ウルトラ・ラグジュアリー・スーパークーペ「スペクター」はロールス・ロイス初のフル電動モデル

ロールス・ロイス初のフル電動モデル「スペクター」日本初公開「価格は4800万円から」

6月30日、東京・国立競技場でロールス・ロイス・モーター・カーズが、ブランド初のフル電動モデル「スペクター」を日本初公開した。ウルトラ・ラグジュアリー・スーパークーペを謳うバッテリーEVのスペクターは、ロールス・ロイスの新時代を告げるニューモデルである。

ROLLS-ROYCE SPECTRE

400年使えるロールス・ロイスを目指して

特殊効果のスモークの中を静かに進むスペクター。ロールス・ロイスの新時代の始まりである。

ロールス・ロイスの共同創業者であるチャールズ・ロールスは、内燃エンジンに代わるクリーンで騒音のない自動車として、十分なインフラがあれば市場に受け入れられる電気自動車の未来を予見していたという。その予見を現実としたのが「ロールス・ロイス スペクター」である。

スペクターはもちろんロールス・ロイスにとって初めてのBEVだ。発表会場でも、特殊効果のスモークの中を静かに進む様はロールス・ロイスの新時代を感じさせた。だが一方で初のBEVという、ロールス・ロイスが踏み込んだ未知の世界に対する顧客の不安もあるだろう。だからロールス・ロイスはそれを払拭するべく、スペクターがこれから先400年以上(!)にわたって使用されても耐えられるように、250万kmを超える距離をテストしたという。

シャシーはロールス・ロイスの「オールアルミニウム・アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」をベースに開発され、そのボディサイズは全長×全幅×全高=5475×2144×1573mm、ホイールベースは3210mm、車両重量は2890kgとなる。前後に搭載されるモーターの最高出力430kW(584PS)、最大トルク900Nmで最高速度250km/h、0-100km/h加速4.5秒を誇る。ちなみに車両重量のうち700kgはバッテリーで、その電力量は102kWh、航続距離は530km(WLTP)という。

加速するパワーボートを思わせるサイド

スペクターの「ウルトラ・ラグジュアリー・スーパークーペ」という立ち位置は贅沢なプロポーションに由来する。クラシカルなファストバック・スタイルは、ロールス・ロイスの歴史的モデルを思わせるが、その核心はオートクチュール、モダニズム、船舶、テーラリング、現代アートなど、自動車以外の世界にインスパイアされ、「空間に勝る贅沢はない」という信念のもとにデザインされたという。

フロントデザインのハイライトは多い。ひとつ目はスプリット・ヘッドライトだが、ロールス・ロイス史上最もワイドなステンレススチール製パンテオン・グリルも注目だ。フィンの断面がより滑らかになり、フロント周りのエアフローを巧みに処理するなどして、優れた空力性能を追求し、Cd値0.25は誇るという。

デザインスケッチ段階においては、クリエーターたちはモダンなヨットをイメージしたという。実際、ボディサイドは、前方に向かって上向きに広がるラインが特徴で、加速するパワーボートの船首が緩やかに持ち上がる様子を表現しているという。ちなみにサイドから見て下部に位置する黒い箇所がバッテリー搭載位置であるという。リヤの縦長テールランプは、カスタマーがビスポークで選択する無限のカラーバリエーションを想定して、あえてニュートラルなクリアレンズが採用された。

車両本体価格は4800万円から

神秘的な夜空をイメージしたと謳うインテリアは、ロールス・ロイス製量産車として初めて、4796個ものソフトイルミネーションを組み込んだ「スターライトドア」が用意された。レイスではドアに内蔵されていた傘は、スペクターではフロントフェンダーに収まる。

スペクターには新開発デジタルアーキテクチャ「スピリット」が採用されている。スピリットは車両の全機能をマネージメントするだけでなく、ロールス・ロイスが開発したオーナー専用スマホアプリ「ウィスパー」と連動する。ウィスパーを使用することで、オーナーは鍵の施錠開錠や自分のクルマの状況を確認したり、ロールス・ロイスが発信するイベント情報を受け取ることもできるという。

最初の顧客へのデリバリーは2023年第4四半期で、車両本体価格は4800万円から始まるという。

ロールス・ロイス初のBEV「スペクター」の南アフリカテストに参加してプロトタイプを初試乗

250万kmに達するテスト走行を課され万全の上にも万全を期して開発が進むスペクター。ロールス・ロイスにとって初の市販BEVの試乗が、ごく僅かなメディアに対して解禁された。南アフリカを舞台にしたテストの模様をモータージャーナリストの大谷達也が報告する。

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著者プロフィール

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…