自転車にも「青切符」が導入される!罰則体系が大きく変わる
2026年4月1日から、自転車による交通違反にも「交通反則通告制度(青切符)」が適用されることが決定した。これにより、軽微な違反でも反則金を課すことで刑事罰を避けられる仕組みが拡大する。対象者は16歳以上だ。
具体的な違反と反則金の相場は以下の通り。
| 違反行為 | 反則金(目安) |
|---|---|
| スマホ操作(ながら運転) | 12,000円 |
| 信号無視 | 6,000円 |
| 歩道走行・逆走 | 6,000円 |
| 一時不停止 | 5,000円 |
| 傘さし・イヤホン使用 | 5,000円 |
| 2人乗り・並走 | 3,000円 |
違反者が反則金を納付しない場合には、刑事手続きへの移行となるため、社会的な責任も伴う重大な制度変更だ。
警察庁によると、自転車関連事故は近年増加傾向にあり、2022年には死亡または重傷を伴う事故が7,100件以上発生。そのうち約75%は自転車側の信号無視や一時停止違反といった違反行為が原因とされている。これまで警告や指導にとどめられてきた行為に、実効性ある対応をもたらす狙いがある。
生活道路の法定速度、30km/hへ引き下げ

2026年4月から、全国の「生活道路」における法定最高速度が現在の60km/hから30km/hへと引き下げられる。生活道路とは、住宅地や学校周辺など人の往来が多い道路を指す。この改正は、自動車と歩行者・自転車との事故を減らすことを目的としている。
警察庁の統計によると、生活道路で発生する交通事故の約40%は「自動車と歩行者・自転車の衝突」であり、特に小学生や高齢者の被害が多い傾向にある。速度を30km/h以下に抑えることで、以下の効果が期待されている。
- 歩行者・自転車との接触時の致死率低下
- 自動車ドライバーの視認性向上
- 生活道路を抜け道として利用する車両の抑制
この改正は、国際的な道路安全基準にも沿っており、OECD(経済協力開発機構)やWHO(世界保健機関)も、生活道路では時速30km/hを推奨している。
適用される道路の具体例は、「学校・保育園・公園周辺の生活道路」「幅員が狭く歩行者や自転車との混在が多い住宅街」「生活道路に該当する一部の市街地」だ。なお、すべての道路が一律で30km/hになるわけではなく、幹線道路など交通量の多い道路は従来の制限速度が維持される場合もある。自治体による指定と標識設置をもって適用となる。
自転車と車の「追い越し時安全ルール」強化

警察庁の統計によれば、近年発生している自転車関連事故の約3割は「追い越し時の接触事故」が原因だ。特に生活道路や幹線道路での自転車走行中、車両が十分な距離を取らずに追い抜くことで、接触事故や転倒事故が多発している。
さらに、近年の自転車利用者増加や宅配サービス需要の拡大により、車と自転車が同じ車道を走る機会が急増している。こうした背景から、国は国際基準に沿って安全距離を明文化することを決定した。
2026年4月の法改正では、自動車が自転車を追い越す際の安全距離についても新たな基準が導入される。これまで曖昧だった「十分な間隔を保つ」という表現が、より具体的な数値を伴って明確化される。
改正後は、自動車が自転車を追い越す際に1.5m以上の間隔を空けなければいけない。距離確保が難しい場合は時速30km以下に減速することが義務付けられる。適用範囲は生活道路、幹線道路を問わず全国一律で適用される。これに違反した場合、罰則の対象となる可能性がある。
この改正は、自転車利用者の安全を確保するだけでなく、ドライバー側に「無理な追い越しをしない」という意識を徹底させる狙いがある。
自転車青切符に対する反対意見や課題点

今回の改正では、歩道走行が原則として違反対象となり、違反時には反則金6,000円が課される。しかし、この制度設計は広く批判を招いている。
パブリックコメントには、「車道のインフラ整備が進まない現状では歩道を走らざるを得ない」「子どもや高齢者を乗せた自転車で車道を走るのは危険すぎる」といった声が多い結果となった。こうした意見は、現状の道路環境と制度設計の間に大きな乖離があることを示している。
特に問題視されているのが、緊急避難的な歩道走行まで一律に罰則の対象となる点だ。たとえば、渋滞や工事で車道が極端に狭い場合や、子どもを乗せた自転車で安全を優先した結果として歩道を走行するケースも少なくない。こうした状況において、例外を設けない制度設計は現実的ではないという指摘が多い。
さらに、自転車専用レーンの整備が進まない日本の道路環境も課題だ。安全に車道を走行できる環境が整っていない以上、歩道走行の制限強化は利用者の安全を損なう可能性がある。「まずインフラを整えてから制度を課すべきだ」という声は強く、制度導入と環境整備のバランスを求める意見が根強い。
これらの課題を踏まえると、青切符制度の導入は「制度の整備ありき」ではなく、「道路インフラ整備と社会理解の両輪」で進めることが不可欠である。
安全性と利便性の両立を目指すためには、法改正だけでなく、車道環境の改善や自転車利用者への周知啓発も同時に進める必要がある。