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1968 Lancia Fulvia Sport Zagato Competizione
ザガートが手掛けた軽量コンペティション仕様
1960年代末、ランチアのモータースポーツ部門のディレクターを務めていたチェーザレ・フィオリオは、ザガートにフルビアのスペシャルモデルを発注した。すでにコーチビルダーとして成功を収めていたザガートは「フルビア スポーツ 1300」をベースに、軽量化されたボディワークを製作。こうして、このクラスで最も貴重なコンペティション仕様「フルビア スポーツ ザガート 1.3 コンペティツィオーネ」が誕生した。
1300ccV型4気筒エンジンを搭載し、アルミ合金製ボディをスチール製ボディシェルにリベット止めしたレーシングバージョンは、軽量でパワフル、非常に高い走行性能を発揮。ヒルクライムレース、ラリー、耐久レースが盛んだった1960年代のモータースポーツ黄金時代、多くのファンを熱狂させることになった。
ザガートは、エンジンコンパートメントを含むすべてのボディワークに軽量化を実施。各パーツは、職人によって肉抜きされており、ウインドウは前方のウインドスクリーンを除いて、ガラスよりも軽量な4mm厚プレキシガラスに変更されている。
「カー&クラシックス」のオークションに出品されるフルビア スポーツ ザガート 1.3 コンペティツィオーネは、ジェントルマンドライバー、アンジェロ・リッツォが所有していた個体(#1905)だ。
現存する19台のうちの貴重な1台
フルビア スポーツ ザガート 1.3 コンペティツィオーネは、プライベーターチーム向けに限られた台数を製造。3台がスクアドラ・コルセHF、3台がジョリー・クラブに供給された。タルガ・フローリオでは1968年、1969年、1971年にクラス優勝を果たしている。
現在、19台が現存していると考えられているが、そのうちの1台(#1905)が、メッシーナ在住のジェントルマンドライバー、アンジェロ・リッツォが所有していたこの個体で、今回、ヨーロッパ最大のオンラインマーケットである「カー&クラシック」のオークションに出品されることになった。
素晴らしいコンディションと完璧なパフォーマンスを維持したフルビア スポーツ ザガート 1.3 コンペティツィオーネのオークションは、1月10日から開催。オークション予想落札価格は14万~17万ユーロと予想されている。この個体は、リッツォのドライブで1968年と1969年のタルガ・フローリオに参戦。1968年には当時イタリア最長のヒルクライムレースだった「カターニア・エトナ」で総合6位に入っている。
現在のオーナーは、ランチアの創始者ヴィンチェンツォ直系の子孫であり、ランチア アウレリアに搭載された史上初のV6エンジンを開発したエンジニア、フランチェスコ・デ・ヴィルジリオの子息。購入後、エアコンによって適切な温度に保たれたガレージで保管されている。