まずは法規の話から
スピードメーターの誤差については、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第148条の第2項で、「速度計の速度表示は平坦な舗装路面での走行において、著しい誤差のないものであること」と定められている。
そして、”著しい誤差”とされる基準は、平成19年(2007年)以降に製造されたクルマと、平成18年(2006年)以前のクルマで異なる。
スピードメーターに表示される数値をV₁(km/h)、実際の速度(実速度)をV₂(km/h)とした場合の、
それぞれの誤差範囲を表す数式は以下である。
・2007年以降製造の車(軽自動車・二輪車等を除く)の場合、
10(V₁-6)/11≦V₂≦(100/94)V₁
・2006年12月31日以前製造の車(軽自動車・二輪車等を除く)の場合、
10(V₁-6)/11≦V₂≦(100/90)V₁
ここでは、2007年以降のクルマを例に考えてみる。
スピードメーターに100km/h(V₁)と表示されていたときは
10(100-6)/11≦V₂≦(100/94)×100
となるので、
85.45km/h≦V₂≦106.38km/h
となるわけだ。つまり、スピードメーターで100km/hのとき、実速度は85.45km/h以上106.38km/h以下であればいいということだ。
クルマのスピードメーターは、実速度より高めに表示されることが多い。これは安全運転上のことだろう。スピードメーターで100km/hのときに実測度が110km/hだったら、コーナーに高いスピードで入ってしまったり、速度違反で取り締まられてしまったりする。これは困る。
GoogleMapsで測ってみよう
ということで、実速度(に近い速度)とスピードメーターの表示の誤差を図ってみた。実速度(に近い速度)はスマートフォンで簡単に測れる。
アプリ検索で「スピードメーター」と入れれば、多くのアプリがあるのがわかる。
ここでは、身近な地図アプリであるGoogleMapsで測ってみよう。
GoogleMapsの設定→ナビ→スピードメーターの表示をONにする。

この場合の速度はGPS信号によって測られるから、GPSが届かないトンネルのなかでは計測できない。
ということで、まずはBMW320d(F30型)で測ってみた。
平坦な高速道路で、ACCを100km/hに設定。安定したところで、スマホのGoogleMapsの画面のスクリーンショットを撮る。
BMW320d

BMW320d(F30型)
メーター上の速度:100km/h
GoogleMapsの速度:97km/h
誤差は3km/hだった。ちなみにメーター上の速度が80km/hのときのGoogleMapsの速度は77km/h、110km/hでは107km/hだった。
では日産フェアレディZ(6MT)ではどうだろう?
日産フェアレディZ(6MT)

メーター上の速度:90km/h
GoogleMapsの速度:84km/h
メーター上の速度:100km/h
GoogleMapsの速度:94km/h
日産エクストレイル


今度は、日産エクストレイル
メーター上の速度:80km/h
GoogleMapsの速度:74km/h
メーター上の速度:90km/h
GoogleMapsの速度:84km/h
メーター上の速度:100km/h
GoogleMapsの速度:93km/h
メーター上の速度:110km/h
GoogleMapsの速度:103km/h
この結果でドイツ車が誤差が小さくて国産車が大きいというわけではない。スピードメーターは、タイヤの摩耗や空気圧の変化の影響を受ける。もちろん標準と違うサイズのタイヤを装着したら、誤差は大きくなる。
少し長めのドライブの機会に、空気圧を適正にしたうえで、マイカーのスピードメーターの誤差を知っておくといいだろう。