免許所有歴が1年未満のドライバーは、初心者マークの表示が必須
クルマに関連するマークにはさまざまな種類がある。中でも、広く知られていると言えるのが「初心者マーク」だ。
初心者ドライバーには、運転免許を取得してから1年間、このマークを表示する義務がある。これは道路交通法第71条の5に定められており、初心者ドライバーであることを他のドライバーに知らせ、周囲の配慮を促す目的があるという。
なお、初心者ドライバーには、免許所有歴が1年未満のドライバーが該当する。もしもこの表示を怠った場合は、「初心運転者標識表示義務違反」と見なされ、違反点数1点に加えて、4000円の反則金が科せられる。さらに、表示位置が不適切な場合や見えにくい場合も、同様の扱いになる可能性があるため注意が必要だ。

そして、違反点数次第では、初心者講習を受ける必要が出てくるおそれも否定できない。
初心者講習とは、免許取得後1年間の「初心運転者期間」において、一定の違反点数に達したドライバーに対して実施される講習である。準中型、普通、大型二輪、普通二輪、原付免許を取得してから1年以内に、違反点数が累積3点以上に達した者が対象となるのだ。
初心者講習は、違反点数のリセットや免除を目的としたものではない。交通安全意識を高め、安全運転の習慣を身につけるための教育的な措置である。 つまり、講習を受講しても、累積された違反点数はそのまま残るため、再度の違反には注意が必要である。
ペーパードライバーが初心者マークを表示しても違反にはならない
前述のように、初心者マークは、初心者ドライバーが他のドライバーから配慮を受けやすくすることを目的としている。では、免許取得から1年を超えたペーパードライバーが、自主的に初心者マークを表示することは許されているのだろうか。
結論としては、法律上、初心者運転期間を過ぎた者が初心者マークを掲げることは「努力義務」に移行し、掲示しても罰則の対象にはならない。つまり、表示を継続しても違反には該当せず、運転に不安があるドライバーが周囲へ配慮を促すための方法として有効というわけだ。
実際、長期間運転から離れていたペーパードライバーが、緊張や不慣れな運転を和らげるために初心者マークを活用する例を目にすることも少なくない。
一方で、初心者マークの長期的な掲示には注意も必要である。あまりにも長期間にわたり表示を続けていると、他のドライバーからあらぬ誤解を受けるおそれがある。
さらに、一部では過度な配慮を求めているとの印象を与える場合もあり、逆にあおり運転の標的になるリスクも否定できないのが実情だ。そのため、表示を続けるかどうかは、自身の運転に対する自信や周囲の状況を踏まえて判断するのが望ましい。
運転に慣れてきたと感じた時点で初心者マークを外すことも、ひとつの節目となる。いずれにせよ、初心者マークの本来の趣旨は安全運転への意識向上にあることを忘れてはならない。
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初心者ドライバーは、交通状況への対応力や運転経験が乏しいため、予測不能な動きをする可能性が高い。そのため、周囲のベテランドライバーが無理な追い越しや急な割り込みを避け、余裕を持って接することが重要である。
交通事故のリスクを抑えるためには、初心者・ベテランの別を問わず、お互いが譲り合い、ゆとりある運転を心がけることが欠かせない。安全運転は、すべてのドライバーが支え合う姿勢によって成立するものなのだ。



