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Mercedes-Benz 540 K Special Roadster
10回目のベスト・オブ・ショーを獲得
2023年8月20日にカリフォルニアのペブルビーチで開催された「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス(Pebble Beach Concours d’Elegance)」において、1937年製「メルセデス・ベンツ 540 K スペシャル ロードスター(W29)」がベスト・オブ・ショーを獲得した。
540 K スペシャル ロードスターは、会場に集まった多くの貴重なクラシックカーを抑えて、高い審美眼を持った審査員からトップの得票を獲得。1950年からスタートしたペブルビーチ・コンクール・デレガンスにおいて、メルセデス・ベンツは10回目のベスト・オブ・ショーを手にした。
2022年に大規模なレストアを実施
メルセデス・ベンツ 540 K スペシャル ロードスターは、1937年5月、当時のアフガニスタン国王ムハンマド・ザーヒル・シャーのためにオーダーされ、同年9月に納車された。
美しく彫刻的なフォルムを持つ540 K スペシャル ロードスターは、ジンデルフィンゲン工場のワークショップで製作された。アール・デコを思わせる曲線的なボディライン、スペアホイールを隠した流れるようなリヤセクションなど、このモデルならではの特徴を備えている。
製造から70年間、オーナーの変更はわずか5回。現在のオーナーは2022年のペブルビーチで開催されたオークションで、この車両を990万ドル(約14億5000万円)で購入した。その後、RMオート・レストレーションとメルセデス・ベンツ・ヘリテージが協力してレストアを実施している。
メルセデス・ベンツ・ヘリテージのマーカス・ブライトシュヴェルトは、次のように喜びを次のように語った。
「540 K スペシャル ロードスターがペブルビーチ・コンクール・デレガンスで『ベスト・オブ・ショー』のタイトルを獲得したことは、RMオート・レストレーションとメルセデス・ベンツ・ヘリテージが、この傑出した車両のレストアにおいて多大な貢献をしたことを示しています。我々が保有するアーカイブスや知識、そして経験によって、数ヵ月間のレストア作業に参加できたことを嬉しく思います」
第二次大戦の戦乱を乗り越えた貴重な1台
メルセデス・ベンツ 540 K スペシャル ロードスターは、1937年にアフガニスタン王室からオーダーを受け、その年の秋に納車。1940年代半ば、フランスで教育を受けたザーヒル・シャーは、このクルマをパリのアフガニスタン大使館へと持ち込んだ。
その後、1950年に義理の息子への贈り物として英国へと送られると、1953年に米国のコレクターへと売却。第二次世界大戦期を含む激動の歴史のなかで、常に最高のコンディションで維持・保存されてきた。現在に至るまで、その走行距離はごくわずかに留められている。
現在のオーナーは、ジム・パターソン。彼は2015年にペブルビーチ・コンクール・デレガンスでベスト・オブ・ショーを受賞した1924年製「イソッタ フラスキーニ ティーポ 8A(Isotta Fraschini Tipo 8A)」、2010年に受賞した1933年製「ドラージュ D8 S デ ビラース ロードスター(Delage D8 S de Villars Roadster)」も所有する世界有数のコレクターだ。