3年ぶりのAXCR総合優勝

2025年8月6日(金)〜16日(日)にタイで開催されたAXCR2025は記念すべき30回目の開催となった。当初は30回大会としてラオスやカンボジアも含む3000kmのコースも構想されたが、タイ-カンボジアの国境封鎖などもあり、タイ国内2316kmのコースとなった。

AXCR2025のチーム三菱ラリーアート・トライトン。112号車はウィナーのチャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組。

三菱自動車は以前からAXCRに参戦しており、2022年のラリーアート復活最初のモータースポーツ参戦イベントになり、見事優勝を飾っている。
2023年からはフルモデルチェンジされたトライトンを投入して連覇を目指すが、開発不足と信頼性という新型車は避けて通れない問題から惜敗。2025年はさらに開発を進め、信頼性も向上させて王座奪還を目指した。

3年ぶりの総合優勝を実現したチーム三菱ラリーアートとエースのチャヤポン・ヨーター選手とピーラポン・ソムバットウォン選手。

そして、2025年は新型トライトン投入後、悲願の総合優勝を手にした。もちろん、今大会も厳しい戦いであったことは2位とのタイム差がわずか8分弱ということが物語っている。
チーム三菱ラリアートは2年ぶり2度目のチーム賞も獲得し、総合優勝に華を添えた。

AXCR2025のトロフィー。チーム賞(左)、総合優勝(中央)、T1Dクラス優勝(右)。チーム賞のトロフィーが一番立派に見えるのが、総合力を問われるラリー競技らしい。

増岡 浩総監督による戦勝報告会

三菱自動車本社ショールームにて、凱旋した増岡 浩総監督による戦勝報告が行なわれた。また、優勝車クルーであるチャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン両選手も来日し、AXCR2025の様子と今回の優勝に対する想いを語った。

戦勝報告会の増岡 浩総監督(左)、チャヤポン・ヨーター選手(中央)、ピーラポン・ソムバットウォン選手(右)。

今大会はこれまで同様にトヨタ(ハイラックス)やいすゞ(D-MAX)といった強力なライバルに加え、3位にはフォード(ラプター)が入るなど、より熾烈な戦いとなった。タイ国内のみではあるもののやはりハードなコースで、中にはクルマが「く」の字に曲がってしまうエントラントもいたそうだ。

そのような中で、チーム三菱ラリーアートはチームもクルマも成長を遂げ、昨年の優勝目前からの脱落の雪辱を果たす事になった。とはいえ、衝突やスタックなどのトラブルは同チームにも襲いかかるが、タイムロスを最小に留めることで優勝を手にすることができた。本来なら20分かかる部品交換を9分台で終わらせることでペナルティなしで戦線復帰するなどチーム力が向上、選手が毎日安心して戦える環境を整えることができたのが勝因だという。そして、来年もディフェンディングチャンピオンとして連覇を目指すことを誓った。

ラリーアート復活からチーム三菱ラリーアートを率いて4年目の増岡 浩総監督。「今回の優勝で勝率がようやく5割になってホっとした」と語る。

チャヤポン・ヨーター選手は2022年のウィナーであり、2024年も優勝一歩手前まで行ったエースドライバー。子供の頃から三菱自動車のパリダカールラリーやWRCを見て、三菱のラリードライバーを目指したという経歴。昨年惜敗しただけに、今回の三菱のドライバーとして優勝は本当に嬉しいと語った。

チャヤポン・ヨーター選手は恰幅の良い体格だが、今大会に備え20kgのダイエットに成功。体が軽くなり集中力も高まったという。ダイエットメニューは走り込みとバドミントンで、秘訣はコーラなどの炭酸飲料を控えたことだそうだ。

ハードなコース設定となった30回大会だけに、要所要所を慎重に走り、ここぞというポイントでペースを上げた走りが奏功。パフォーマンスアップしたトライトンがその走りに応えてくれたのも大きい。トラブルでも小出(一登)選手のサポートカーが後からすぐに来るのも頼もしかった。
また、来年も優勝を目指すと頼もしいコメントを残した。

コドライバーのピーラポン・ソムバットウォン選手。その日の走行終了後の夕方に次の日のコースブックが配られ、そこからチームミーティングなどで確認。さらに、解散後はひとりでコースのチェックを重ねた。

毎年コース設定が難しいというAXCRだが、コドライバーのピーラポン・ソムバットウォン選手の役割は重要だ。チームとのコミュニケーション、ドライバーとのコンビネーションはもちろん、コースの確認など仕事は多い。ミーティングの後はひとりでコース図を確認するなど、細かい作業を地道に積み重ねることでチャヤポン・ヨーター選手のドライブをアシスト。総合優勝に大きく貢献した。

増岡 浩総監督は「チャヤポン選手は追いかける時も終われる時も常に冷静で、そのメンタルの強さはAXCR参加選手の中でもトップクラス」と評価する。

トライトンAXCR仕様のレプリカは9月11日まで展示

三菱自動車本社ショールームではトライトンAXCR仕様のレプリカ車を9月11日(木)まで展示。これまで、いろいろなイベントで展示されてきている車両ではあるが、まだ見ていない人はこの機会に三菱自動車本社ショールームを訪れてみては如何だろうか?

三菱自動車本社ショールームに展示されるトライトンAXCR仕様のレプリカ。9月11日まで展示される。他にも選手のサイン入りパネルの展示やAXCR2025の映像を見ることができる。
三菱自動車本社ショールーム
所在地:東京都港区芝浦3丁目1番1号 msb Tamachi 田町ステーションタワーN 1F/2F
電話番号:03-6722-6730