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Porsche 914 Fifteen Eleven Design
WRCで豊富な経験を持つMEMの別部門
英国ダービーシャー州ベークウェルに本拠を置く「フィフティーン・イレブン・デザイン」は、プロジェクト発表から約3年を経て、空冷ヒストリックポルシェを現代的に解釈したレストモッド仕様「ポルシェ 914」の受注受付をスタートした。
フィフティーン・イレブン・デザインは、世界ラリー選手権(WRC)に参戦するラリーチーム「メローズ・エリオット・モータースポーツ(Mellors Elliot Motorsport:MEM)」のクラシック&プレステージ部門。近年では、ウィリアムズ FW07/04のレストア、フォード エスコート RS1600のレストモッド「スピードスター」の製作、サロン・プリヴェにおいて準優勝を獲得したマセラティ 3500GT イネツィオーネのリビルドなど、様々なプロジェクトを手がけている。
987型ケイマンSのエンジンや足まわりを採用
2021年、フィフティーン・イレブン・デザインは「ポルシェ 914」プロジェクトを発表。その後、約3年をかけて、開発が行われた。1960年代後半に開発されたライトウエイト・タルガトップをベースに内外装をアップデートし、エンジンや足まわりなどにポルシェ 987型ケイマンSのコンポーネントを導入している。
ミッドに搭載される3.8リッター水平対向6気筒自然吸気エンジンは、スチール製内部構造、鍛造ピストン、ライフレーシング製ECUとパワーマネージメント・システムが採用され、最高出力405PSを発揮。ベースモデルの2.7リッター水平対向6気筒エンジンと比較して、3倍以上のパワーを手にしている。
足まわりは、WRCのワークスラリーカーにも採用されているライガー製3ウェイ調整式コイルオーバー・ショックアブソーバーを採用。ブレーキはブレンボ製4ピストン・キャリパー&ベンチレーテッドディスクと、フロアマウント式APレーシング製ペダルボックスに変更されている。
デザインを一新したフロントマスク
エクステリアは、軽量化と高剛性をもたらすカーボンファイバー製ボディパネルを導入。拡幅化に加えて、クーリングとエアロダイナミクスの向上を狙い、ボンネットとバンパーのデザインを一新した。リトラクタブル式ヘッドライトは廃止され、バンパーに丸型LEDヘッドライトを装着。リヤにはダックテール形状のスポイラーが追加された。
メローズ・エリオット・モータースポーツが持つラリーにおける豊富なノウハウを活かし、シャシーにも手が加えられた。サスペンションのピックアップポイントは、すべてケイマンのアーキテクチャーに合わせて再設計。ボディシェル全体も強化され、T45チューブラー製構造補強が追加されている。
914の雰囲気を残しつつもモダンなコクピット
インテリアはベースモデルのシンプルなデザインをベースに現代的なアップデートが加えられた。特注のレザー製トリムがコクピットを囲み、レカロ製バケットシートが究極の快適性を提供する。再設計されたバルクヘッドにより、足元スペースが拡大されており、ダッシュボードにはオプションで様々な専用装備を追加することができる。
フィフティーン・イレブン・デザインのマネージングディレクターを務めるベン・メローズは、914 レストモッドの完成に喜びを隠さない。
「私たちのビジョンがついに現実のものとなりました。完成までには、予想以上に時間がかかりましたが、あらゆる面で完璧を目指した結果です。エキサイティングなのは、そのエクステリアだけではありません。実際にステアリングを握れば、最高のフィーリングを味わえるでしょう。究極のレストモッドを作り出すため、試行錯誤を重ねた結果、クラシカルな要素を残しつつ、最新技術をこのクルマに盛り込むことができました」