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Volkswagen Golf R 20 Years
ハイパフォーマンス最強ゴルフ
ゴルフのコンパクトなボディに3.2リッターのV6と4MOTIONを採用してGTIを上回るパフォーマンスを見せたゴルフR(R32)が登場したのは2002年。3.2リッターのV6をボンネットに押し込んで、244PS/320Nmというハイパワー&トルクに対応するためAWDを採用したハイパフォーマンスなゴルフは、実用コンパクトハッチの優等生というゴルフのイメージを大きく変えた存在だった。人気モデルとなったR32はその後ゴルフRとなってラインナップを彩るようになったのはご承知の通り。そんなゴルフRの誕生20周年を記念して登場したのが「ゴルフR 20 Years」だ。
このような記念モデルの作り方はエンブレムを装着したり特別カラーを採用したりといったことで特別感を出すのがよくある手法だが、20Yearsはパワーを通常よりも13PSアップの333PSとエンジンパワーも向上させた。また高額なアクラポビッチ製マフラーの採用、さらにアダプティブ・シャシー・コントロール「DCC」にはスペシャルモードとドリフトモードを設定するなど、ハードとソフトの両面でしっかりとパフォーマンスアップも果たしているのは、さすがRの記念モデルだ。
ヒシヒシと伝わる本気度
実はフォルクスワーゲンはこの20Yearsとほぼ同じ内容のエンジンチューニングを施したゴルフR 333という限定車をリリースしたが、こちらは333台限定ということもあり、日本には導入されないのが残念だった。だが20Yearsが上陸したことで、ゴルフ史上最高のパフォーマンスが日本でも楽しめることになったのは、ファンにとって嬉しい限りだろう。
Rのエンブレムが入った本格的なバケットシートやリアルカーボンを使ったパネルなど、走りに対する本気度はインテリアの設えからもヒシヒシと伝わってくる。エンジンを始動させると、アクラポビッチのマフラーのせい(おかげ)か、エンジンスタート時から20Yearsのエキゾーストは元気よく響く。踏み始めからモリモリとしたパワーとトルクを発生する2.0リッターエンジンは、6000rpmまで一気に回り、1500kgそこそこのコンパクトなボディはそれこそミズスマシのように右に左にと向きを変えながら駆け抜ける。7速のDSGがまた秀逸で、変速が的確で電光石火なのはもちろん、パドルによるシフトダウンを行うとフォン! というブリッピングも入ってついつい気分も盛り上がってしまう。
標準より高い価格も納得
初代のR32もそうだったが、ゴルフRはGTIに比べるとAWDのスタビリティも活かしたGT的な性格を与えられていたと思うが、今ではGTIに輪を掛けた過激なホットハッチとなったようだ。しかし、それでいてGT的な性格も失っていないようで、普通に運転する限りではエンジンは低回転でもフレキシブル、乗り心地も快適だ。
当然ながら全長4295mmのボディサイズの中に5人がしっかり座れる室内空間と広大なラゲッジルームを備えているのはゴルフならでは。買い物から旅行、そして峠からサーキットまで。これほどの多面性を考えれば標準のゴルフRより100万円以上高い価格も納得だ。何しろ、アクラポビッチのチタンマフラーだけで数十万円もするのだから。
REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/市 健治(Kenji ICHI)
MAGAZINE/GENROQ 2023年10月号
SPECIFICATIONS
フォルクスワーゲン・ゴルフR 20 イヤーズ
ボディサイズ:全長4295 全幅1790 全高1460mm
ホイールベース:2620mm
車両重量:1540kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1984cc
最高出力:245kW(333PS)/5600-6500rpm
最大トルク:420Nm(42.8kgm)/2100-5500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後4リンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後235/35R19
0-100km/h加速:4.6秒
最高速度:270km/h
車両本体価格:792万8000円
【問い合わせ】
フォルクスワーゲン カスタマーセンター
TEL 0120-993-199
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