新基準原付の交通ルールは、従来の原付一種と共通している

新基準原付の交通ルールは従来の原付の交通ルールと共通している。(画像提供:モトチャンプ)

2025年4月1日、原動機付自転車の車両区分が見直された。これにより、最高出力を4.0キロワット以下に制限した125cc以下の二輪車は、「新基準原付」という新たな区分に含まれるようになった。そして、この見直しによって上記制限がかかった車両は原付免許で運転可能になった。

そもそも、この車両区分見直しの背景には、近年強化されている排ガス規制が大きく関係している。従来の原付一種のエンジンでは、構造的に排気ガスを浄化するのが難しいとされていた。

加えて、現行の環境基準に適合させるには、高い技術力とコストが求められるようになっていたという。そのため、多くのメーカーが50ccモデルの開発や生産を断念し、より環境性能にすぐれた125cc以下の低出力モデルへとシフトしたというわけだ。

2025年4月1日に、原付一種に「新基準原付」が追加されてからおよそ2ヶ月が経過した。(資料:警察庁)
新基準原付の性能を確認するために、現行モデルの原付二種からいくつかのモデルがピックアップされ、テストを受けた(資料:警察庁)

これが、新基準原付が導入されるようになった一連の流れである。そして、2025年6月現在、新基準原付の導入からおよそ2ヶ月が経過した。

SNS上では、「原付一種と何が違うのか分からない」「結局何キロで走れるの?」といった投稿が散見されており、そのルールや区分について、十分に理解されていない様子が目立つ。

実は、新基準原付の交通ルールについては、基本的に従来の原付一種と同様の規制が適用されている。そのため、高速道路や自動車専用道路の通行は禁止されており、法定速度は時速30km、二段階右折の義務、ヘルメットの着用義務なども、従来の原付一種と共通している。

つまり、新基準原付は「原付通行禁止」の標識がある道路も通行できない。また、ナンバープレートの色も白色と規定された。

ホンダ「Dio110」は、新基準原付の性能確認テストにピックアップされたモデルだ。
「PCX125」も性能確認テストに抜擢されたモデルだ。今後、これらのモデルが出力制限され、新基準原付として発表される可能性も考えられる。

このように、新基準原付の交通ルールは従来の原付の交通ルールと共通している。しかし、新基準原付の認識はドライバーや歩行者、交通管理者の間でもばらつきがあるのが実情である。法改正からまだ2ヶ月ほどしか経っていないことを考えれば、新基準原付に関するルールが浸透していないのは、ある意味当然ともいえる。

とはいえ、認識の不備が思わぬ事故やトラブルにつながる可能性がある以上、早期の理解と順守が求められるだろう。

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ホンダは、新基準原付に対応したモデル「スーパーカブ110 ライト コンセプト」を2025年3月に発表した。

また、あくまで新基準原付は、最高出力が4.0キロワット以下に制御された二輪車に限られる。つまり、原付免許で運転できるのはこの条件の車両のみで、既存のピンク・黄色のナンバープレートを装着した125cc以下のバイクは、原付免許で運転することはできない。

区分がややこしく感じるバイクユーザーも少なくないかもしれないが、これを念頭に置いておきたい点と言えるだろう。安全運転の第一歩は、正確な知識と理解から始まるのだ。