ホイール付きは重みによる変形を防ぐため横置きを基本とする

寒さがやわらぎ春が近づけば、スタッドレスタイヤからノーマルタイヤへと交換する作業をおこなうドライバーも少なくないだろう。外したスタッドレスタイヤの保管方法は、ホイールが組み込まれた状態であるか、タイヤ単体であるかによって決定的に異なる。
まずは、ホイール付きの状態で保管する場合について考えてみよう。
ホイールが組み込まれているタイヤはホイール自体の重量がくわわるため、一般的なサイズでも1本あたり数十キロの重量になることも珍しくない。
そのため、ホイール付きのタイヤを立てて保管すると、接地面であるトレッド部分に荷重がかかり続けてしまい、結果として接地面が平らに変形してしまうリスクが高まる。
したがって、ホイール付きのタイヤを保管する際の基本は、重さが均等に分散され、変形を最小限に抑えることが可能な横置きになるというわけだ。

とはいえ、横置きで保管する際はタイヤの空気圧にも注意を払う必要がある。通常の空気圧のまま保管すると、内圧によってゴムに継続的な緊張状態を強いることになる。
これがゴムの劣化を早める要因となるため、保管時には規定の空気圧の半分程度まで空気を抜いておくことが推奨されている。
さらに、複数のタイヤを積み重ねる場合は一番下のタイヤにもっとも重さがかかるため、数か月に1度の頻度で積み重ねる順番を入れ替えれば、より長持ちさせることが可能だ。
このように、ホイール付きの場合は、重さを分散させて形状を保つ配慮が不可欠といえるだろう。
袋詰めによる湿気対策も徹底する

一方で、ホイールを外したタイヤのみの状態で保管する場合は、縦置きが推奨されている。タイヤ単体は軽く、自重によるトレッド部分の変形リスクは比較的低いとされている。
そのため、横置きにして積み重ねてしまうと一番下になったタイヤの側面が押しつぶされかねないというわけだ。
とくにホイールと密着する縁の部分が変形すると、ふたたび組み込む際に空気が漏れる原因になりかねない。したがって、タイヤ単体での保管においては、立てて並べる縦置きが最適である。
また、立てて保管する際も定期的にタイヤを回転させ、接地面を変える工夫が効果的だ。

次に、タイヤを保管袋に入れる袋詰めという方法について考えてみよう。
ゴムは紫外線に弱く、直射日光を浴び続けると表面が硬化し、スタッドレスタイヤとして重要な柔軟性が失われてしまう。そのため、スタッドレスタイヤを袋に入れて紫外線を遮断することは確実な対策となる。
しかし、袋詰めには袋の内部に湿気がこもるという落とし穴が存在する。タイヤを洗って完全に乾燥させないまま入れたり、通気性の悪い状態で密閉したりすると結露が発生し、ゴムの劣化を進行させる原因になりえる。
したがって、袋に入れる際は汚れをしっかりと洗い落とし、日陰で完全に乾燥させることが袋詰めの前提となるというわけだ。
さらに、袋詰めの際のポイントとしては、袋の口を完全に密閉するのではなく、少しだけ隙間を開けて通気性を確保する工夫が求められる。紫外線対策と湿気対策のバランスを取ることが、袋詰めによる保管を成功させる鍵と言えるだろう。

なお、いずれの方法を選ぶにしても直射日光や雨風を避け、風通しのよい冷暗所で保管することが鉄則となる。さらに、エアコンの室外機やモーターなど、オゾンを発生させる機器の近くはゴムを急激に劣化させかねないため避けるべきだ。
正しい保管方法を実践することでスタッドレスタイヤの性能低下を防ぎ、来たるシーズンにも安全な走行に備えたい。