう。そしていったんクルマを持ち出されてしまったらもはやどうしようもない。いっそAir Tagのように盗まれたクルマを追跡する方法を考えた方がいいのではないか、そう思って調べてみたら、ぴったりの商品が見つかった。
取り付け簡単なGPSトラッカー
それがアルパインの「MAMORUCA(マモルカ)」だ。これはGPSトラッカーを使用した車両監視システム。コンパクトなGPSトラッカーをグローブボックスなどに隠しておけば、クルマの位置情報などのデータを発信し、それをスマホから確認できるというものだ。外出先で駐車して、用事を済ませて戻ってきたらクルマがない! という時でもクルマの現在位置をスマホですぐに確認できる。その情報を提供すれば、車両盗難程度では動きの鈍い警察もさすがにすぐに動いてくれるだろう。
盗難が発生したら即座にLINEで知らせてくれる(※2023年6月以降アップデート予定)ので、気が付くのが遅れて遠くまで逃げられてしまった、という事態も防止することができる。GPSトラッカー本体は長さ10.4cm、幅4.4cm、高さ2.2cmという手のひらサイズ。これなら存在を事前に窃盗犯に気づかれる心配もなさそうだ。
装着は電源を取ってグローブボックスやインパネ内などの水平な場所に固定するだけ。あとはスマホからWEBコンソールにアクセスしてGPSトラッカーの接続を確認すればいい。価格はGPSトラッカーが1万2800円、WEBコンソールの通信費が毎月880円。これで993が盗まれる心配から解放されるのであれば、安いものだ。
安心が高まりカーライフが快適に
空冷911の市場価格が高騰してからというもの、自分のクルマが盗難被害に遭う危険性は常に意識していた。しかし後付けの盗難防止装置は取り付けが複雑だったり高価だったりするし、ステアリングロックやホイールロックなども停めるたびに装着するのは面倒くさい。しかも先にも書いたようにいずれも窃盗のプロの前ではほとんど意味をなさないのだ。結局停める場所に気を遣うくらいで、実質何もしないという状態が続いていた。
でも「マモルカ」を導入してからはもう安心。万が一盗まれたとしてもすぐにクルマの場所を追跡できれば、売り飛ばされたり海外に持ち出される前に取り返すことができる。イモビライザーさえ装備していない旧車にはまさにうってつけのシステムだ。今日は天気がいいから、久しぶりに993で取材に行くことにしよう。オレの空冷911ライフは、「マモルカ」のおかげでこれからも長く続けられそうだ。
REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/平野陽(Akio HIRANO)