目次
Ferrari 499P
ニューマシンで「完走」をターゲットに
2023年のル・マン24時間レースは、フランス西部のサルト・サーキットを舞台に100周年大会として開催される。フェラーリが最後にワークス参戦してから半世紀を経て、2台のプロトタイプレーシングカー「499P」を投入。50号車はアントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン、51号車はグイディ/カラド/ジョヴィナッツィの3名が499Pのステアリングを握る。
トヨタ、ポルシェ、プジョー、キャデラックといったライバルがひしめくハイパーカークラスにおいて、フェラーリはマニュファクチャラーズ選手権ランキングで、トップのトヨタから33ポイント差の2番手(第3戦終了段階)。ドライバーズ選手権は、51号車のグイディ/カラド/ジョヴィナッツィが5番手につけている(50号車は3番手)。
直近の第3戦スパ6時間において3位表彰台を獲得したアレッサンドロ・ピエール・グイディは、過酷な24時間レースで、まずは走り切ることを目標に掲げた。
「ル・マンでの最初の目標は、まずフィニッシュラインに到達することです。コース上を走るレーシングカーの台数や、これまでのレースで見られたように信頼性の問題を考えれば、決して簡単な任務ではありません」
「実際、コースインしてみなければ分からないことも多いのですが、自分たちのベストを尽くしたいと思っています。もちろん、私自身はすべてのレースで勝つことを目指していますし、シーズン中最も重要なル・マン24時間でもそれは変わりません。ただ、それは簡単なことではないので、現実的な視点も必要なのです」
「ル・マンでの最も素晴らしい思い出は2019年。数年間厳しい戦いを強いられてきた488 GTEで、クラス優勝を果たしたことです。あれはチームワークの賜物でしたし、本当に特別な瞬間でした」
長丁場のレースでいかにミスを抑えるか
F1での長いキャリアを持ち、様々なカテゴリーでの経験豊富なアントニオ・ジョヴィナッツィにとって、ル・マン24時間参戦は2018年以来、5年ぶりとなる。
「開幕から3レース、フェラーリとして3回の表彰台を獲得できたことは、非常にポジティブな雰囲気をチームにもたらしました。そして、いよいよフェラーリが総合優勝を狙えるチームに返り咲くべく、最も重要なル・マン24時間レースを迎えます。もちろん“プランシングホース”の一員として戦う以上、最終的な目標はいつだって優勝です」
「ただ、トヨタをはじめ、このカテゴリーで豊富な経験を持つライバルの強さを理解していますから、勝つのは簡単ではありません。とにかく距離の長いレースであること、そしてこのチームにとっては初の24時間レースであることを考えると、ミスを最小限に抑える必要があります」
「2018年のル・マン24時間に、私は488 GTEでLM GTE Proクラスに参戦することができました。あのレースは私にとってとてもエキサイティングな思い出です。499Pであれば、さらに最高のレースとなるでしょう。ル・マンは人々が考えるように、純粋なスピードだけでは勝つことができません。変化に富んだコースで、どのような走りができるのか楽しみです」
イタリア人のふたりとチームを組むのは、英国出身のジェームス・カラド。彼はフェラーリ 488GTEで2度のル・マン24時間クラス優勝の経験を持つドライバーだ。
「ル・マン24時間では、ベストを尽くすことが目標です。499Pにとっては、信頼性が最大限に試されるレースですが、パフォーマンスを考えれば、良い結果を残すチャンスもあるはずです」
「ル・マンでの一番の思い出は、2019年と2021年に488GTEで優勝したことです。ル・マンで勝つということは、自動車史に名を残すということ。だからこそ、私にとっても特別な位置を占めているレースなのです。499Pでの夜間走行は特別な経験になるでしょう。トリッキーな時間帯ですが、今からワクワクしています」