一方通行に入ったあとはバック走行もNG

一方通行の標識の写真
この標識がある場所は逆走したりはできない。

街中では、「一方通行」の標識を見かけることも少なくないだろう。そもそも、一方通行とは道路交通法第8条第1項に基づく交通規制である。

区間の入口には「一方通行」の標識が設置され、補助標識「始まり」と組み合わせて進行方向が示される。また、出口には「終わり」が付された標識が設置され、区間が明確に定められている。

この規制は一方向への流れを維持することが目的であり、途中で進行方向を反転する、すなわちバックで戻る行為は原則として認められていない。

そして、住宅街や観光地などでは、一方通行を進んだ先が予想以上に狭く、クルマが通れない状況に直面することも少なくないだろう。この場合、前方に通行不可能な障害がある場合は独力で解決しようとするべきではない。

時には警察官の誘導も必要になる。

では、こういった状況ではどのように対処すればよいのだろうか。結論から言えば、後続車がいる場合には協力を依頼し、必要に応じて下がってもらうことで状況を打開できる。

さらに、それでも進退が不可能で周囲の交通に影響を及ぼす場合には、警察に連絡し交通誘導を受けるのが適切な対応だ。なぜなら、一方通行の規制は公共の安全確保を目的としているため、困難な状況は速やかに公的機関に判断を委ねることが求められるからである。

では、進退が困難になる状況を避けるためにはどういった視点が必要になるのか。

都市部や観光地では、ナビゲーションが生活道路を案内することがあり、狭い道路に誘導されることも少なくない。そのため、標識や道路幅を確認して不安を感じた場合には、進入を避け手前で経路を変更するのが賢明である。

幅員減少の写真
このような標識は先で道幅が細くなることを表している。

くわえて、交通規制基準では道路幅員ごとに一方通行の基準が定められている。幅5.5m以上では「う回路」の確保が前提とされており、幅4m未満では大型車両の通行禁止が原則とされている。つまり、この基準は道路構造そのものが幅の狭さを示しているのである。

だからこそ、標識を正しく読み取り進入を避ける判断が、事故を未然に防ぎ安全を守る最も確実な方法となるのだ。

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一方通行を進んだ先が極端に狭い道であった場合に無理をすれば重大なトラブルを招く。したがって、入口で通行を選ばない判断こそが、安全で円滑な交通環境を守る最善の策である。