特定小型原付には原付一種と同じ交通ルールが適用される

電動キックボードに乗る女性
電動キックボードなどのうち一定の基準を満たすものが「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」という区分に位置付けられた。
特定小型原付が追加される旨のリーフレット(資料:警察庁)
特定小型原付の基本的な交通ルールは、従来の原付一種と同じだ。

2023年7月から、電動キックボードなどのうち一定の基準を満たすものが「特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)」という区分に位置付けられた。しかし、警察庁が2024年に公表した資料によれば2023年7月〜12月の半年間だけでも、特定小型原付の検挙件数は7130件に達している。

こういった状況を踏まえ、SNSでは特定小型原付に対して「ルールが特別に緩いのでは?」といった声を上げるユーザーも少なくない。しかし、実は特定小型原付の交通ルールは原付一種と同じである。

実際、警察庁が公開している資料には、「交通ルールは今までの原付一種と同じです」と明記されているのだ。つまり、特定小型原付は原付一種と同様に原則車道通行であり、歩道の走行や二人乗りは基本的に禁止されている。

原付一種に乗る人の写真
原付一種のルールを守っていれば、特定小型原付の交通ルールを破ることにはならない。
電動キックボードに乗る女性
特定小型原付はヘルメットの着用義務はないが、安全のために着用するのが望ましいとされている。

さらに、交差点では二段階右折をおこなう必要があるほか、信号・標識の厳守や飲酒運転の禁止も当然ながら適用されるというわけだ。加えて、走行中はナンバープレートの装着が義務であり、自賠責保険への加入や日常点検も必要である。

一方で、特定小型原付と原付一種の大きな違いは、ヘルメットの着用義務があるかどうかだ。原付一種ではヘルメットの着用が義務付けられているが、特定小型原付のヘルメット着用は努力義務にとどまっている。しかし、安全の観点から着用を推奨されていることは言うまでもないだろう。

また、「特例特定小型原付」と呼ばれる一部車両に限っては、歩道を時速6km以下で通行することが認められているが、条件が非常に限定的である点には注意したい。

特定小型原付の検挙数は半年間で7000件を超えている

特定小型原付のナンバーの写真
特定小型原付を取り巻く動向には、引き続き注目が集まると考えられる。

前述のように、特定小型原付に関する検挙件数は半年間で7130件にも及んだとされている。そして、同資料によれば、違反内容は信号無視や車道の逆走、歩道の暴走などが目立つ。

また、実際に死亡事故に至ったケースも含まれており、制度開始から半年でのこの数字は、決して軽視できるものではない。さらに、警視庁が2025年に公開した資料によると、2025年上半期で、特定小型原付の交通人身事故は119件発生しており、前年と比べ増加したという。

こういった状況を踏まえて、警察庁は利用者への交通ルールの周知強化に取り組む方針を明らかにしている。あわせて、飲酒運転の防止に向けた実効的な対策や、ヘルメットの着用を促すための取り組みも推進していくという。

今後の対応次第では、制度そのものに見直しが入る可能性もあるだけに、特定小型原付を取り巻く動向には引き続き注目が集まりそうだ。