逃亡のスリルと等身大の人間ドラマ

©2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

トマス・ピンチョンの小説「ヴァインランド」を基に、『マグノリア』(1999)や『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)で知られるポール・トーマス・アンダーソンが監督・脚本を手掛け、レオナルド・ディカプリオやショーン・ペンら豪華俳優陣を迎えた映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』。昨年10月に日本公開されるや大きな話題を呼び、今年3月開催の第98回アカデミー賞で12部門13ノミネートを果たしています

本作はアカデミー賞ノミネーション発表の反響もあって、SNSで再上映を求める声が多く寄せられました。そんな期待に応え2月20日(金)より、好評を博していたIMAX、およびプレミアム・ラージフォーマットのDolby Cinemaにて、それぞれ全国59スクリーン/10スクリーンにて再上映がスタート。2025-2026年の最注目作品を大スクリーン・大音響で鑑賞するチャンスを、今度こそ逃す手はないでしょう。

そんな『ワン・バトル~』の主人公は、娘ウィラ(チェイス・インフィニティ)と共に身分を隠して静かに暮らしている、かつての過激派革命家“ボブ”ことパット・カルフーン(レオナルド・ディカプリオ)。しかし、彼の過去を知る汚職軍人ロックジョー(ショーン・ペン)の執拗な追跡により平穏な日々は破られ、逃亡の日々へと引き戻されます。手段を選ばないロックジョーの執拗な追跡のなか、謎の空手師範や武闘派修道女たちの助力を得ながら、二人はカリフォルニアを舞台に命懸けの逃走劇を繰り広げますが……。

1999 Ford Explorer XLT-6

本作には数々の車が登場し、多くのシーンで大きな役割を果たします。2000年代前後の地味な車は“クラッシュ用”といった役割で、序盤から1999年式フォード ・エクスプローラーが1989年式のフォード・トーラスと激しく衝突したりと、緊張感を醸成。なかでも印象的なのが、物語終盤の追跡劇です。警察車両として広く使用されているダッジ・チャージャー・パシュート(2015年式)を、謎の暗殺者が乗るフォード・シェルビーGT500(2013年式)が狙い、その後をボブが盗難車で必死に追うのですが、それが日産が北米市場で展開したセントラのSE-R(1993年式)のボロボロ改造車という、極端な対比にニヤリとさせられます。

その暗殺者はプライベートでは1968年式のシェルビーGT350に乗っているようで(色も同じブルー系)、財力と几帳面さが怪しいキャラクターにピッタリ。また、ベニチオ・デル・トロ演じる空手師範“センセイ”が乗るのは80年代 フォードの赤いサンダーバードSCで、これまた不思議なキャラクターにマッチしています。ボブとセンセイが車で逃亡するシーンは絶妙に緊張感を削いでくる微笑ましさで、本国ではネットミームになったりしていました。

『ワン・バトル・アフター・アナザー』