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2024 Rolex 24 At DAYTONA
世界三大24時間レースのひとつ
デイトナ──その名を耳にすると、かの名優でレーシングドライバーのポール・ニューマンが愛用し、1963年の発売から世界中のコレクターに今なお愛され続ける、ロレックスを代表する腕時計がすぐに脳裏に浮かぶ。そのロレックスのブランドイメージが強いアメリカのフロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで、毎年開催されるデイトナ24時間レースが今年も間もなくスタートする。
デイトナ・インターナショナル・スピードウェイが開業したのは1959年。デイトナ24時間レースの前身となる3時間耐久レースとして1962年に初開催され、1964年に2000㎞耐久、1966年に24時間耐久レースへと拡大し、世界的なレースへと大きく発展を遂げた。IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の1戦に組み込まれ、このデイトナ24時間レースがシーズン開幕戦の大イベントとなる。
今やデイトナ24時間レースといえば、フランスのル・マン(1923年)とベルギーのスパ(1924年)と並ぶ世界三大24時間レースのひとつとしての地位を確立した。他のふたつに比べると歴史は浅いものの、最大バンク角が31度のハイスピードのオーバルが非常に特徴的で、その迫力ある走行シーンが、なによりもこのレースのドラマチックさを物語る。
日独米ブランドの熱い戦い
2023年からWEC(世界耐久選手権)やル・マン24時間レースと共通レギュレーション下のハイパーカーによる、GTPクラス(Grand Touring Prototype)が誕生し、地元アメリカ勢のキャディラック、ホンダのアメリカブランドのアキュラに加え、ドイツ勢のBMWやポルシェが集い、日独米のブランドの名を懸けた熱い戦いとなる。アメリカを代表するレースであるが、史上最多の18度の総合優勝を誇るのはドイツのポルシェで地元アメリカ勢を引き離している。
また、ル・マン・プロトタイプクラス(LMP2)に加え、数多くの強豪GT3マシンがしのぎを削るGTD(GTデイトナ)、GTDプロクラスには「シボレー コルベット Z06 GT3.R」と「フォード マスタング GT3」の両マシンがデビューする。アメリカの誇る二大ブランドのGT3マシンが地元の華々しいレースでデビューとなる事から、そのポテンシャルにも注目が集まる。
注目の日本人ドライバー
今年のデイトナ24時間レースには、日本からも2名のドライバーがプロアマ混合のGTDクラスから参戦する。#12ヴァッサー・サリヴァンの「レクサス RC-F GT3」を駆るのは宮田莉朋。昨シーズンにスーパーGTのGT500クラスとスーパーフォーミュラの両方で見事シリーズチャンピオンを勝ち取った若干24歳の宮田は、今季はこのデイトナ24時間レースを皮切りにFIA F2選手権、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ、WEC(世界耐久選手権)にル・マン24時間レースを含め、トヨタ ガズー レーシングのハイパーカークラスのリザーブドライバーに就任する等、世界へ向けての挑戦がはじまる。
そして#21 AFコルセの「フェラーリ296 GT3」をドライブするのはケイ・コッツォリーノ。イタリア人の父と日本人の母の元に生まれたコッツォリーノは、日・伊・英の三ヵ国語をネイティブに操り、昨今はル・マン24時間レースやアジアン・ル・マンシリーズやスーパーGT等、数多く世界トップカテゴリに参戦するベテランドライバーだ。アメリカの大舞台で初めて勝負を挑む日本人ドライバーの活躍に期待したい。
デイトナ24時間レースは1月27日の現地時間13時40分(日本時間3時40分)に59台がスタートする。文字盤の裏面に「Winner」の刻印の入ったロレックスのデイトナを、24時間後に手にできるのは、各クラスの優勝者のみ。果たして誰の腕に輝くのだろうか。