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Ferrari SP-8
車名に込められた「8」へのこだわり
フェラーリは、イタリアのムジェロ・サーキットで開催された「2023 フィナーリ・モンディアーリ・フェラーリ」において、最新ワンオフロードスター「SP-8」をワールドプレミアした。
SP-8は、フェラーリが展開する「スペシャル・プロジェクト」プログラムとして、とあるクライアントからのオーダーを受けて、フラヴィオ・マンゾーニ率いるフェラーリ・スタイリング・センターがデザイン。F8 スパイダーのシャシーやエンジンをベースに開発された、V8ミッドシップ・ロードスターとして完成している。
車名は、搭載される3.9リッターV型8気筒ツインターボエンジンを称えて命名。このパワフルなV8ユニットは世界中で高い評価を得ており、「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー(IEOTY)」を4年連続で受賞している。また、SP-8を依頼したクライアントが台湾出身であることから、「8」という数字に重要な意味が含められた。中華文化圏では伝統的に、数字の「八」は「発展」「幸運」「目標成就」と結びついた非常に縁起のよい数字とされている。
抜本的に変更されたエアロダイナミクス
SP-8の最もユニークな特徴となるのが、ルーフのないバルケッタスタイル。今回、オーナーからの様々な要望を実現するため、エアロダイナミクスの徹底的な再構築が必要となった。フェラーリは流体解析(CFD)シミュレーション、風洞実験、サーキットでの走行テストを重ね、ベースモデルのF8 スパイダーに匹敵する快適性が保証され、ドライバーが風を切ってを楽しむことができる美しいロードスターが完成した。
スタイリングは、ボディの各コンポーネントが交差し、融け合う様がテーマの中心に掲げられた。未塗装のカーボンファイバー製フロントセクションがテールまでまわり込み、まるでツートーンカラーのような効果を生み出し、色と素材によるコントラストを強烈にアピールしている。
リトラクタブル・ハードトップを取り外したことで、デザイナーはテールセクション全体のスタイルを抜本的に見直し、引き締まったベルトラインを持つひとつのフォルムにまとめ上げた。
各部に施された専用ディテール
マットブラックのエリアに配置されたサイド・エアインテークは、インタークーラー用とエンジン用に独立したダクトを採用。その上部にはエンジンコンパートメント用のエアアウトレットが組み込まれている。縦方向のエレメントは、かつてのフェラーリによく見られた、水平方向のストレーキからインスピレーションを得たという。
フロントセクションに装着されたアルミ鋳造フルワイドグリルは、3Dプリントで製作。グリルにも垂直方向のストレーキが採用された。このストレーキは正面から見ると、その間隔がボディサイドに向かって少しずつ広がっており、左右のフロントラジエーターへとフレッシュエアをスムーズに導く効果が与えられている。
ヘッドライトは専用マスクとレンズを備え、テールライトは「ローマ」をベースに、レンズは専用デザインが与えられた。ウインドスクリーン、296 GTBと同じ処理が施されたテールパイプも、SP-8のために開発されている。
専用デザインのホイールは、フェラーリのスポーツプロトタイプや、F40に採用されていたクラシックリムを、現代風にアレンジ。深く彫り込まれた部分と、軽量化のために設けられた大きな開口部が、ホイール全体に独自の美しさをもたらしている。
F1ギヤボックス・コマンドを搭載
コクピットは、センターコンソールに大きな変更が加えられた。通常のシフトゲートに替えて、SF90 ストラダーレから採用された「F1ギヤボックス・コマンド」を搭載。シートはレーザーエッチングを施したネイビーブルー・アルカンターラと、グラデーション効果を持つクロスの組み合わせ。カーペットは玉虫色に見える、特殊なツイル織りがチョイスされている。
マットなボディカラーはSP-8のために特別に調色された「アルジェント・ミカリッザート」。同じく特別カラーで仕上げられたカーボンファイバー・セクションと美しい調和を見せている。ふたつのボディワークをつなぐカラー「ブルー・スクーロ・テッラート」も、このスペシャルモデルのために専用開発された。
SP-8は、10月24〜30日に開催された「2023 フィナーリ・モンディアーリ・フェラーリ」の期間中、ムジェロ・サーキットで展示され、その後、2023年11月16日から2024年3月まで、マラネロのフェラーリ・ミュージアムで公開される予定だ。