「トライク」「ミニカー」扱いとなる三輪車は、ヘルメット不要
バイク(=二輪車)は原則としてヘルメットの着用義務が課されているが、街中では「三輪バイク」をノーヘル(ヘルメット未着用)で運転している人を目にすることも少なくない。彼らは違反にはならないのだろうか。
まず、三輪バイクを区分する上で大事なのが「輪距(トレッド)」である。トレッドとは、左右タイヤの路面との接触面の中心線間の距離を指す。
トレッドが460mm以上で、またがり式の座席・ハンドルバー方式の舵取り装置・運転者席の側方が開放されているなどの条件を満たす三輪バイクは、「トライク」に分類される。トライクは普通自動車免許で運転でき、法律上“クルマと同じ”扱いとなるため、ヘルメットの着用義務はない。また、ナンバープレートの色は一般的に白で、軽自動車税が課される。

一方、トレッドが460mm未満かつ、車輪が車体中心線に対して左右対称に配置され、車輪や車体が傾いて旋回する構造をもつものは「特定二輪車」に該当する。
ヤマハ「トリシティ」などは特定二輪車に区分され、車種の排気量に合わせた色のナンバープレートが発行されるというわけだ。特定二輪車を運転するには、当然ながら二輪免許が必要で、ヘルメットの着用も義務付けられる。
ヤマハのバイク販売店であるYSPの担当者も「トリシティは、どの排気量であってもヘルメットの着用は必須です」と話す。
さらに、トレッドが500mm以上の場合は、普通自動車の一種である「ミニカー」という区分となり、ナンバープレートは水色になる。ミニカーは、ヘルメット着用義務や二段階右折の義務がなくなるが、代わりに普通自動車免許が必要で、軽自動車税が課税されるという。
ヘルメット不要であっても、着用が推奨されている
<ミニカーが原付一種と違う点>
・30km/hの速度制限が不要
・二段階右折不要
・ヘルメットの着用不要
・第一通行帯通行義務の不要(中央車線でも走行可)
・ナンバープレートの色は「青」
・3700円の軽自動車税がかかる
このように、三輪バイクと一口に言っても、車体設計やトレッドにより法的な扱いが大きく変わる。ヘルメットの着用義務だけでなく、運転に必要な免許やナンバーの色まで異なるため、購入や運転前に車種の分類を正しく理解しておくことが求められるだろう。
そして、中には特定二輪車の輪距をカスタムで460mm以上にすることで、車両区分を変更し、ヘルメットの着用義務を不要にする事例も少なくないようだ。
前出のYSP担当者はこれに対して「たとえカスタムにより車両区分が変わっても、安全上の観点からヘルメットの着用が望ましい」と話している。三輪バイクだからといって、すべての車種でヘルメットが不要になるわけではないが、安全性を考慮すれば、着用義務がない場合でもヘルメットを装着する判断が望ましいとされている。
ライダーは車種の見た目や扱いにとらわれず、安全第一で乗車すべきだろう。



