【スーパーフォーミュラ】トップフォーミュラの2023年シーズンを振り返る

F1級の速さを示すマシンで争われる「全日本スーパーフォーミュラ選手権」2023シーズンを振り返る

速さはもちろん抜群の安定感を発揮して、王者に輝いた宮田莉朋選手。
速さはもちろん抜群の安定感を発揮して、王者に輝いた宮田莉朋選手。
今年2023シーズンで50年目の節目を迎えた「全日本スーパーフォーミュラ選手権」。F1に次ぐポテンシャルを持つマシンは、速いマシンを求めるドライバーを集める注目シリーズとなりつつある。節目の年を迎えたトップフォーミュラの1年を振り返る。

SUPER FORMULA 2023

イコールコンディションでレベルの高いレース

F1参戦に必要な「スーパーライセンス」が最短2年での取得が可能だ。そのため世界の舞台で活躍するドライバーを多数輩出している注目度の高いカテゴリーとなっている。

1973年に全日本F2000選手権として始まった国内トップフォーミュラ。その後名称を変えながら、現在は「全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ」となり、2023シーズンで50年目の節目を迎えました。それに伴い今年は、今後50年先を見越した運営を見越した「SF50(エスエフゴー)」を打ち立て、様々な取り組みを始めるシーズンとなったのです。

その一環としてカーボンニュートラルタイヤや天然素材使用のボディカウルを採用したダラーラ社製の新型車両「SF23」を導入。エンジンはトヨタとホンダの2種類がありますが、基本的にイコールコンディションで戦われます。そのため、各チームのエンジニアリングが試される非常にレベルの高いシリーズとなっています。

世界的に見てもF1に迫る速さをもち、F1参戦に必要な「スーパーライセンス」を最短2年で取得可能なスーパーフォーミュラ。そのためか世界の舞台で活躍するドライバーを多数輩出している注目度の高いカテゴリーです。

シーズン中盤で宮田選手がリード

2023年の開幕戦は富士スピードウェイはラウンド1/2の2レース制。ラウンド1は2021年、2022年と2年連続でシリーズ王者に輝いたTEAM MUGENの野尻智紀選手がポールポジションを獲得し、好調な出だし。しかしレースが始まると、同じくTEAM MUGENでルーキードライバーのリアム・ローソン選手が抜け出して初優勝を遂げます。翌日のラウンド2では野尻選手が優勝し、やはり今年もTEAM MUGENを中心にシーズンが進んでゆく予感です。

ラウンド3は鈴鹿サーキット。予選では大湯都史樹選手がポールポジションを獲得し、初優勝に期待がかかったものの、レース中盤に野尻選手と接触。ともに痛いノーポイントに終わる中、宮田莉朋選手が今期初優勝を遂げました。

続くラウンド4は九州阿蘇のオートポリスです。予選は坪井翔選手が制してポールポジションを獲得するも、決勝レースはローソン選手が2勝目を挙げ、宮田選手もきっちりと2位をキープ。野尻選手は体調不良の為、このレースは欠場でノーポイントに終わりました。シーズン折り返しを前にローソン対宮田の図式が形成され始めました。

ラウンド5は仙台のスポーツランドSUGO。ポールポジションは今シーズン大湯選手が2度目の獲得。しかし決勝レースではリタイアで、またもチャンスをものに出来ませんでした。優勝したのは宮田選手。この2勝目でかなり有利な状況になりました。

最終戦で劇的な幕切れ

ラウンド6の富士スピードウェイはローソン選手が3勝目を挙げ。宮田選手もきっちり3位表彰台を獲得。両者譲らぬまま終盤戦に突入して行きます。

モビリティリゾートもてぎで開催されたラウンド7は、スタート直後に数台が巻き込まれる大きなクラッシュが起こりレースは大荒れになりました。そんな中、野尻選手が今シーズン2勝目を獲得し、王者争いに追撃の狼煙をあげます。

ラウンド8/9は鈴鹿サーキット。開幕ラウンド以来の2レース制で開催されました。ラウンド9では大きなクラッシュが発生して赤旗中断となり、そのまま終了となりました。優勝は野尻選手で最終戦に望みをつなぎます。

そして迎えた最終戦ラウンド9はローソン選手が逆転チャンピオンに向けて幸先の良いポールポジションを獲得しましたが、予選2番手からスタートを決めた太田格之進選手がルーキーイヤーで見事な初優勝を遂げました。ローソン選手は2位に入りましたが、宮田選手もしっかりと3位に入り、宮田選手が初戴冠。2023年のタイトルを決定させました。

2024年シーズンも注目のレースシリーズに

ヨーロッパから鳴り物入りでやってきたリアム・ローソン選手旋風が印象的だった今シーズンですが、国内の実力者である宮田莉朋選手が速さはもちろん抜群の安定感を発揮して、王者に輝きました。両選手は来シーズン新たな高みに向けて旅立ちます。

群雄割拠のスーパーフォーミュラは、シーズン終了後の12月6~8日に行われた鈴鹿サーキットでの合同&ルーキーテストで、実力者たちが確実にメニューこなす中、17歳の野田樹潤選手など若い力の躍進も見受けられて、2024シーズンはさらに興味深いものになる事が期待されます。

PHOTO/田村弥(Wataru TAMURA)、大島洋行(Hiroyuki OSHIMA)

TEAM MUGENの野尻智紀選手。2022年のドライバーズチャンピオンだ。

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田村 弥 近影

田村 弥