サーキット走行に特化した専用エアロダイナミクスを採用、「マクマートリー スピアリング ピュア」

フル電動ファンカー「マクマートリー スピアリング」のサーキット仕様が登場「いつでもハイダウンフォースの秘密とは?」

専用エアロダイナミクスを纏って登場したフル電動トラックカー「マクマートリー スピアリング ピュア」。
グッドウッドのヒルクライムからサーキットへ。トラックカーに生まれ変わった「マクマートリー スピアリング ピュア」。
電動ハイパースポーツを開発する、英国グロスターシャーの新興EVメーカー「マクマートリー・オートモーティブ(McMurtry Automotive)」は、サーキットでの走行に特化した仕様「スピアリング ピュア(Spéirling PURE)」を公開した。

McMurtry Spéirling PURE

2023年のグッドウッドで初公開を予定

専用エアロダイナミクスを纏って登場したフル電動トラックカー「マクマートリー スピアリング ピュア」。
グッドウッドでヒルクライム記録を持つスピアリングをベースに、サーキット走行用にアップデートした「スピアリング ピュア」。2023年のグッドウッドにおいてワールドプレミアされる。

英国出身の起業家、デイビッド・マクマートリー卿によって2016年に設立されたマクマートリー・オートモーティブは、究極の電動スーパースポーツ「スピアリング」を開発。2021年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいて、世界初公開した。さらに、スピアリングは、2022年にグッドウッドにおけるヒルクライム記録も樹立している。

今回、サーキットにおける周回走行を念頭に開発されたトラックカー仕様「スピアリング ピュア」を開発。バリデーション・プロトタイプ(VP1)を、7月13~16日にかけて開催される2023年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいて一般公開する。

スピアリング ピュア VP1は2023年を通してテストを行い、生産に向けた最終プロトタイプは2024年にも完成予定。価格は82万ポンド(約1億5000万円)で、100台が限定され、2025年にデリバリーが開始される。マクマートリー・オートモーティブのディレクターを務めるトーマス・イェイツは、スピアリング ピュアについて次のようにコメントした。

「スピアリング ピュアは、サーキットに新時代の到来を告げる1台となるでしょう。このクルマのサウンド、グリップ、加速、テクノロジー、そして美学は、明らかに他のクルマとは一線を画しているのです。 観客として、あるいはコクピットからこのクルマを目撃することは、貴重で爽快な体験となるでしょう。 世界中から予約注文が殺到していますし、サーキットにおいてファンカーが新たな常識になるのが待ち遠しいです」

速度に関係なくダウンフォースを発揮

専用エアロダイナミクスを纏って登場したフル電動トラックカー「マクマートリー スピアリング ピュア」。
スピアリング ピュアに搭載される「ダウンフォース・オンデマンド・システム」は、ファン駆動方式のグランドエフェクトシステムで、スピード域に関係なく一定のダウンフォースを発揮する。

スピアリング ピュアに搭載されているマクマートリー独自のテクノロジーが「ダウンフォース・オンデマンド・システム(Downforce-on-demand system)」。ファン駆動方式のグランドエフェクトシステムは、現代のF1マシンをも超えるダウンフォースを発生する。また、ジェットエンジンに匹敵する強大なサウンドも響かせる。

ダウンフォース・オンデマンド・システムは、サーキットにおいても桁違いのグリップレベルを発揮。しかもスピード域に関係なく、常に一定のダウンフォースを提供する。これは走行中の速度によりダウンフォースレベルが異なる従来のスーパースポーツではけして味わえない感覚になるという。

特に中低速コーナーにおいてその効果は顕著だ。例えばシルバーストーンの「ループ」や「ビレッジ」、モナコの「ヘアピン」など、グランプリサーキットの象徴的なタイトコーナーでも、3Gを超えるコーナリングが可能となっている。

サーキット専用エアロダイナミクスを導入

専用エアロダイナミクスを纏って登場したフル電動トラックカー「マクマートリー スピアリング ピュア」。
これまでウイング類をあえて装着してこなかったスピアリングだが、サーキット走行に特化すべく大型リヤウイングや専用カウルが導入された。

スピアリング ピュアの最高速度は、190mph(305km/h)。サーキットにおいてエネルギー消費を最適化するため、大型リヤウイングを含む、空力に特化したボディ形状を採用した。ドライバーは車内で最も低いポジションに配置し、バッテリーはホイールとドライバーの脚の間のスペースにU字型で搭載。車体前面の投影面積を最小にするべく、1960年代のクラシカルなグランプリレーサーに近い、高さ1020mm、幅1580mmに抑えた。

今回、サーキットにおいて繰り返し周回できるよう、電動パワートレインシステムの走行時間を最大化した。その一方で充電時間は最小化。これにより多くのサーキットにおいて、これまでにない平均ラップスピードを実現している。基本性能としては英国のシルバーストーン・サーキットをラップレコードペースで10周し、20分で急速充電して再び走行することができるという。

スピアリング ピュアの発売に合わせて、マクマートリー オートモーティブが展開するプレミアム・サーキットプログラム「GT1スポーツクラブ」も導入される。

2021年のグッドウッドに出場したマクマートリー スピアリングの走行シーン

EVの新たな可能性? ハイパー電動車「マクマートリー スピアリング」ってなんだ? をまとめてみた

今週イギリスで開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード。そこに1台の小さなEVがヒルクライムレコードに挑戦しようとしている。これまでに何度か当サイトでもレポートしてきたマクマートリー スピアリングである。今回はその出自や背景などをまとめてみた。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…