アルファロメオ初のPHV「トナーレ プラグインハイブリッド Q4」に試乗

スタイリッシュで手頃なサイズのPHV「アルファロメオ トナーレ プラグインハイブリッド Q4」に試乗

片側3眼ヘッドランプのトナーレ。6月にマイナーチェンジを受けたジュリア、ステルヴィオと同様に新時代のアルファロメオを表現している。
片側3眼ヘッドランプのトナーレ。6月にマイナーチェンジを受けたジュリア、ステルヴィオと同様に新時代のアルファロメオを表現している。
ステルヴィオに続くアルファロメオ製SUV、トナーレにPHVモデルが追加された。様々なブランドで粛々と進む電動化だが、イタリアンブランドも例外ではない。人気のコンパクトSUV市場に投入された最新アルファロメオの実力はどれほどか?(GENROQ 2023年10月号より転載・再構成)

Alfa Romeo Tonale PlugIn Hybrid Q4

ジュリエッタの後継的受け皿として

ラインナップの100%電動車を目指すアルファロメオ。来年にもブランド初のBEVの投入を予告している。

昨年登場したトナーレは、アルファロメオ初のマイルドハイブリッド、つまり電動モデルだ。今回試乗したのは、さらに一段ステップアップしたトナーレ・プラグインハイブリッド(以下、PHV)である。だが、これもラインナップを100%電動車にするための通過点でしかない。何しろアルファロメオは来年にもブランド初のBEVの投入を予告しているのだ。

トナーレは今流行りのCセグメントSUVである。ジュリアやステルヴィオといったアルファロメオの現行ラインナップが採用する、縦置きエンジンのジョルジオ・プラットフォームではなく、横置きエンジンのフィアット500Xやジープ・レネゲードの延長版プラットフォームを採用している。トナーレのフロントマスクは、6月にマイナーチェンジを受けたジュリア、ステルヴィオと同様に片側3眼ヘッドランプで、新時代のアルファロメオを表現している。アルファのCセグといえば、すでに廃盤になってしまったジュリエッタを思い出すが、その後継的受け皿として販売の現場では機能しているという。

ちなみにトナーレ・ハイブリッドとトナーレPHVを見分けるポイントは左リヤクォーターに入る「エレクトロビショーネ」だ。アルファロメオのシンボルである人を飲み込む蛇「ビショーネ」、その蛇の頭をコンセント置き換えている。それと上位グレードのヴェローチェでエキゾーストパイプのフィニッシャーがクロームとなっているそうで、電動化アピールは非常に慎ましい。

航続距離はガソリンとトータルで600km超

駆動方式はフロントに搭載される最高出力180PSの1.3リッター直4ガソリンターボエンジンで前輪を駆動し、前後アクスルのモーターでアシストするAWDだ。ちなみにモーターの最高出力はフロント45‌PS、リヤ128PSでシステム最高出力は280PSとなっている。搭載されるリチウムイオンバッテリーの電力量は15.5kWhでEV航続距離は72kmを誇る。PHVたるもの閑静な住宅街に入ったらEV走行に切り替えたい。そんな時に電力量をきちんと残しておけるe-Saveモードも備わる。これを使用することで40%、60%、80%を目標にバッテリー残量を維持できるという。なおガソリンとトータルで航続距離600km以上を謳う。

トナーレ最上位パワートレインということもあり、効率性、パワー、俊敏性、パフォーマンスとハンドリングなど欲張りに追求したという。さっそく軽快なウインカーの音を聞きながら、試乗会場を飛び出した。

アルファロメオというとステアリングがクイックな印象があるが、ロックトゥロック2.5回転の操舵感はごく常識的だ。コラム固定式シフトパドルは、上下長15cmもあって巨大なので、大舵角でも間違えにくい。乗り心地は硬めで、アルファらしくドライバーをその気にさせる演出が感じられる。車検証によると前軸1010kgと後軸870kgで、前後重量配分は54対46となり、その点バランスに優れている。

メリハリの効いたアルファDNAシステム

お馴染みのアルファDNAシステムでドライブモードを変更できる。「D」がダイナミック、「N」がナチュラル、「A」はアドバンストエフィシェンシィでEV走行を意味する。NでもほとんどEV走行に終始し、深く踏み込んだ時のみエンジンがかかる。モーターのアシストが効いているので、タウンスピードで流している分には良心的なPHVという印象だ。最もスポーティなDにするとエンジンが始動し、ステアリングが途端に重くなる。メリハリが効いているが、かつての自主規制時代を思い出すシステム最高出力280PSは、期待ほど加速が鋭くない。アクセルレスポンスも穏やかで、0-100km/h加速6.2秒は妥当と言えば妥当だ。

ACCやレーンセンタリングアシスト、360度カメラなどADASも完備し、価格は675万円から。価格は手頃ではないがサイズが手頃なPHVは、スタイリッシュでアルファらしい乗り味で、新生アルファへの注目をさらに高めるだろう。

REPORT/吉岡卓朗(Takuro YOSHIOKA)
PHOTO/平野 陽(Akio HIRANO)
MAGAZINE/GENROQ 2023年10月号

SPECIFICATIONS

アルファロメオ・トナーレ プラグインハイブリッドQ4ヴェローチェ

ボディサイズ:全長4530 全幅1835 全高1615mm
ホイールベース:2635mm
車両重量:1880kg
エンジン:直列4気筒SOHCターボ
総排気量:1331cc
最高出力:132kW(180PS)/5750rpm
最大トルク:270Nm(27.5kgm)/1850rpm
前モーター最高出力:33kW(45PS)/8000rpm
前モーター最大トルク:53Nm(5.4kgm)/8000rpm
後モーター最高出力:94kW(128PS)/5000rpm
後モーター最大トルク:250Nm(25.5kgm)/2000rpm
トランスミッション:6速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後マクファーソンストラット
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後235/40R20
燃料消費率:14.1km/L(WLTCモード)
車両本体価格:740万円

【問い合わせ】
アルファ・コンタクト
TEL 0120-779-159
https://www.alfaromeo-jp.com/

横置き1.5リッター直4ガソリンのトナーレ、縦置き2.0リッター直4ディーゼルのGLC、横置き2.0リッター直4ガソリンのXC40。3台ともマイルドハイブリッドを搭載しているのが意外な共通点。

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著者プロフィール

吉岡卓朗 近影

吉岡卓朗

Takuro Yoshioka。大学卒業後、損害保険会社に就職するも学生時代から好きだったクルマのメディアに関わり…