【ラグジュアリーSUV比較】トヨタ センチュリー対ロールス・ロイス カリナン

トヨタ センチュリーとロールス・ロイス カリナンを比較「世界最高峰と日本最高峰はどう違う?」

荘厳なフロントマスクを湛える新型トヨタ センチュリーとロールス・ロイス カリナン。じっくり見れば、その目指すところの違いはよくわかる。
荘厳なフロントマスクを湛える新型トヨタ センチュリーとロールス・ロイス カリナン。じっくり見れば、その目指すところの違いはよくわかる。
かつてはセダン一択だった高級ショーファーカーの世界に、SUVが新たな選択肢として増えつつある。長い間、日本の社長や政治家の御用達であった「センチュリー」でさえ、SUVタイプを新たに設定した。そんな注目モデルを中心に、迎え撃つ世界のVIP御用達のショーファーカーと比較していこう。まずは、ロールス・ロイス初のSUVモデルとして人気を集める「カリナン」をピックアップする。

Toyota Century
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Rolls-Royce Cullinan

全長差は135mmもラゲッジ容量は倍近い差

どちらも全長5m超のボディを誇り、広大な室内空間を備える。ディメンションはカリナンが上回っており、その差は全長で135mm、全幅で10mm、全高で30mmあり、ホイールベースは345mm差と大きい。

この広大な室内空間を後席乗員の快適性のために割いているのは当然だが、カリナンはラゲッジスペースも規格外に広大で、最大で600Lが確保されている。対するセンチュリーのラゲッジルームは、最大で340Lとゴルフバッグ3個が積載できる容量だ。ラゲッジスペースではカリナンに劣るセンチュリーだが、後席にはビジネスクラスのようなフルフラット機構が備えられ、乗員の快適性では負けていない。

ともに日本の道路では持て余しそうなサイズだが、センチュリーの全長はセダンタイプより小さく、またカリナンの全長もファントムやゴーストといったセダンタイプよりは控えめ。これは、明確な3ボックススタイルではなく、2ボックススタイルのSUVとなるためだ。

トヨタ センチュリー

全長5205×全幅1990×全高1805mm
ホイールベース2950mm
車両重量=2570kg

ロールス・ロイス カリナン

全長5340×全幅2000×全高1835mm
ホイールベース3295mm
車両重量=2660kg

ロールス・ロイスは伝統の12気筒

魔法の絨毯とも表現されるロールス・ロイスの乗り心地を実現する重要なファクターとして、伝統の12気筒エンジンを搭載するカリナン。スペック上も571PS、850Nmと堂々たる数字を誇るが、これらが単に早く走るためのものでないことは、言うまでもないだろう。

センチュリーが提案するのは、新時代のショーファーカーのあり方だ。プラグインハイブリッドシステムを搭載し、V6エンジンと前後に備えられたモーターが最適な制御により滑らかな走りを実現する。パワーの上ではカリナンに及ばないものの、14.2km/LというWLTC燃費もこのクラスのモデルとしては規格外に良好だ。

トヨタ センチュリー

エンジン形式=V型6気筒
排気量=3456cc
エンジン最高出力=262PS/6000rpm
エンジン最大トルク=335Nm/4600rpm
モーター最高出力=前182PS/後109PS
モーター最大トルク=前270Nm/後169Nm
トランスミッション=電気式無段変速機
駆動方式=AWD

ロールス・ロイス カリナン

エンジン形式=V型12気筒ターボ
排気量=6748cc
最高出力=571PS/5000rpm
最大トルク=850Nm/1600rpm
トランスミッション=8速AT
駆動方式=AWD

セダン版のセンチュリーと比べると

最後に、伝統的なセダンタイプのセンチュリーと、SUVタイプの新型センチュリーを比べてみよう。前述したように、全長はセダンタイプの方が勝っており、その差は130mmで、同様にホイールベースも140mm差となる。これに対して新型センチュリーは、全幅で60mm、全高では300mm大きい設計だ。また、車両重量は200kgセダンタイプが軽くなっており、ボディタイプの違いがそのまま反映されている。

搭載されるパワートレインも異なっており、セダンタイプには5.0リッターのV8エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載。なお、WLTC燃費は新型が14.2km/Lであるのに対して、セダンタイプは12.4km/L。加えて、新型はプラグインシステムにより純粋なEVとしての走行も可能ということも大きな違いだ。

トヨタ センチュリー(セダン)

全長5335×全幅1930×全高1505mm、ホイールベース3090mm
車両重量=2370kg
エンジン形式=V型8気筒
排気量=4968cc
エンジン最高出力=381PS/6200rpm
エンジン最大トルク=510Nm/4000rpm
モーター最高出力=224PS
モーター最大トルク=300Nm
トランスミッション=電気式無段変速機
駆動方式=RWD

垂直のグリルが高級感を生み出す新型「トヨタ センチュリー」。SUV的なエクステリアだがデザインは伝統を感じさせる。

世界の超高級車を見てきた本誌編集長が語る新型トヨタ センチュリーのイイところとちょっとアレなところ

発表以来、各方面で話題沸騰の新型トヨタ・センチュリー。伝統のショーファードリブンカー初のSUVボディ、2500万円の価格など、たくさんのネタを提供してくれています。普段は輸入車と接することがほとんどの『GENROQ』ですが、このクルマは見逃すわけにはいきません。早速発表会場に駆けつけ、実車を確認してきました。

「SUVではない! あくまでもショーファーカー」新型トヨタ・センチュリーのこだわり

ついに発表された新型「トヨタ・センチュリー」。以前から噂されていた通りのSUVスタイルだが、派生のSUVではなく新型のセンチュリーだという。リヤドアの開閉方法を2種類選べるなどこだわりの装備を紹介する。

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著者プロフィール

古川 裕 近影

古川 裕

新型モデルを比較することを信条とするフリーランスジャーナリスト。過去にはゲンロクWebを運営する三栄に…