デリカは誕生から57年、現行モデルデビューから19年

デリカは1968年にデビューした現行モデルとしては三菱最古の車名だ。現行モデルは2007年に「D:5」のサブネームを加えて登場し、2019年にはビッグマイナーチェンジするなど改良を続け販売され続けている。それでいて、堅調な販売台数を維持。2020年以降は右肩上がりで販売台数を伸ばしており、2024年は2万2千台を販売。軽自動車を除けば三菱では今一番売れているモデルだ。

三菱の現行モデルで人気を二分するデリカミニとデリカD:5。10月29日に発売されたデリカミニは引き続き販売好調。デリカD:5と合わせて「デリカ」ブランドで三菱を盛り立てて行く役割を担う。

加藤社長は販売好調のデリカミニと合わせ、新型デリカD:5を三菱のブランドイメージモデルと位置付け、三菱の販売台数向上の起爆剤として期待しているという。

新型デリカD:5と加藤隆雄代表取締役社長兼最高経営責任者。

『ジャパンモビリティショー2025』でアンベール

三菱は2025年10月29日(水)〜11月9日(日)に開催された『ジャパンモビリティショー2025』でこの新型でりかD:5をアンベールし、先行受注の受付を開始。今回、改めて発売日も含めた発表という形で、価格やスペックがオープンになったわけだ。

『ジャパンモビリティしょー2025』三菱ブースでのデリカD:5とデリカミニのアンベール。新型デリカD:5はこれが初お披露目となったが、この時点ではまだプロトタイプだった。
新型デリカD:5初公開!エレヴァンスは未来のアウトランダー?三菱自動車の見どころ【ジャパンモビリティショー2025】 | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

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『ジャパンモビリティショー2025』三菱ブースの様子。

先行受注開始から約2ヶ月ですでに5000台の受注を集めており、その80%が最上級グレードである「P」だという。受注初期では最上級グレードに集中するのは常だが、デリカD:5では従来モデルでも最上級グレードをベースにした特別仕様車「シャモニー」が52%、最上級グレード「P」が26%、同じく特別仕様車「ブラックエディション」が9%と、実に最上級グレード系が90%を占めていることから、新型デリカD:5でも最上級グレードに人気が集まるのは必然と言えるかもしれない。

ショールームに展示された新型デリカD:5。最上級グレードの「P」。

生産は三菱自動車岡崎製作所で行なわれ、生産台数は月販目標の2000台がベース。生産がどれくらい進んでいるかは公言されなかったが、現状では納期に不安はなさそうだ。今回の発表で価格が公表され、ディーラーでの展示車両も増えることから、これから受注が伸びる可能性もある。また、これから年度末に向けて決算商戦もあるかもしれない。納車待ちをなるべく短くしたいなら早めの予約が吉だろう。

よりSUVらしいラギッド感を高めたエクステリア

デリカD:5はミニバンでは唯一のSUV感あるルックスと走破性を備えた唯一無二のモデル。2019年のビッグマイナーチェンジでは力強いデザインとメッキ加飾によるプレミアム感を演出していたが、新型デリカD:5ではよりらギッドでSUV感を強く演出するデザインに変更。また、加飾パーツもブラックアウト化されるなど、精悍なルックスとなった。

元々フロントグリルは押しの強いダイナミックシールドデザインだったが、従来のメッキ加飾からグレー系に変更。フロントバンパーもブラックアウトされたブロックパターンデザインになり、タフ感、ラギッド感を高めたルックスになった。

変更箇所はフロントグリル、フロントバンパー、リヤバンパーに加え、従来モデルでカスタムパーツの人気が高かったホイールアーチモールが装着された。

フロント同様にリヤバンパーもブラックアウトされ、フロントと共通感のあるデザインに。また、「DELIACA」のロゴがガーニッシュ内に移ったのも変更点だ。
ブラックのホイールアーチモールは淡色系だとコントラストが強く、サイドビューが特に際立つ。

現代的にリデザインされたメーター

インテリアではメーターデザインを刷新。従来モデルのオーソドックスなアナログ2眼タイプから、8インチカラー液晶のデジタルメーターに変更された。
合わせてインストゥルメントパネルやシート生地も変更され、先進性とギア感、プレミアム感を演出している。

新型デリカD:5のインテリア。
新型デリカD:5のメーター。

“三菱の走り”を誰にでも……進化したドライブモード

これまでデリカD:5は三菱4WDの伝統に則り、2WDから4WDへの切り替えやデフロックが可能なシステムを搭載していたが、新型デリカD:5ではS-AWC化され「ドライブモード」セレクターを採用。「ECO」「NORMAL」「GRAVEL」「SNOW」の4つのモードで、状況に合わせた最適な車両統合制御が行われる。

新型デリカD:5のドライブセレクター。ダイヤル式で、左から「エコ」「ノーマル」「グラベル」「スノー」の純。その下にヒルディセントコントロールのスイッチがある。

従来のデリカオーナーからは「なんでデフロックをやめるんだ!」という声もあるものの、S-AWCはどんなドライバーでも安心してあらゆる道を走れる制御がなされており、これまでデフロックが必要だった場面でもS-AWCがドライバー以上の働きをする、と三菱は自信を見せている。

メーターのS-AWC表示。

また、新型デリカD:5はヒルディセントコントロールも搭載され、急傾斜でも安心して下ることができる。従来モデルでも急傾斜を下るシーンで特に不安を感じることはなかったが、よりハンドル操作に集中でき、難所のクリアが容易になるのは間違いないだろう。

3グレード設定で、全グレードに7人乗り/8人乗りを用意

グレードとは上から「P」(494万4500円)、「Gパワーパッケージ」(474万6500円)、「G」(451万円)の3グレードを設定。いずれのグレードにも7人乗り(2列キャプテンしーと)と8人乗り(2列目ベンチシート)を用意し、シートによる価格差はない。

グレード乗車定員価格
P7人494万4500円
8人
Gパワーパッケージ7人474万6500円
8人
G7人451万円
8人
新型デリカD:5のグレードと価格

また、パワートレーンの構成は2.2L直列4気筒インタークーラーターボディーゼル+8速AT(スポーツモード付き)の4WDのみというのは全グレードで共通となっており、グレードの違いは単純に装備の差のみだ。

4N14型2.2L直列4気筒DOHC16バルブインタークーラーターボディーゼルは従来から変更なし。スペックは最高出力107kW(145ps)/3500rpm・最大トルク380Nm(38.7kgm)/2000rpmとなっている。