免許証の写真を持ち込む際におさえておきたい決まり事

免許証の写真において定められている規定は、主に以下の通りだ。

  • 道路交通法施行規則の基準を満たしているもの
  • 縦3センチメートル×横2.4センチメートル(国外運転免許証申請時に添付する写真サイズは、縦4.5センチメートル×横3.5センチメートル。)
  • 無帽(宗教上又は医療上の理由がある場合を除く。)
  • 正面を向いていること
  • 上三分身(おおむね胸から上)であること
  • 無背景であること
  • 申請前6か月以内に撮影したもの
  • 個人識別が容易にできるもの
  • 免許証が適正に作成できるもの

これらの基本条件を満たした上で、さらに詳細な規定がある。

例えば、瞳の色や大きさを変えるカラーコンタクトは、個人識別を妨げる場合は認められない。同様に、サングラスや色の濃い眼鏡、反射して光っている眼鏡も、目が見えにくくなる場合は不可とされている。

さらに、表情についても制限があり、目を細めたり閉じたりしている顔、大きく口を開けた笑顔など、通常の表情から著しく異なるものは受理されない。また、画質面でもブレている、不鮮明、フラッシュや光の当たり方が不適切といった写真は使用できないので注意したい。

意外にも自由度の高い免許証の写真。2018年にはプロモーションにも使われた背景色

日産自動車「マーチ(ナデシコピンク)」

意外に思われるかもしれないが、免許証の写真はカラーでも白黒でも使用可能だ。背景色についても「無背景」という条件はあるが、これは単色であれば色の指定はないという意味だ。

実際に近年では、従来の青色ではなくピンク背景の免許証写真を選ぶドライバーも増えている。

2018年には日産自動車が「マーチ」のプロモーションとして、車体色の「ナデシコピンク」と同じ背景色で証明写真が撮れるキャンペーンを実施した。大日本印刷(DNP)とのタイアップにより、「KiRe-i(キレイ)」などの証明写真機では背景色にピンクを選択できるようになっている。ただし、赤や黒などの極端な原色に関しては避けるべきだ。

加えて、ベージュや白などの背景色は、警視庁の不適切な写真例として「顔の輪郭や衣類などが背景と同化している」とみなされ、認められない可能性が高いので注意が必要だ。

身分証明書もデジタル時代へ。しかし、当面は現行規定の継続が予想される

現在、一部の証明写真機やスマホアプリでは、規定に適合した免許証用の写真を撮影できるサービスが広がっている。背景色や明るさを調整したり、規定サイズに自動的にトリミングしたりする機能を備えているのだ。

また、マイナンバーカードの普及に伴い、運転免許証との一体化(マイナ免許証)も令和7年3月24日から進められている。そうなれば、写真の規格や撮影条件にも変化が生じる可能性があるが、当面は現行の規定が続くことになるだろう。

現行の制度でも、規定について理解を深めることで「個人を正確に識別する」という本来の目的を損なわない範囲であれば、自分の好みの免許証写真にすることは可能だ。