2025年7月8日からモバイルバッテリーの機内での取り扱いが変わるって知ってた？ モバイルバッテリーに潜む発火リスクとは

2025年7月8日からの、機内でのモバイルバッテリーの取り扱いに要注意

今やスマートフォンは、日常生活はもちろん、旅行や出張といった移動時にも欠かせない。旅行や出張の際には、地図アプリで道順を確認したり、翻訳ツールを使ったり、SNSや動画を楽しんだりと、出先での使用時間が長くなればなるほど、スマートフォンのバッテリー消耗は激しくなる。そして、そんなときに頼りになるのが「モバイルバッテリー」である。

モバイルバッテリーは、外出先での充電切れを防ぐ心強いアイテムとして、スマホユーザーにとっては必需品といえるだろう。そんな中、2025年7月1日に国土交通省が発表した内容が話題となっている。同年7月8日から、モバイルバッテリーの機内における取扱いが変更されるというのだ。

そして、今後モバイルバッテリーを機内に持ち込む際は、座席上の収納棚に入れず、常に状態が確認できる場所に置く必要がある。加えて、機内でのモバイルバッテリーからスマートフォン等への充電、または機内電源からモバイルバッテリーへの充電について、常に状態が確認できる場所でおこなう旨も呼びかけられた。

では、いったいなぜモバイルバッテリーの取扱いが変更されるのだろうか。その背景には、リチウムイオン電池が持つリスクがあるとされている。公益財団法人日本容器包装リサイクル協会によれば、リチウムイオン電池は大容量の電力を蓄えることが可能で、繰り返し充電して使用できるという利点があるという。

その一方で、中に燃えやすい液体が入っており、発火リスクが特に高いというのだ。上述した国土交通省の同資料にも、「モバイルバッテリーに使用されているリチウムイオン電池は衝撃や損傷等により発火し、火災に至るおそれがあります」との表記がある。

実際、2025年1月に韓国の金海空港で発生した「エアプサン航空機炎上事故」の原因も、モバイルバッテリーからの発火が原因である可能性が指摘されているようだ。

こうした背景を受けて、国際的な航空安全基準を策定するICAO（国際民間航空機関）では、リチウムイオン電池を含む電子機器の輸送に関する規制強化が進められている。そして、今回日本もその動きに対応したかたちで、新たな取り扱いマナーを適用するというわけだ。

＊　＊　＊

モバイルバッテリーは、モバイルバッテリー以外にもスマートフォンやノートパソコン、コードレス掃除機や電動工具など、多くの機器に搭載されており、その軽量・高出力という特性から急速に普及が進んだ。これらの家電製品は、現代の生活において欠かせない存在となっている。

しかし、リチウムイオン電池には発火や爆発のリスクが伴うため、取り扱いや輸送に関する安全基準は年々強化されている。今回の航空機内のモバイルバッテリー規制のように、今後さらに厳格なルールが導入される可能性も否定できない。安全性と利便性の両立には、日常の取り扱いに対する意識が欠かせないだろう。