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BMW Z4 sDrive20i
「チェンジ」と呼べるほどのマイナーチェンジではないが
今や貴重なFRのオープンエアドライブが楽しめるBMW Z4。そもそも1996年に登場したZ3に始まったこのシリーズも、先代の2代目Z4でその役目を終える予定であった。しかしトヨタ・スープラとの共同開発という話がまとまって3代目Z4が登場したのが2018年。約4年が経過してそろそろテコ入れの時期ということか、昨年末にマイナーチェンジが行われたのだが、その車両が日本に上陸した。
といっても実際のクルマを見て「どこが変わったの?」とつぶやく人も多いだろう。実際、今回の変更はごくわずかの部分にとどまる。具体的にはフロントグリルの内側がハニカムデザインとなった。従来が縦基調の模様だったので、横長のハニカムとすることでよりワイドさが強調されている。そしてフロントバンパーのアンダーとサイド部分のエアインテーク内が立体的な形状へと変更された。結果としてより精悍で迫力を増したフロントフェイスへと変身したが、バンパーの基本デザインに変更はないようだ。あわせてヘッドライトユニット内部はすべてブラック塗装となった。といってこれも形状や点灯パターンは従来通りなので、チェンジ前との大きな差異はない。ひょっとしたらオーナーでもない限り、違いに気づく人は少ないかもしれない。
インテリアも従来からの違いはないが、総合テレマティクスサービスの「BMWコネクテッドドライブ」や対話型の「BMWインテリジェントパーソナルアシスタント」が搭載されている。エンジンも従来通り、2.0リッター直4ターボで197PSのsドライブ20iと3.0リッター直6ターボで387PSのM40iの2種類で、いずれも8速ATを組み合わせる。総じて今回のマイナーチェンジは「チェンジ」と呼べるほどの規模ではないようだが、それだけ現行型の評価が高いということか。
FRの素直なハンドリングが印象的
試乗したsドライブ20iはサンダーナイトと呼ばれるパープルの妖艶なボディカラーで、ブラックアウトされたフロントまわりとの組み合わせは実にクール。なるほど、こうやって見ると横基調のグリルの方が精悍さ130%増し、という感じだ。ドライブフィールはBMWらしい、FRの素直なハンドリングが印象的。
今どきアンダー200PSに320Nmではいかに車重が1.5t以下でも圧倒的な速さは感じないが、その分軽いノーズによる軽快さはライトウエイトスポーツに通じる味わいがある。幌を開けて風を感じながら走っていると、少し前のBMWスポーツモデルに乗っているような楽しさを感じた。
REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)
MAGAZINE/GENROQ 2023年9月号
SPECIFICATIONS
BMW Z4 sドライブ20i
ボディサイズ:全長4335 全幅1865 全高1305mm
ホイールベース:2470mm
車両重量:1490kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1998cc
最高出力:145kW(197PS)/4500rpm
最大トルク:320Nm(32.6kgm)/1450-4200rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前225/45R18(8J) 後255/40R18(9J)
0-100km/h加速:6.6秒
車両本体価格:760万円
【問い合わせ】
BMWカスタマー・インタラクション・センター
0120-269-437
https://www.bmw.co.jp/