チリの火山登頂に挑戦した「ポルシェ 911」が標高6734mに到達

「ポルシェ 911」が標高6734mに到達し「自動車が到達した最高標高世界新記録を樹立」

チリのオホス・デル・サラード火山の西側の尾根の最高点、海抜6734mにポルシェ 911が到達した。
チリのオホス・デル・サラード火山の西側の尾根の最高点、海抜6734mにポルシェ 911が到達した。
2023年12月2日、レーシングドライバーのロマン・デュマがステアリングを握り、eフューエルで走る「ポルシェ 911」は、チリのオホス・デル・サラード火山の西側尾根の最高地点となる標高6734mに到達。自動車による標高世界新記録を樹立した。

Porsche 911 “Edith”

極限のコンディションで達成された挑戦

チリのオホス・デル・サラード火山に挑戦した、911 カレラ 4Sをベースの「ドリス」と「エディス」。最高地へのアタックは「エディス」が行った。
今回のチャレンジの舞台となったチリのオホス・デル・サラード火山は、地上と比べると酸素濃度が半分、さらにマイナス20℃という過酷な環境となった。

3度のル・マン・チャンピオンに輝いたロマン・デュマの挑戦は、チリ、フランス、ドイツ、アメリカ、カナダ、スイスのスペシャリストからなる国際チームによって達成された。彼らはチリのオホス・デル・サラード火山において、極限のコンディションに直面。高地の酸素の密度は海抜レベルの半分ほど、 さらに気温も氷点下20℃前後という厳しいコンディション下での挑戦となった。

オホス・デル・サラード火山から下山した直後、ロマン・デュマは次のように過酷なチャレンジを振り返っている。

「この経験を一生忘れることはないでしょう。どんなクルマも行ったことのない場所を運転するのは、これまでにない感覚でした。911は歴史上どの地球上のクルマよりも高いところへ到達したのです」

「今回、私たちは西側の尾根の真の頂上に到達しました。つまり、これが本当に達成可能な最高高度だったと言えます。チーム全員にとって誇らしい瞬間になりました。そして、これを可能にしたすべてのパートナーのサポートと信念に感謝しています」

従来の最高到達記録を40mも更新

チリのオホス・デル・サラード火山に挑戦した、911 カレラ 4Sをベースの「ドリス」と「エディス」。最高地へのアタックは「エディス」が行った。
2020年以来、2度目のオホス・デル・サラード火山へのチャレンジにおいて、最高標高6734mに到達。従来の記録を40mも更新する世界記録樹立となった。

今回のチャレンジは、HIFグローバル、シェフラー・グループ、モービル1、BFグッドリッチ、タグ・ホイヤーが後援。これらの企業は、ガイド、エンジニア、ドライバー、登山家からなる国際チームを専門知識と技術面でサポートしている。

このプロジェクトは、前回2022年にオホス・デル・サラード火山に挑戦し、探検走行で6000mに到達。今回の再チャレンジで達成した最高高度6734mは、モンブランの山頂を1934mも上回る。これまでの記録は2020年に樹立された6694mだった。

ポルシェAGのコンプリート・ヴィークル・アーキテクチャー&キャラクタリスティックス担当副社長のフランク・ワリザーは、困難なチャレンジを終えたチームへと賞賛を贈った。

「素晴らしい挑戦を成し遂げたチーム全員に『おめでとう!』と言いたいです。このプロジェクトは『もしも』からスタートしました。限界を押し広げ、探求することによって得られる学びを、心から信じている会社で働けることを誇りに思います」

「この遠征で使用された2台の911は、eフューエルを燃料としています。eフューエルは、ポルシェが主導するHIFパイロット計画、チリのプンタ・アレーナスの工業プラント『Haru Oni』で生産され、その後、現在適用されている燃料規制に従ってブレンドされています」

高地走行用に改造が施された2台の911

チリのオホス・デル・サラード火山に挑戦した、911 カレラ 4Sをベースの「ドリス」と「エディス」。最高地へのアタックは「エディス」が行った。
911 カレラ 4Sをベースに、足まわりを中心に安全装備や専用装備を導入。エンジンとギヤボックスはノーマルのままとなっている。

チリの高地を走行するため、「ドリス(Doris)」と「エディス(Edith)」というニックネームが与えられた2台のポルシェ911の改造モデルが製造され、RDリミテッドがポルシェと共同で開発を担当した。記録はより軽量で俊敏な仕様の「エディス」によって達成されている。

オフロード性能の高い高地専用仕様は、現行の911 カレラ 4Sをベースに改造。最高出力449PSを発揮する3.0リッター水平対向6気筒ボクサーエンジンはノーマルのままで、標準の7速MTと組み合わせられた。モービル1の純正オイルが充填され、極寒の地でもパワートレインは問題なく作動。堅牢かつ軽量なシャシー構造、十分なパワー、極高地での対応力など、911が優れたベース車両であることが、あらためて証明されたかたちだ。

2台にはカーボンファイバー製シートと5点式ハーネスを装備。専用ポータル・アスクルとオフロードタイヤを装備することで、最低地上高は350mm引き上げられた。ポータル・アクスルはギヤ比を下げる効果も与えられ、低速における正確で穏やかなスロットル入力が可能になった。さらに、岩の上を滑ることができるよう、軽量・強靭なアラミド繊維製の特別なアンダーボディプロテクションも装着されている。

先導車には、シェフラー・グループが開発・提供するステアバイワイヤを追加。「スペースドライブ(Space Drive)」と呼ばれるこのシステムは、火山と地形が要求する独特で極端な要求に応えることが可能で、必要とする場所において正確にマシンがコントロールできるよう、精度が高く詳細なフィードバックを実現している。

3回目の開催を実現した中東最大のポルシェ・ミーティング「アイコンズ・オブ・ポルシェ」。

非公開: ポルシェが中東ドバイでイベントを開催「ギネス記録の超巨大911バルーンも登場」

11月25〜26日、ドバイ・デザイン・ディストリクトの「The Slab」を舞台に、「アイコンズ・オブ・ポルシェ(Icons of Porsche)」が開催された。3回目を迎えた中東最大のポルシェ・ミーティングでは、911 ターボ ソンダーバーシュと新型パナメーラが中東初公開されている。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…