時代を走り抜けた本格SUV、日産・サファリの系譜をたどる
1980年6月に登場した初代(160型系)は、オフロード走破性と実用性を兼ね備えた本格SUVとして、日本国内では希少な選択肢だった。当時、日本ではRVブームが到来し、「四駆=アウトドア」「キャンプ」「レジャー」の象徴としてSUV人気が高まっていた背景がある。
この初代モデルでは、直列6気筒ディーゼル「SD33型」などの搭載エンジンや、リーフ式リジッドサスペンションなど、オフロード性能を重視した仕様が特徴だった。そのため、「ワイルドな使い方」「趣味領域としてのSUV利用」が当時の流行であり、サファリはそうした市場ニーズに応えたモデルであった。
1987年10月に日本国内で発表された2代目(Y60型系)は、オフロード性能を継承しながらも「快適性」「乗用車的質感」の向上が図られたモデルである。
この時期、日本の自家用車市場では「ミニバン」「高級SUV」「レジャー使用」といったトレンドが広がっており、サファリもそれに応じて車内装備や静粛性の改善が進んだ。
例えば、シート素材の質感向上、室内空間の拡大、後席快適性の改善などが挙げられる。こうした仕様変化により、仕事用・趣味用両用として使われる場面も増え、SUVの使われ方が本格オフロード一辺倒から日常+アウトドアへと移行しつつあったことが背景にある。
1997年10月に登場した3代目(Y61型系)は、全長約5 m超という大型SUV化を果たし、性能・装備ともに一段とグレードアップされたモデルである。
しかしながら、2000年代に入ると「環境規制」「燃費規制」「SUVの多様化」が進み、国内市場におけるサファリの存在感は徐々に薄れていった。実際、国内販売は2007年6月で終了した。
海外では引き続き「Nissan Patrol」という名称で販売され、サファリ/パトロール系譜は継続された。
このフェーズの流行背景としては、「ラグジュアリーSUV」「大排気量SUV」「レジャー用途の拡大」が挙げられ、サファリもその中で本格クロスカントリー+ビッグサイズというポジションを担っていた。
すべてのシーンを支配する万能SUVへと進化を遂げた新型パトロール

新型パトロールは、日産史上最強の3.5L V6ツインターボエンジンを搭載しており、最高出力425hp(約431ps)・最大トルク700Nmを発揮する。高性能四輪駆動システム「電子制御4WD(Intelligent 4×4)」により、砂地や岩場、ぬかるみといった過酷な路面にも対応。
新開発のラダーフレーム構造によってボディ剛性が高まり、オンロードでも静かで安定した乗り心地を実現している。さらに電動パワーステアリングやビークルダイナミクスコントロールなど、安全性と操作性を高める先進装備を採用している。
また、Googleビルトインを採用し、スマートフォンを接続しなくてもGoogleマップやGoogleアシスタント、アプリストアを利用可能。
14.3インチのディスプレイを2枚並べた大型28.6インチワイドモニターを装備し、操作性と視認性を両立。さらに、後席には12.8インチのデュアルスクリーンを備えたエンターテインメントシステムも用意され、快適な長距離移動をサポートする。
サファリの精神を継ぐ、新たな「伝説の再始動」
日産・サファリが象徴してきたのは、どんな道も走り抜ける本格SUVとしての誇りである。
1980年代にアウトドア文化とともに登場し、90年代には快適性と高級感を手に入れ、2000年代には世界の大排気量SUVと肩を並べた。サファリは、時代の変化とともに「強さ」と「上質さ」の両立を追求してきた車だった。
そして2027年、新型「パトロール」としてそ日本へ帰ってくる。
最新のV6ツインターボエンジン、Googleビルトインの先進コックピット、そして堅牢なラダーフレーム構造。そのすべてが「サファリの伝統」を現代の技術で再定義している。
このモデルが示すのは、もはや荒野を走破するSUVだけではない。都市を走り、家族を乗せ、快適に旅する。そんな日常に馴染む本格SUVとしての新しい価値だ。
これは単なる復活ではなく、次の時代へと受け継がれる「日産SUVの原点」といえるはずだ。