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念願の初対面と初試乗!・・・だったんだけど
前号で、遂に993との初対面を終えた筆者。ただドライブシャフトブーツやボンネットダンパーといった純正部品がメーカーから届かないという理由から、このときは愛しのハニーを我が家へと連れて帰ることはできませんでした。
それでも「とうとう993が手に入ったんだ!」と幸せな日々を送っていたわけですが、そんな日常を一気にブチ壊す一本の電話が、アイコードの鶴田御大からかかって来た! というのが、今月のお話です。
「オイル漏れ、思ったより激しかったわい!」
鶴田御大からの電話は、いきなりこんな感じで始まりました(汗)。
え゛~! だって初見で993の様子をチェックしたとき、「こんなのオイル漏れのウチに入らん!」って、言ってたじゃないデスかーッ! それがアイコードに引き取って来てみると「結構な量が漏れてたのよ」というのです・・・とほほ。
各部にお漏らしを発見・・・
オイル漏れは主にヘッドカバーからで、液体ガスケットの塗布量が少なかっ たから、オイルが再び漏ってきたというのがアイコードの見解でした。
ただこの処置に関して御大は「決して悪いことじゃない」と言います。というのも液体ガスケットを塗りすぎてこれが中にあふれ、オイル孔を塞いでしまうよりは、塗布量を少なくしてオイルが外に漏れる方が、よっぽどマシだというのです。
あとはチェーンカバーと、エンジンマウントの周辺にも少しお漏らししていましたが、これも「よくあること」。逆に縦割りクランクケースの継ぎ目からはオイル漏れしていないから、まだエンジンを降ろさないで済むとのことでした。
時すでに遅しのストーンガード
これ以外では、予定していた「ストーンガード」の施工が中止になりました。ストーンガードといえば911の張り出したリヤフェンダーを飛び石などから守るシート。マイ993にはこれが貼られておらず慌てて純正部品を取り寄せたのですが、時すでに遅し、の状態だったのです。
張り出したリヤフェンダーは沢山の飛び石を拾っており、これを貼るなら再塗装が必要。乾かすことも含めるとまた手元に来る時間が延びてしまうし、塗装費用もかなりの出費となるため、泣く泣くこれを断念したのでした。つか、前のオーナーさん、どうして貼っておかなかったんだ!?(それは後々わかることに)。
こうして一通りの納車点検を終えて、晴れて993を我が家へつれて帰ることに成功したわけですが、まず今月は溺愛レポートをする前に、ジャーナリストの目で辛口な評価をしてみようと思います。だって古い空冷ポルシェを買って、「その実どうなの?」というのが、みなさんの気になるトコロですもんね。
95年式の前期型カレラ。乗り始めて最初に感じたのは、今もってその乗り味が古さを感じさせない驚きでした。むしろ室内空間などはフロントガラスが近く理想的なタイトさで、それでいて横方向の窮屈さを感じさせない間取りが素晴らしい。ドアの厚みなど安全基準も昔は緩かったのでしょうが、そこには設計の良さが感じられます。Aピラーなどは現代車に比べてとても細く、それ故に視界は良好。目立つのは樹脂製インパネやコンソールのチープさ、エアコン制御の曖昧さで、こうした部分が現行911では、格段にプレミアム化されていると感じました。
その乗り味は、ハンドルを切らなければ、どっしりと重厚。車体が必要以上に低重心で、ボディが硬く感じられるのは、そのホイールベースが2270mmと短いからでしょう。ボディが小さいんですよね。ちなみにホイールベースは現行911(タイプ991)比で180mm、トヨタ 86と比べても30mmも短いンですよ!
やれたブッシュなどゴム系パーツは今後の課題
足周りには社外の車高調キットが入っており、タイヤも18インチを履かせているせいか、操舵感はかなりクイック。993カレラには鈍重なイメージを持っていたのですが、我が子はちょっと過敏なくらいです。ポルシェって、足周りでここまで変わるんですね。そして993にはPSMなんてないですから、注意が必要です(笑)。
さらにマイ993は、前後で銘柄違いのタイヤを履いていました(笑)。きっと前オーナーさんが、車検のために安いタイヤを買い足したのでしょう。またブッシュもそこかしこヤレていることから、ハンドリングに落ち着きがない。それでも思った以上に乗り心地が良いのは、ボディ剛性の高さが理由でしょうか?
目玉となる3.6リッターの空冷ユニットは、吹け上がり感が絶妙! 絶対的なパワー感は大したことないけれど、これをまったく不満に感じないのは、アクセルの踏み始めからトラクションが、本当に驚くくらい素早く掛かるからです。
独特のメカニカルサウンドが気持ちいい
後ろからの蹴り出し感は、現行911よりもダイレクト。だから降車後は、それなりに疲れます。特に今は「オレは911を運転しているんだ!」という緊張感もあるから、なおさらです。でも趣味のスポーツカーなら、これくらいの方が楽しいですね!
シングルカム&2バルブのサウンドは、低中速で“クワラララ ~ッ”と独特な高周波を発しており、それが高回転になるほど、トーンを揃えていきます。回さないで走ると、ノーマルマフラーということもあり、結構静か。回して走ると、排気サウンドではなく、メカニカルサウンドが気持ちよく盛り上がります。
特にこのクルマは、定番チューンである「RSフライホイール」が入っていたので、高回転までの到達感や、ヒール&トゥしたときの“ツキ”が気持ちよい。またメカニカルノイズが大きい割に振動が少なく、わずかなバイブレーションすら心地良いのは、空冷・水平対向エンジンならでは。本当にお互いの振動を、ピストン同士が打ち消し合っているんですね。
オーナー目線で言うと・・・ずばり最高です!
ご存じの通り993の後期型は排気量も3.8リッターとなり、ヴァリオラムまで付いて、低回転でもトルクフルな993になりました。でも以前これに試乗したときボクは、なんだかエンジン特性がもっさりと感じて、自分で乗るなら3.6リッターまでの「ヴァリオ無しがいいな・・・」と思っていました。市場価格も、3.6の方が安いですし(笑)。
そういう意味では、前期型を選んで大正解!
あらら? 辛口評価のつもりがいつの間にか、溺愛評価になってしまいました。
まとめると、パワー感はさほどないけれど、別に下がないわけではない。そして回せば、とっても楽しい。足周りのことはまだよくわからないけれど、質素で可愛い911、「これでいーじゃん!」というのが993の第一印象です。 そしてオーナー目線で言うと・・・ずばり最高です♡
REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)
PHOTO/市 健治(Kenji ICHI)
やっぱりポルシェはお金がかかる!?
今月の出費:15万2280円(チーン・・・)
ストーンガード | (1万1100円×2) |
カッティングシート | (4500円×2・工賃3000円×2枚) |
ドライブシャフトブーツ | (6000円×4セット グリース含む) |
ステンレスバンド | (160円×8個) |
ドライブシャフトブーツ交換・作業工賃 | (2万円×2) |
フードダンパー | フロント4450円×2、リヤ3950円×2・工賃8000円) |
タペットカバーオイル漏れ修理 | (2万5000円 オイル補充含む) |
【COOPERATION】
アイコード
TEL 0565-46-0727
【関連リンク】
・アイコード 公式サイト
http://icode.jp/