DELE[デーリー]とは?

『東京ゲームショウ2025』の会場となっている幕張メッセ、その9ホールに配置されたゲーミングハードウェアコーナーにブースを出展しているのがDELE(デーリー)だ。

『東京ゲームショウ2025』のDELEブース。

DELEは日本最大級のレーシングシミュレーター機器専門ストアで、今回の『東京ゲームショウ2025』のブースでは、同社が扱うレーシング周辺機器やレーシングコックピット、VRデバイスを展示。実際にステアリングを握ることができるシミュレーターを10台用意して、最先端のレーシングシミュレーション環境を体感できるようになっている。

DELEブースのシミュレーター。いくつかの仕様で10台が用意された。中には今回初披露された、これから発売されるニューモデルも。

DELEではレーシングシミュレーターのトータルコーディネートを行なっており、PC(DELEの高性能BTOモデル)とモニターも含めて標準仕様で70万2100円〜121万3000円。モーションシステム搭載モデルで243万5640円となっている。もちろん、ハイエンドともなれば天井知らずにはなるのだが……

Simucube製GT/Fomulaシミュレーターのモーションシステム搭載モデル。モーションシステムはクルマの動きに合わせてシート下の台座が3次元的に動くというもの。

実際にシミュレータをドライブしてみたが、確かに安い買い物ではないが、2000万円のポルシェをニュルブルクリンクに持ち込んでスクラップにすることを考えればまだ安いかもしれない。スクラップは言い過ぎにしても、燃料やタイヤなどの消耗品にかかる費用はもちろん、セッティング変更のためのパーツや交換にかかる時間などが一切必要ないわけで、コストパフォーマンスはむしろ良いのかもしれない。

TrackRacerのTRX世界限定モデルはVR仕様。

一方で、エントリーモデルの投入も予定されており、こちらは40万円〜50万円の価格設定となるそうだ。
DELEはユーザーのニーズに合わせたコンポーネンツの組み合わせで、販売はもちろん設置サービスやアフターサポートも充実。24回払いまでは金利手数料無料だそうだ。

こちらも今回初公開となるエントリーモデル。

レーシングシミュレーターは個人ユーザーはもちろん、ゲーミングカフェやカーショップ、企業の福利厚生として法人需要も少なくない。そして何よりプロレーシングドライバーの練習用として使用されているのだ。

シミュレーターからプロへ……

DELEブースのステージイベントとして現役ドライバーのトークセッションも行なわれた。登壇したのはフォーミュラドリフトUSAで最年少優勝(15歳)を成し遂げた箕輪大也選手と、フォーミュラドリフトジャパン2に参戦するHINATO選手。箕輪選手が16歳、HINATO選手は14歳という、まさに”ヤング”ドライバーだ。

箕輪大也選手(左)とHINATO選手(右)。

どちらも未成年でもちろん自動車免許取得前。HINATO選手は10歳からレーシングシミュレーターで腕を磨き、箕輪選手は13歳の時に、HINATO選手は12歳の時に実車デビューを果たしている。もちろん違いはあれど実車に初めて乗った際には「意外とシミュレーターと同じだな」と思ったそうだ。

トークセッションの後にはSIMAGICのドリフト対応シミュレーターでタンデムバトルを披露。

すでに経験豊富な箕輪選手だが、経験のサーキットでレースをする前にはそれこそ5000周〜1万周反復練習するという。現地に赴かず、マシンも消耗させずに、実写では不可能なレベルの練習走行ができるのはまさにシミュレーターの恩恵と言えるだろう。

シフトレバー、サイドブレーキ、クラッチありの3ペダルを備えたSIMAGICのシミュレーターをドライブする箕輪選手。SIMAGICはフォーミュラドリフトのサポート企業で、ドリフトのシミュレーターではトップだ。

シミュレーターで魅せる元F1ドライバーのドライビング

そしてもう一組、ステージに登壇したのが元F1ドライバーのミカ・サロとその子息マックス・サロだった。ミカ・サロはフェラーリでの活躍が印象的だが、ティレルでは片山右京とコンビを組み、トヨタもドライブ。全日本F3000やスーパーGTにも参戦経験ありと日本人には馴染み深いドライバーだ。

ミカ・サロ(右)とその息子マックス・サロ(左)。

さらに息子のマックス・サロは日本人の母から生まれたハーフ(つまりミカ・サロの奥さんが日本人)。元カーメカニックで国内外のF4やスーパー耐久に参戦。2020年にはミカ・サロと親子で富士24時間に参戦している。

富士24時間への親子参戦については、当初ミカ・サロは「もうレースはやらない」つもりだったらしいが、それを翻して参戦。親子参戦が実現したマックス・サロはとても嬉しかったそうだ。

もちろん、ミカ・サロの現役時代にはレーシングシミュレーターは存在せず、そのことについてミカ・サロは「今のドライバーは本当に恵まれている」と語った。今は本人も遊びとしてレーシングシミュレーターをドライブしているが、コンピュータでのセッティングは苦手でマックス・サロにやってもらったりしているとか。一方でドライビングに関してはやはりミカ・サロが息子をコーチングしているそうだ。

マックス・サロ(手前)とミカ・サロ(奥)のシミュレーターバトル。GT/フォーミュラ系ではトップのSimucube製モーションシステム搭載シミュレータを使用。ゲームは『アセットコルサ』だ。

そして、ミカ・サロとマックス・サロもエキシビジョンとしてレーシングシミュレーターで親子バトルを披露。ミカ・サロはさすが元F1ドライバー、素晴らしい集中力とドライビングを披露。しかし、マックス・サロもそれに負けず劣らず抜きつ抜かれつのバトルを見せてくれた。

ミカ・サロは事前に遊んだ際には同条件のコースレコードを記録。このエキシビジョンバトルでもほぼ同タイムまで刻み、シミュレーターでも元F1ドライバーの実力を見せつけた。感想は「とても楽しい!」のひと言。
マックス・サロもミカ・サロを丁々発止のバトルを展開。モーションシステムにより、シートが前後に動くので加減速時のGのかかり方が見ているとよくわかる。
相手のミスを見逃さないミカ・サロの集中力や、マックス・サロのミスからのリカバリーなど、箕輪選手とHINATO選手もサロ親子のドライビングに感心しきりの様子。

ミカ・サロはトークセッションで、もしレーサーを志すならレーシングシミュレーターは是非とも導入すべき、とその有用性を強くアピール。

実際、グラフィックだけでなくハンドルやペダルなどのインターフェース、さらにはGまで再現するモーションシステムなど、ここまでリアルになってくると、レーシングシミュレーターはコースを覚えるだけでなく、コースを攻めるための様々な試行錯誤、セッティングの方向性検討など、まさにプロレーサーのためのツールとして非常に有用であると言えるだろう。

逆に、そのツールを使いこなすことができれば、シミュレーターからプロへの道が開ける可能性もあるわけで、箕輪選手やHINATO選手がその好例となっている。

一般参加のタイムアタックチャレンジ

DELEブースにはK4-GPに参戦したS660ベースのNSX風カスタムカー「NS660」も展示されている。

会期中の27日(土)・28日(日)にはDELEブースでタイムアタックチャレンジを実施。受付は各日10時から先着順で整理券が配布される。各日の1位と2位には商品も用意されている。すでにコースや車両などは公式Xで発表されているので、腕に覚えのあるユーザーは参加してみてはいかがだろうか?