最終の空冷ポルシェを令和に愛でる! LONG-TERM REPORT Vol.3

ポルシェ 911(タイプ993)ロングタームレポート:第3回「身も心も、ボクのものにッ!!」

993ロングタームレポート第3回
993ロングタームレポート第3回
かねてから993を手に入れたらやってみたかったこと。それは「内外装のリフレッシュ」だった。これまで中古車ばかりを乗り継いできた筆者だが、993とは新たな気持ちで向き合ってみたかったのだ。とはいえ相手はポルシェということで、弱気な筆者はちょっと緊張気味。さっそくその道のプロ、“クレフ”に相談してみたのであった。(※この記事はGENROQ 2018年5月号の「ロングターム・レポート」に加筆・修正したものです)

どうしてもやりたいこと・・・内外装のリフレッシュ

「人の印象は見た目が9割」。この言葉を聞くといつも複雑な気持ちになりますが、993に乗るようになってからはそれをさらに、ヒシヒシと感じるようになりました。この子、とっても愛されキャラなんです。

いまとなってはちょっとクラシカルで、小ぶりなボディ。空力を意識した、当時は最先端だったはずの丸目顔が相手の心を和ませるのか、スタンドへ行っても対応は非常に丁寧ですし、クルマ好きには概ね好印象。交差点では子供がこっちを指さして大騒ぎするという、ちょっとした人気者なのであります。

それだけにボクは、どうしてもやりたいことがあった。それは、外装の磨きと本格的な室内クリーニングです。

ライト類はPPF、ボディはコーティング。 内装クリーニングは効果絶大!?

これまで中古車ばかりを乗り継いできた筆者ですが、もちろんそんなこと、今まで一度もしたことありません。愛車はキレイにしたい派ですが、一方でそんな余裕があるなら機関面の整備に費やし、「速くする」ためのチューニングを優先していたからです。要するに「外見よりも中身派」だったわけですが、993を乗るようになってようやく、「外見の大切さ」を思い知りました。おそっ!

とはいえお話したとおり、クルマ磨きなんてこれまで一切したことのない筆者には、それをお願いするツテも知識もありません。仮にどこかへ飛び込むにしても、ポルシェをよく知るお店じゃないと不安。だって内装ひとつとっても何かがポキッ!と折れたりした場合、「クルマが旧いっすからねぇ?」なんて言われたら卒倒しそうです。

そこでハタと思いついたのは、ポルシェ専門店である「クレフモータースポーツ」。代表である水島さんとはこれまで何度も仕事をしているし、そういやPPFなんてフィルム施工もしていたな・・・。そう思って電話をしてみると、「任せなさいッ!」と快諾してくれたのでした。

リペイントされた個体だが細部まで詳細にチェック

ちなみにアイコード以外のポルシェ専門店に行ったのもこれが初めて。ポルシェオーナーになってポルシェ専門店に行くのって、なんだかちょっとワクワクします。

クレフに着くと早速現車確認。工場の奥にはブースがあって、まさにPPF施工の真っ最中でした。ちなみにPPFとはペイント・プロテクション・フィルムの略称で、ポリウレタン製のフィルムをボディに貼ることで飛び石や10円パンチ!といった外的被害からボディを守る人気商品です。

ただマイ993は、結論から言うとPPF施行ができませんでした。

近年きちんと外装をオールペンした様子が見受けられたものの、「既に飛び石などで塗装面がはげている部分や、スポイラーなど別塗装をしている部分のクリア塗膜で薄い部分がある」ことから、PPFを貼るのはやめた方が良いというのです。

プロから「概ね程度良好」とのお墨付き

PPFも消費材ですから、これが劣化したときは張り替えが必要。でもそのときに、強い粘着力から塗膜がはがれてしまう危険性がある、という判断でした。ざっくり言うとPPFは、新車向けなんですね。少なくともクラシックカーには強力すぎる感じ。

ただマイ993もボディ自体にはまだクリア塗膜が十分残っているため、「様子を見ながら磨きをやってみましょう!」ということになりました。そしてPPF施工は灯火類やウインドウといった、ガラス面にだけ施工することになりました。

今回はついでに細部もチェックして頂いたのですが、水島氏の見立てでは概ね程度が良好とのこと。

これは追々、細かく報告するつもりですがひとつ朗報だったのは、先月泣く泣く施工を断念した「純正ストーンガード」を、「無理して貼らないでよかったねぇ~!」と言われたことでした。

今後、徹底的なクリーニングを予定!

そもそも純正のストーンガードは古くなるとボロボロになって、これをはがすのがとても大変なんだそうです。また新品を貼っても割りと早く劣化してしまう傾向だとか。

ということでクレフでは、リヤフェンダーにもPPFシートを施工する場合が多いとのことでした。

でもそうなると、マイ993はそのPPFすら貼ることができないから、ずっとリヤフェンダーガードは付けられないことになっちゃうの?

これについては後日解決策ができたので、改めてご紹介しますね。

そして内装も、徹底的にクリーニングしてもらうのをお願いしました。

まだまだやること盛りだくさん!!

施工担当の武居さんによると「この時代の911はカーペットの毛足が長いので、室内は汚れにくいんです。でもその分カーペットにはゴミが溜まっているので、クリーニングすると、すごくキレイになりますよ!そしてどれだけ汚れているかを見たら、きっと驚くと思います(笑)」とのこと。

今までは993を手に入れた喜びが完全に勝って、そのしみったれたニオイすらラブリーに感じていた筆者ですが、果たして23年分の汚れを見たら、どんな気持ちになるのでしょう(汗)。

まぁそれもある意味楽しみなので、ここはきっちりレポートします。ともかくこのクリーニングが済めば、身も心も993がボクのものになる気がして、今から施行がとっても待ち遠しい。試乗記は走りのことばかり書いている私ですが、愛車のこととなると、話は別ですね。

REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)
PHOTO/奥村純一(Junichi OKUMURA)

【問い合わせ】
クレフモータースポーツ
TEL 045-938-6809

【関連リンク】
・クレフモータースポーツ 公式サイト
http://www.cref-ms.jp

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著者プロフィール

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山田弘樹

モータージャーナリスト。自動車雑誌『Tipo』の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した…