渋滞は、交通量が交通容量を超えると発生するのが一般的

連休になると、高速道路の利用者が一気に増加する傾向にある。とくに、行楽地や観光地を目指すクルマが集中するため、特定の区間では渋滞が頻発することも少なくない。
代表的な例としては、都市部から郊外へ向かう下り線が朝方に混雑し、帰路となる上り線が夕方から夜間にかけて混み合うというパターンが挙げられる。
交通集中による渋滞は、わずかな減速や車間距離の詰まりが引き金となって、連鎖的に発生する。加えて、事故や故障車両が発生した場合、その影響はさらに拡大するため、計画的な移動が必要不可欠と言えるだろう。
渋滞を避けるためには、出発時間を早めたり、混雑時間帯をあらかじめ調べてルートを変更したりするなどの対策が効果的である。
そもそも、なぜ渋滞は発生するのだろうか。NEXCO東日本の担当者によれば、「渋滞は交通需要(交通量)が交通容量(一度に通せる車の数)を超えると発生します。速度低下(減速) しやすいサグや上り坂は、交通容量が小さく、 特に渋滞が発生しやすい場所となります」と話す。
渋滞には「交通集中渋滞」「事故渋滞」「工事渋滞」「天候渋滞」など、いくつかの原因があるとされている。そして、なかでももっとも多く見られるのが「交通集中渋滞」なのだ。
さらに、前述の担当者は「最近では、交通容量の経年的な低下が学会等で報告されています 」とも続ける。担当者が言うには、例えば、とある場所では以前、1時間あたりの交通量が4000台を超えても、渋滞が発生していなかった。しかし、現在では交通量4000台未満で渋滞が発生するようになっていると言うのだ。
そして、この要因として考えられるのは、 「ドライブアシスト機能と手動運転の混在」や「ドライバーの高齢化」等といった社会情勢の変化が挙げられるという。
渋滞を発生させないためのポイントは3つ
では、渋滞を発生させないためにはどのようなポイントに注意すればよいのだろうか。NEXCO東日本の担当者は、これについて「渋滞予測を参考に時間をずらして運転する」「むやみな車線変更を控える」「混雑時は車間時間2秒を確保する」の3つを挙げた。
前述のように、渋滞は、特定の日時路路線に交通量が集中し、 交通容量を超えることで発生しやすい。つまり、その交通量が他の日時や路線に分散すれば、その分渋滞は発生しづらくなるというわけだ。そして、NEXCO東日本では、年間365日「いつ、どこで、どれくらいの渋滞が発生するか」を予測し、Webサイト「どらプラ」や「ドライブトラフィック」で公表しているという。
前述の担当者は、「これらの渋滞予測を参考に、混雑する日時を避けた分散利用にご協力をお願いします」とも話していた。
さらに、2つ目のポイント「むやみな車線変更を控える」についても、「渋滞中のむやみな車線変更は、後続車のブレーキを誘発し、 事故や渋滞の悪化につながるため、お控えください」と話す。これは、サグや上り坂などで、前を走るクルマが速度低下していると、「少しでも早く進みたい!」という思いから追越車線 に車線変更するクルマが多くなり、 結果的に追越車線にクルマが集中して渋滞を早めるためだ。

混雑している時こそ、はやる気持ちを抑えて「キープレフト」を心がける必要があるだろう。そして、これに加えて、前のクルマとの車間を約2秒キープすることも忘れてはいけない。
適度な車間はクッションの役割を果たし、後続車にブレーキの波が伝わるのを防ぐ。もしも車間が開きすぎると、割り込まれることでブレーキを踏み、速度低下が生じる。これにより、渋滞を引き起こすリスクがあるだけでなく、近づきすぎは追突事故の原因となりえるのだ。
ちなみに、NEXCO東日本では渋滞の緩和に向けた対策を多角的におこなっている。さらに、渋滞の発生地点となりやすいサグ部や合流部では、車線の増設や付加車線の設置がおこなわれているという。また、路面への注意喚起表示や標識の設置をおこない、ドライバーの減速操作を誘導している場所もあるようだ。
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快適なドライブを楽しむためには、事前の情報収集と的確な準備が欠かせない。とくに、渋滞情報の確認は基本中の基本であり、NEXCOが提供するリアルタイムの交通情報や所要時間、混雑予測を活用すれば、スムーズなルート選択が可能となる。
さらに、サグ部や合流地点など、渋滞の要因となりやすいポイントを意識するだけでも、無用なブレーキ操作を避けることができるだろう。少しの工夫と意識によって、目的地までの道のりはより快適で、安全なものとなるはずだ。



