青空から一転、街をのみ込む豪雨

豪雨の写真
ゲリラ豪雨が降ると冠水してしまう恐れもある。

夏から秋にかけては、日差しが強い空の下でも急に天候が崩れる、いわゆる「ゲリラ豪雨」が発生しやすい。ゲリラ豪雨は都市部に大きな影響を及ぼし、道路冠水や交通の混乱を招くだけでなく、落雷や突風を伴って被害を拡大させる。

また、ゲリラ豪雨は発達した積乱雲が急速に成長することで発生するため、予兆をつかみにくい点が特徴といえるだろう。特に、都市の低地や地下出入口は浸水しやすく、わずか30分ほどの降雨でも水が押し寄せる危険があるという。

では、ゲリラ豪雨から身を守るためには、どのような対策が有効なのだろうか。

冠水した道路
ここまで水が溜まってしまうと、車で進入するのはNG。

では、ゲリラ豪雨から身を守るためには、どのような対策が有効なのだろうか。結論から言えば、外出前に最新の気象情報を確認しておくことがポイントといえるだろう。

たとえば、気象庁の「ナウキャスト」では、気象レーダーの観測データを利用して、250m解像度で降水の短時間予報を提供し、危険度分布「キキクル」を参照すれば、直近の雨雲の動きを把握できる。また、袖ケ浦市が公開する防災情報でも、過去に冠水した場所やアンダーパスを避けることが強調されている。気象レーダーの観測データを利用して、250m解像度で降水の短時間予報を提供

国土交通省の実験では、水深60cmに達するとエンジン停止に陥るリスクが高いと報告されている。この実験結果からも、経路の選択は命を守る第一歩であることがわかる。そのため、アンダーパスや高架下が冠水していた場合は、たとえ浅く見えても進入してはならない。

視界が悪い時は、日中でもライトをつけて運転することが必要だ。

さらに、運転中に豪雨に直面した場合は、視界が悪化して交通事故のリスクが高まるため、ライトを点灯し、速度を落として車間距離を広く取ることが重要だ。

また、ゲリラ豪雨時は雷の危険性も見過ごせない。日本気象協会のWebサイトでも、ゲリラ豪雨発生時は頑丈な建物への退避が推奨されている。

さらに、地下施設は浸水の察知が遅れやすいため、雨脚が強まった段階で早めに地上へ移動することが安全につながるという。これは駅や商業施設の地下にいても例外ではなく、気象情報を確認しつつ迅速に判断する姿勢が求められるだろう。

溢れている雨樋
ここに落ち葉などのゴミが溜まっているとすぐ溢れてしまったり、水の流れが滞ってしまう。

また、日頃からの備えも大切だ。たとえば、千代田区の防災ポータルでは、側溝や雨どいの清掃、飛ばされやすい物の固定を基本的な対策として挙げている。

また、ハザードマップを確認し、危険箇所を事前に把握しておけば、避難経路を冷静に選ぶことが可能だ。

防災バッグの写真。
これを買っておけばいざという緊急事態にもある程度対応できるかもしれない。

くわえて、防災グッズの準備は欠かせないだろう。飲料水や食料、懐中電灯、携帯トイレ、モバイルバッテリーを最低3日分、できれば1週間分備蓄しておくことで、停電や断水が発生しても一定の生活を維持できるとされている。

都市と郊外では状況が異なるが、どちらにおいても早めの情報把握と避難行動が不可欠である。とくに、都市部では地下施設の多さや交通の集中により、短時間で被害が拡大しやすいことはいうまでもない。

また、郊外では河川や農地の氾濫、土砂災害の危険が高まる。いずれの場合も、事前の意識と行動こそが命を守る手段と言えるだろう。

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ゲリラ豪雨は予兆をつかみにくい気象現象だ。しかし、気象機関や自治体の情報を活用したり、外出時の注意や運転時の慎重な対応、屋外での退避、そして日頃の備えを徹底したりすれば、被害は最小限に抑えやすくなる。

ゲリラ豪雨の対策は、都市に暮らす誰にとっても避けられない課題だ。そのため、日常から実効性ある対策を積み重ねることが、唯一の防御策となる。